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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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500

朝、着替える前に雑煮の支度をする。
支度が整い着替えてから茶室で新年の挨拶を交わす。師弟として。
それからお雑煮と御節を出した。
去年も見てるから律君はスルーしているが先生はほんのちょっとだけお相伴と飲んでいる。
俺は御餅三つ、先生方と司ちゃんは一つ、律君は二つ。
孝弘さんはおかわりしている。いくつかわからない。
お酒も順調に減っている。
先生も少し酔ってきているようだ。
もたれかかってきた。
年末はお疲れだったんだろう。
そういえば今年は何も言ってないのに膾が多めに入っていてそういう気遣いが嬉しい。
おいしく頂いて、司ちゃんと律君にはお年賀を渡す。
先生方には朝のご挨拶の時に渡した。
先生が寝てしまわないうちにと初詣に行くことに。
コートにショールをたっぷり着せて風邪を引かさないように気をつける。
外はすがすがしい正月の空気だ。
「寒~い」
「ですねぇ」
雑踏は手を掴み人波に揉まれ、律君達とははぐれ。
神前ではこの人とずっとこうしていられるようにお願いをした。
欲を言えば二人暮らしだけどそれは高望みと言うもの。
お守りを授与していただいて待ち合わせ場所で合流して甘味処へ流れる。
先生方はおぜんざい。
俺はみたらしを頂いて温まってから帰宅した。
やっぱり律君はすぐに脱いでしまったが司ちゃんは振袖のままだ。
去年は晶ちゃんとした坊主めくりを今年は司ちゃんとする。
三回戦して先生の負け。
長襦袢姿で終了。俺は帯だけで済んだ。
それから普段着に着替えて台所で燗をつけお酒を頂く。
「表、吹雪いてきたわ」
「おーすげー。雪見酒だ」
「温泉、行きたいわねぇ」
「あ、いいですねー。雪がたっぷり積もる中、露天風呂とか」
「良いわよねぇ。連れてって」
「仕事の休みと相談ですし、お稽古の日とかもありますからね?」
「わかってるわよ」
司ちゃんが笑ってる。
お酒を飲んでる間に先生が眠そうになって来た。
「寝てきますか?」
「ん、悪いけど後よろしく」
「私もちょっと寝てくるわ」
お、八重子先生もか。
二人とも部屋に寝に行った。
司ちゃんと律君と三人で御節をつつきつつお酒を飲む。
「山沢さんってお酒強いよね」
「そんなこともないかな。先生のほうが飲んでたよ」
「そうかなぁ」
「お母さんたちは御節作ったり今朝も朝からばたばたしてるからね、疲れてるんだよ」
「山沢さんも疲れてるんじゃ」
「私は昨日寝かせてもらったから大丈夫なのさ」
うーん、うまい。
お重の中身が減ってきたので台所に行って補充する。
去年の晩飯の時間には補充してたからそのように。
律君がお風呂を洗って司ちゃんを先に入れた。
孝弘さんと律君が入り先生はどうかと思ったがやっぱり入られず。
俺が入って風呂を洗って出た。
明日も沸かすしね。
今日は早めに戸締り、火の始末をして先生の横に潜り込む。
律君たちはまだ飲んでるようだ。
あくびひとつ。
俺もまだ眠いようだ。先生を抱っこして眠りに落ちた。

