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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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177

「あらもうこんな時間。お風呂入れてきましょ」
暫く話してお風呂に入って。戸締り火の用心を終えて各自部屋へ。
フツーに先生は私の部屋に来る。
「いいんですか?抱きますよ」
「えっ駄目よ、司ちゃんきてるから」
「わかってますよ、キスくらいはいいでしょう?」
顎を掴んで持ち上げキスをする。
暫くキスしていたがトンと胸を押され身を離した。
「お布団、敷かないと…」
「抱かれたくなりましたか?」
「外から影が見えちゃうから…」
ああ、なるほど見えるね。
布団を敷いて入る。先生も横に入ってきた。
先生を煽るかのように撫で回す。
「駄目よ、意地悪しないで…ねぇ」
そういいつつも太腿をもじもじさせている。
「一度、しないと辛いんじゃないですか」
「ばか、司ちゃんいるのに…んっ」
乳首を摘んで捏ねると甘い声。
こうなると最後までしたくなって、むしろ興奮する。
先生もいつもより我慢しようとして可愛い。
心なしかいつもより濡れていて羞恥に興奮するんだろうと思う。
かすかな喘ぎ声、俺を噛む。達して荒い息。
綺麗で可愛くて。潤む瞳に見つめられ、気持ちよくなる。
「ね、兄さんと結婚するの?」
「は?」
なんでこの場面でそれ?
「あなたが、久さんが兄さんとするの、私嫌だわ」
「そう思うなら八重子先生に言ってください」
「あなたはどうなの?」
「私は先生が望むならってとこです」
「男の人嫌いなのに?」
「私が男なら…あなたの子がほしい。それは前に言いましたね。
 あなたと同じ血の流れる開さんの子でもいいかと」
「そうなの?」
「まぁ妊娠出産とか凄く欝になりましょうけどね。あなたの男でありたいから」
「あら…そうね、今いつもの山沢さんの格好でお腹が大きいの想像しちゃったわ」
「何かおかしい光景でしょ?」
「でもほら、狸腹の男性多いからそういう感じに見えるんじゃないかしら?」
「そうなった時、欝のあまり八つ当たりのようにあなたを抱くかもしれませんよ?」
「怖いわねえ…」
「だからうまく八重子先生を説得してください」
そういって手にキス。
「頑張るわ」
「じゃ、寝ましょうか」
「ええ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」

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176

台所へ行ってお手伝い。
あ、電話。
絹先生が電話を取って何か話して戻って来た。
「お父さん帰ってくるみたいだから多めに炊かなきゃいけないわね」
7合でよかったかな。
お米をかして、セットする。
いつも思うが大量で、毎回これをやってるのは凄い。
野菜を洗う。俺が居るときは水を触るのは俺。
手あれしないし冷たい水には慣れてるから。
先生の手は以前に比べれば少し、手あれがマシになったという。
後は先生の指示に従えばうまいメシにありつける。
「ねえ山沢さん。煮物できるようになった?」
「う、チャレンジしてないです」
「明日お昼にしてみる?」
「遠慮したいです」
「だめよ、出来るようにならなきゃ」
「先に司さんに覚えてもらいましょうよ」
「そうねえ、律のお嫁さんになるならね。でも今は山沢さんに覚えて欲しいわ」
うーん。味覚が違うからなぁ。難しいんだよね。
味見。うん、俺ならもっと砂糖と醤油を入れてしまう。
基本的にみりん・醤油・酒・砂糖を同率で煮炊きすることが多い。
だから薄味に作る習慣がない。
「今なら懇切丁寧に教えてあげるわよ。それとも厳しいほうがいいかしら?」
「…わかりました、明日でいいです」
「厳しいほうが覚えられるんじゃないの?うふふ」
たしかに覚えられるけど敢えて厳しくされるのはなぁ。
「お茶だけでいいです、厳しいの」
くすくす笑ってる。
作り終えた頃、律君と孝弘さんが帰ってきた。
司ちゃんと先生が配膳している間に調理道具を洗う。
お夕飯をいただき、司ちゃんは律君の部屋へ。
孝弘さんは居間でごろ寝。
私は食器を洗う。
先生方は初釜の細かい打ち合わせ。
洗い終わって戻ると、今度は着物の話に。
女の人はこういう話題好きだなあ。
「去年はあなた訪問着着てたけど今年はどうするの?」
「袴じゃいけませんか」
「いいわよ、それで。でも華やかさが足りないわよねえ」
「司さんか晶さんがやっぱりいいのでは」
「…司ちゃんねぇ。律のお嫁さんになって欲しかったんだけど。彼がいるのよねぇ」
「ホッシーを婿にして司ちゃんにこの家に来てもらう手もありますよ」
「あら」
「そうすれば孫も沢山見られていいかもしれませんね。いや本来なら姪孫ですが」
「でもそれじゃ…」
「ん?どうしました?」
「司ちゃんの彼とあなたとの関係が難しくないかしら」
「…いや律君の嫁さんとでも同じですから、それ」
「あらそう?」
「まぁそのあたりはよく話し合われたほうがいいでしょうけど」
「あんたが開と結婚してもそれはそれでいいと思うけどね」
「えっ?八重子先生?」
「お母さん…またそんなこと言って。山沢さんだって困るわよ」
「ははは…」
「だってねえ、いまのままの環境でいいんだもの。私と絹が料理を教えるくらいで」
「まぁたしかにそうですがお華はどうするんですか。私じゃ無理ですよ」
「あぁそうだったねぇ。そこは司か晶か」
「やっぱり同居しないと駄目じゃないですか」
「あららら」
むくりと孝弘さんが起きて部屋に帰っていった。
ふぅと息をつけばやはり緊張するんだね、と八重子先生に言われる。
一応なぁ、旦那さんだし。口滑らせたらアレは気にしないだろうが先生方がなぁ。

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175

先生がこれは弟子でと断りを入れている。
二人になったところで、先生がこちらを伺うような目をする。
「あの…気にしないでね?」
「ん?どうしました?」
「ただの弟子って言っちゃったから…」
「あぁ、あれはそう言うしかないでしょう」
「ごめんね」
「それより八重子先生は気を使ってくれたんですね。あなたと二人になれるように」
「そう…かしら」
「きっとそうですよ、俺、あなたと買物してるの結構好きです」
「どうして?」
「あなたと何を買おうって会話がなにか楽しくて。あなたはどうですか?」
「私…も好きよ。あなたの食べたいものを買えるもの」
ゆっくりと帰ろう。
「どこかこのあたりに部屋借りようかなぁ…」
「ん?どうしたの、急に」
「ご兄姉や司ちゃん晶ちゃんが来たときにあなたを抱ける場所が欲しい」
「あ…」
先生は顔を赤くして、袖で顔を覆った。
「可愛いな…。そういう場所、あったらどうです?抱かれてくれますか?」
「……えぇ」
「嬉しいな。開さんに相談してみましょう」
「えっ兄さんに?それは嫌よ」
「嫌ですか?」
「その…するために部屋を借りるなんて。兄さんに知られるのは嫌よ」
「何をバカ正直に言う必要があるんですか。
 皆さんが居るときの俺のごろ寝と安眠場所として借りる、でいいんですよ」
「あっ、そ、そうね、そういえばいいのよね」
ああ、もう。いちいち可愛い。
なんだかんだ喋りつつ、家についてしまった。
台所に下ろす。
「絹ー?帰ったの?山沢さんちょっと手伝ってー」
「はいはい、なんでしょう」
茶室へ行くと、釜が上のほうにあっておろせないとのこと。
確かにあの釜を頭上からおろすのは女性の苦手とするところだろう。
下ろして中を確認。
これでよかったようだ。
「司さんも初釜のお手伝いなさいますか?」
「えっいや、私っ大学あるんで、それにお茶わからないしっ」
「司にはまだ無理だよ。それより絹は?」
「なぁに、おばあちゃん」
水屋にいたようだ。
「ああ、ちょっとおいで。この釜にしようと思うんだけど重さ、大丈夫かねえ?」
「初炭は中野さんに、後炭は平田さんにお願いしたから大丈夫と思うけど」
「ああ、あのお二人ならいけますよね」
「もし危なそうなら山沢さんが手伝えばいいわよね」
「はいはい」
初釜の準備や打ち合わせ。
女手が有ると凄く助かるんだなぁ。
「懐石は頼んだしお菓子もお願いしたし…」
「あれ、先生、煙草盆の中身がありませんがいいんですか?」
「あっそういえば蛇が出て困るからって使っちゃったんだわ。どうしよう」
「蛇は確かに煙草を嫌うといいますが…この辺に売ってる煙草屋ありましたっけ?」
「吸わないからわからないわ」
「とりあえず私の入れときましょうか。売ってるところ見つけたら買ってきます」
「そうしてくれる?」
「山沢さんって煙草吸われるんですね」
「この家だと司さんのお父さんは吸われるんでしたっけ?」
「そうそう、覚は吸うよ」
「そろそろお夕飯の支度しないといけないわねえ。山沢さん手伝ってくれる?」
「はい。八重子先生、重いのあったら呼んで下さい」