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499

そうこうしているうちに今年も後二日となった。
今日が終れば明日朝に鯛を焼くだけだ。
随分気が楽になって仕事が進む。
半衿は先生にお願いしたことだし、着物も何とか昨日寝る前に支度した。
多分忘れ物は、ない。要る物は全部車に積んだはずだ。
あ、お年賀。そうだ出金しなきゃ。
帰りに餅を取りに行き飾りつけ、門松も立てた。
今日飾らねば一夜飾りになってしまう。
ばたばたとあれやこれやとやることをやって寝る。
翌日、鯛を焼き、皆で軽く乾杯をして味噌漬けなどを車に積んだ。
やっと今年が終る。
一旦帰宅し風呂を浴び、先生のお宅に車を走らせた。
車に乗る予定だったからちゃんと乾杯はコーヒー。うまいけどね。
そっと勝手口から侵入して冷蔵庫や土間に荷物を置き、そっと先生の部屋に忍んだ。
寝てる寝てる。
さっと寝巻きに着替えて寝込みを襲った。
久々の触り心地、いいねぇこの肌。
一人楽しんでいたら目が覚めたようだ。
「ん、おはよう…。お疲れ様」
「ただいま」
キスをし先生を楽しませて、でも声は出させないように。
…先生の上で力尽きた。
「重~い」
「あ、悪い」
横に転がると先生が布団を掛けてくれる。
「もうっ、寝てなさい。朝ご飯してくるから」
そんなにはむさぼれなかったから先生は元気だ。
ぺしん、と額を叩かれて寝かしつけられてしまった。
ふと目が覚めるとうまそうな匂いがしている。
寝巻きのまま台所に顔を出すとどうやら御節の仕込だったようだ。
「あら、起きたの。おなかすいた?」
「うん」
「冷蔵庫にピザあるから食べて良いわよ」
どうやらスーパーで買って有ったらしい。
「足りそう?」
「全部食べて良いのかな」
「良いわよ」
「じゃ大丈夫」
「でも今おやつ時だから晩御飯食べられないようなことしないでね」
「あー…はい」
二つだけ貰ってチンして食べた。
「ああ、あんた起きたの。いやまだ眠そうだね。寝といで」
「はい」
八重子先生が戻ってきて台所から追い払われて布団に潜る。
腹がくちたからまた良く寝れた。
先生に夕飯と起こされてつい布団に引き込んだ。
「こら、だめ。ご飯よ。もう時間遅いんだから起きて頂戴」
起きると本当に遅い。
「先生方はもう?」
「まだなの。早くして」
「はーい」
もそもそと起きると寝巻の上に引っ張りを羽織らされて食卓へつく。
夕飯は軽いものだった。
年越しそばも有るからだろう。
「こんばんは」
「あ、律君。こんばんは」
「ずっと寝てらしたんですか?」
「うん、朝からね」
「よっぽど疲れてたんですね」
「去年もそうだったわよね、はい、ごはん」
「ありがとうございます」
「そうそう、半衿つけてあるから。バッグ勝手にあけたわよ」
「わ、ありがとうございます、助かります」
「半衿?」
「そうよ、お着物着るでしょ。この子はつけてる時間ないから」
「律君は今年着るの?」
「着せるわよー、さっきね、丁度仕立てあがってきたのよ」
「へぇ、おろしたて? いいねぇ」
「司にも振袖着せるよ」
「おお、やっぱお正月は良いですよねー振袖」
軽めの夕飯を食べた後先生と台所へ。
年越しそばの支度。
「えぇと。あなた天麩羅じゃないのよね」
「はい、ここにニシンあります」
「おばあちゃんと私とお父さんと律とあなたと…司ちゃんは起きてからの方が良いかしら」
「伸びますしね、そうしましょう」
5玉とだし、天麩羅などを準備しておく。
まだ食べるのは早いから。
年末の歌番を楽しんで各々風呂にはいる。
それからそばを出した。
除夜の鐘の聞こえる中すする。
んー、うまい。
「京都ってあまりお蕎麦のイメージないけど結構好きよね、山沢さん」
「うーん、そうですね、当初はだしの色と味がね。自分で作れば良いかとなりまして」
「あ、だから山沢さんの、だしが違うんだ?」
「味見したけどおいしかったわー」
「へぇ」
「まだ残ってるわよ」
「じゃ後でちょっと味見させてもらおうかな」
汁を全部飲み干す。
うーん、うまかった。ごちそうさま。
そろそろ年が明けるようだ。
皆も食べ終わったので洗い物に立った。
「久さーん、司ちゃんの作ってくれるー?」
「あ、はーい」
洗い物の手を止めて湯を沸かし、だしも温める
ササッとゆでて温めただしに入れ、天麩羅を盛って居間へ戻る。
「どうぞ」
「あ、ありがとう」
「コーヒー欲しいわ」
「はいはい」
台所に戻って先生の分を淹れて戻る。
「ん。あんたいらないの?」
「洗い物終ってからいただきます」
「あら? いつもと味が違うわねぇ」
「寝る前ですからカフェインレスにしました」
ちょっとつまんなさそうな顔をしている。
台所に戻って洗い物を片付け、鍋も洗い終えると先生が丼を引いてきた。
「これも」
「はい」
そっと背中に手が置かれた。
「ん? 熱ありません?」
おでこをくっつけてみる。
「あ、大丈夫ですね、よかった」
顔を赤くしている。可愛いな。
洗い終えて手を拭いて、居間に戻ると司ちゃんも部屋に引いていた。
「寝ますか。部屋行っててください。戸締りしてきます」
「あ、うん…」
玄関と勝手口、あとは火の始末を確認して部屋へ戻る。
まだそんなに温まってなくて先生は少し羽織を脱ぐのに躊躇している。
そっと紐をほどき、伊達締めを解いた。
キスを求めてきてそれに応える。
冬なのに、しっとりとなめらかな肌が心地良く。
ぐりっと乳首をつねられた。
「…痛い。なんですか」
「なんとなく」
「されたくなかった? なら寝ましょう」
「あ、違うの、ごめんなさい。なんとなくなだけだから」
「そう?」
「うん」
「でもまぁ、いいや。三が日あけてからで」
「いいの?」
「どうしてもしたくなったらあっちの部屋つれていきますがそれはいいでしょう?」
ぱっと耳を染めて頷いてる。
布団に入って先生を抱き締めると温かく、先生も擦り寄ってくる。
シーツが冷たいんだよね。冬は。
そろそろ毛布入れようかなあ。
そういってると先生が明日は入れるという。
寒くなるらしい。
少し喋ってるうちに寝てしまった。

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498

寝て起きて。仕事をして帰って寝る。
朝、天皇誕生日と言うことで旗を出してから寝なおした。
ふと目を覚ますと横に先生がいる、という夢を見た。
起きて空しく思う。
メールは相変わらず続けており、先生が大体の一日の様子を送ってくれる。
たまには写真がついてくる。
仕事が終わって寝るだけの日々が続き、後もう数日となった。
くたびれて帰ると家が綺麗になっていてご飯が作って置いてある。
まだほのかに温かく、さっきまでいてくれたのかと心が温まる思いだ。
外は寒く、体は冷え切っているのに。
おいしい飯も嬉しくて全部食べた。
洗い物をしなくて良いようにと器は捨てて良いもので、本当に気のつく人だ。
風呂に入ったあとベッドでお礼のメールを打っていると気がついた。
香袋が新しくなっている。
シーツも変えてくれていた。
きもちいいなー。
メールを送ってそのまま沈没。
良く寝れて危なく遅刻するところだった。
慌てて出勤し、仕事をする。
午前中はやはりなんとなく暇で合間に先生とメールをする。
昨日俺が寝た後お歳暮が届いたようだ。
今年は去年にプラスして酒も一緒に。
司ちゃん来ると飲むから多め。ついでにコーヒーのカプセルも届いたようだ。
先生は切らしたからって早々買いにいける距離ではなかったから。
特定のカプセルが切れたままになってたんだよね。
先生の好みの味は多めに仕入れた。
午前の仕事が終わり、一度片付けて昼飯を食い午後の仕事をこなす。
昨日より調子は良いのは晩飯を食ったからかもしれない。
これをキープして大晦日を迎えたいので帰宅してすぐに寝た。
翌朝も多少は調子が良い。
本当に近所なら毎日ご馳走になっていたいくらいに食事って大事なんだなと思う。
今日はラストスパート前の混雑。
これが終れば。
仕事中に花の手配もしたし餅の手配もした。
後は、後は?
あ、半襟…先生に頼むほうが早いか?
昼飯を流し込んで仕事に掛かる。
帰宅すると何も考えられず着替えて寝た。
朝になって思い出す。
そうだ、焼鯛だ。焼かなきゃ。
味噌漬けとか餅とか白味噌とかニシンとか手配しなければ。
慌てて仕事中暇を縫って手配をかけた。