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174

玄関の開く音。
「こんにちはーおばぁちゃんいるー?」
がらっと襖を開けられて絹先生が焦っている。
「どうしたんだい?」
「お母さんからこれ預かってきたんだけど」
「もう手に入ったんだねえ、ありがとう」
とガサゴソと開封されている。
なんだろう。
「あれ。おばさん、それ、綺麗…」
「あぁこれ?鼈甲なのよ~。いいでしょう?」
絹先生と司ちゃんは簪を見て女の会話だ。
先生の髪に重くなったら司ちゃんに渡るんだろうなあ。
八重子先生の手元を覗き込む。
「司の近所に刃物屋があってねえ」
花鋏か。
「青紙ですか。いいですね、高いでしょうねえ」
「そりゃあねえ」
「昔何も知らないで黄紙買ったんですよね。もうどうにもならなくて」
「あんたみたいな不精者ならステンレスがいいんじゃないかい?」
「今思えばそのほうが良かったですねえ」
「やっと今のを研ぎに出せるよ」
「ああ、自分では中々に砥げませんよね、つい両面研ぎそうになります」
「あんた鋏も研ぐの?」
「私は研いでましたよ、なんせ黄紙ですし。
 枝の数本も切れば切れなくなってるの実感できます」
「そんなに黄紙だと切れなくなるかい?」
「普通はそうもならないでしょうが下手に握力がある分、無理に切るので」
「石があれば割れるところを探らずに叩き割るタイプだね」
「まさしくそういうところあります。短気ですので」
簪の話題が終ったようだ。
「司ちゃん今日は泊まってくの?」
あ、それは聞いて欲しい。
「律は今日は…?」
「晶ちゃんと今出てるのよ、夜には戻るけど」
「じゃあ待ってようかな、おばさん、いい?」
ちっ泊まるのか。
八重子先生が笑っている。
「絹、山沢さんと買い物行って来てくれるかい」
「今朝うちのお父さんがねえ、6合食べちゃったのよ。で、お米が心もとないの」
「ああ、はい」
「あ、私も一緒に行った方がいいかな」
「司はうちにいてくれるかい、茶道具出すの手伝っとくれ」
うまく誘導してくれるなぁ。
いそいそと先生と二人でお買物。
結構好きなんだよね、一緒にお買物するの。
野菜や肉などを購入して米を買って担ぐ。
「力持ちの良い旦那さんねー」
なんて言われてしまった。
どこかの資料館に5俵担ぐ女性の模型あるけどあれは無理だと思う。
米どころや米屋なら2袋は軽いらしいが、それすら無理だ。

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173

翌朝、鏡開きと言うことで会社に鏡餅を持って出勤。
ストーブで焼いていただく。
本物の餅だからうまい。
缶のお汁粉を買ってきたやつが器にあけてその餅を投入して食っていたり。
連休前なのにそんなには忙しくないなあ。
仕事を済ませて帰宅。
シャワーを浴び、着替えて先生のお宅へ。
「こんにちは」
「いらっしゃい、外は寒かったでしょ」
温かいお茶をいただいた。
うまいなー。
自分で入れると高級茶葉でもまずいのはなんなんだろうな。
先生たちはこれから食事らしい。
ああ、そうか、ついいつもの時間に来てしまった。
「あなたも食べる?」
「ありがとうございます、実は朝餅食いすぎて出てくる前に腹が減らなくて。
 今ちょっと物足りなくなってました」
「あらあら」
「そういえば鏡開きだねぇ。後で山沢さんにも手伝ってもらおうかね」
「律君と孝弘さんはご飯いいんですか?」
「お父さんねえ、お友達のところって言ってたけどいつ帰ってくるかしらねえ」
「律は晶と出かけてるよ」
おかずを出してくださって、いただいた。
うまいなー。
美味しくいただいてご馳走様をして洗いに立つ。
暫くすると宅配便が来た。
受け取って、開封する気配。
「あらぁ~」
「あらあら、きれいねえ、これ」
ふっふっふ♪
洗い物を追えて部屋に戻る。
「ね、これどうしたの?」
「昨日京都行ったんですよね。それで鼈甲屋に行って買ってきました」
「すごいわ、こんな飴色の…高かったんじゃない?」
「まぁそのへんは聞かないでまずは挿してみて下さいよ」
「お母さん鏡とってくれないかしら」
「はいはい」
鏡を見ながら挿してためつすがめつ。
ほぅっと八重子先生の溜息。
「我が娘ながら…似合うねえ」
「美人さんですしね。似合うと思ったんですよね~」
「あら…」
あ、先生、頬染めて可愛い。
「次は紅かい?」
「ええ、次京都に行ったら必ず」
「なぁに?」
「こっちの話です」
「二人してなんなの~」
「しかしこれは高かったろう、細工も細かいし」
「まぁそれなりに」
「嬉しいわ」
おっと抱きつかれた。
いや、八重子先生見てるから。
「これ、絹。山沢さんが困ってるだろ」
「あら、ごめんなさい、つい」

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