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497

一夜明けて今日からは昼から焼鯛や御節の仕込みに加わる。
だが年々正月が近い感覚が薄れているなぁ。
以前なら12月に入った途端あれやこれやと仕込むことが多かったのだが。
最近はまだ何を仕込むとかの情報も得意先から来ない。
ま、それでも鯛を箱詰めして冷凍かける作業があるから早くは帰れない。
夕方に帰宅する日々が続き最後の日曜が来た。
先生とのメールのやり取りは続いていて先生もそれなりに忙しそうだ。
今日は茶会に行ったようで何枚か写真が来ている。
疲れて寝ていると鍵の開く音?
「ただいまぁ。疲れたー。あら寝てた? ごめんね」
「あー。らっしゃい」
「もうちょっと寝てたらいいわ」
「うん…」
ぱたぱたと和室で着替えてる気配があり暫くしたら水を使う音がする。
すっかり眠くて寝てしまったようで揺り起こされた。
「ご飯できたわよ」
「んぁ? めし?」
「そうよご飯出来たの。食べないとダメよ」
半分寝ているところを居間まで引きずり出される。
ちゃんとした和食の夕飯。
「うまそう」
「でしょ、温かいうちに食べてね」
寝ぼけつつも食べる。うまい。
うまくて掻っ込んでると先生が変な笑い方をしている。
「どうしました?」
「こぼしてるわよ。そんなに焦って食べなくてもまだあるから…落ち着いて食べなさい」
「あぁ。うまいもんだから、つい」
「ちゃんと食べてるの? 普段」
「夕飯…最近食ってないかな、眠くて」
「だめじゃないの」
「年末大体何キロか落ちますねぇ」
「毎日作りに来たくなるわ」
「それはダメだ」
慌てて却下する。
近所ならまだしも遠いのにそんなことしてたら先生が倒れる。
「あと十日程度だから何とかなるから」
「心配だわ」
「去年と一緒、問題ない」
ごちそうさまをして洗い物に立とうとすると先生に止められた。
だけど座っていると眠くなる。
泊まって良いかと言われ、却下した。
「どうしてダメなの?」
「明日最後でしょうが。最後にサボりは認めませんからね」
「そういうとこ、堅いんだから…」
「いじけてもダメなもんはダメ。送れないから早くお帰んなさい」
「追い出すの?」
「ええ」
むうっとしつつも諦めたようだ。
仕方なさそうに着替え、俺にキスをして抱きついて。暫くして離れる。
「帰るわ」
「はい、気をつけて。酔客に捕まらないように」
「あんたも。体に気をつけなきゃダメよ」
「家が近けりゃ…帰さないで済むのに」
「今更そんなこと言わないでよ…。帰りたくないのわかってる癖に」
暫く玄関先で絡まって先生が諦めをつけて出て行った。
帰したくなかった。
明日、先生がお稽古じゃなければ絶対帰してなんかいなかった。
だけど流石に年内の最終をサボらせるのはね。
いけないだろう。
暫く玄関で見送って見えなくなってから閉めた。
体が冷えてしまった。布団に潜り込む。
枕元に先生が香袋を置いて行ってくれていた。
先生のいつも使っている香だ。
体臭はもっと甘くて濃く感じるが、会えないだけに有難い気がする。
とりあえず後一週間と半分。頑張ろう。

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496

夕方を過ぎた頃目が覚めて夕飯を食べに出てその足で先生は電車へ。
うちに寄ってからと思うと帰りたくなくなるなどと嬉しいことを言って。
明日また、と別れた。
帰宅して寝て夜が明ければ仕事をこなし、お稽古に行き先生を軽めに抱いて寝る。
これが出来るのも後一週間。
先生は既に正月準備に掛かっていて俺も少し手伝った。
再来週適当な日にうちの掃除をしてくれるらしい。
本当に助かる。ありがたい。
日々、稽古に来る時間が遅くなって申し訳ないなぁと思いつつもそろそろ月後半に入った。
この火曜のお稽古で俺は一足先にお終いになる。
先生方の終いは翌週月曜日らしい。
火曜日にいらっしゃる生徒さんとも今年はこれでお別れだ。
先生にきっちりと皆さんご挨拶をされて帰られた。
俺も稽古をつけていただいた後、今年の稽古のお礼と来年の稽古をよろしくお願いした。
このときばかりは八重子先生も食事の準備の手を休めて。
馴れ合いにしてしまわれないのが先生方の良いところだと思う。
おいしい夕飯にありついて、先生を抱いて寝るのも今日から年内はない。
つまらんなぁ。
ぼやくとそのかわり三ケ日の後は泊まってあげるとおっしゃる。
それを楽しみにして頑張るしかない。
先生も名残を惜しむかのように寝るのを嫌がり、俺の肌を触りまくっている。
浮気の心配はないと見えて噛まれはしなかったけれど。
たかが半月、と笑われる向きもあろうが、二日に一度以上会ってるからこそ寂しい。
「ねぇ、明後日寒波って聞いてるわ。気をつけてね」
「先生も。積もってたら気をつけてくださいよ」
「積もるかしら」
「多分。お稽古するんですか、そんな日でも」
「そうね、誰も来なかったらお母さんとするわ」
「俺も混ざりたいなぁ」
「無理なこと言わないの」
「だって一緒にいたいんだよ、あなたが好きだから」
うん、と小さく答えがあるが最早眠いらしく会話は無理そうだ。
キスをして撫でてあげてるとすぐに寝息になる。
やっぱり可愛いよなぁ。
俺も眠気に負けた。
翌朝絡みつく足から抜け出すのに苦労しつつも台所へ行き朝食を作り皆で食べる。
ゆっくり出来るのも今日限り。
帰る頃には先生が袖を離してくれなくて困った。
「俺寝てても良いんなら添い寝しに来ますか?」
少しからかい半分に言ったのに食いつかれた。
「だけどあなたも大掃除しないといけないでしょう。疲れるからやめなさい」
「でも…」
「大晦日、来ますから」
ぐずるのをなんとか説得して別れて帰宅した。
寂しいのは俺も一緒だがこればかりは仕方ない。
明日からは気を入れて仕事をするしかないんだから。

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