朝になって先生の寝顔を暫く楽しんで、先に台所へ行った。
ご飯を炊いて鮭を焼き、だし巻を焼いてお味噌汁を作り、お漬物を刻む。
「あら、あんたいつ帰ったの」
「昨晩の間に戻ってましたよ、あと何か作りましょうか?」
「いやいいよ、これで。絹は?」
「まだ寝てらっしゃいましたよ。多分今日からアレでしょ、眠いと思いますよ」
「あぁ」
合点が行ったようだ。
食卓を片付けてお茶碗などの支度をしてもらった頃、お客様も起きてきたようだ。
八重子先生と手分けして配膳し、律君を起こし孝弘さんを呼びに行く。
「あら絹ちゃんは?」
「うん、ちょっとね、今朝は」
八重子先生が濁して食事を始める。
「おばあちゃんこの玉子焼き…」
「あら、だし巻じゃない。珍しいもの作るわねぇ」
「本当だねぇ、玉子焼きじゃないね」
「あぁまた山沢さんが作ったんだ?」
「この子朝早いからね、起きたらほとんど出来てたよ」
「さすが魚屋さんねえ」
律君が卵を全部食べられず残し、それを孝弘さんが食べた。
食後の洗い物。
終ってから先生を伺いに寝間に入る。
良く寝ていて気持ち良さそうだ。
昼までに起きるかな?
ふふ、可愛いなぁ。
穏やかな寝息。
居間に戻ると八重子先生から買物を頼まれた。
快く受けて出た。まだ午前中だから暑さはマシ。
夕飯の分も買物をして帰宅した。
先生はまだ寝てるとか。
よっぽど疲れたか。
あちらの家から昨日の着物やシーツを回収し、洗った。
昼からで十分乾くだろう。
というのも昨日はシルックだったからだ。
楽だよね、洗える着物。
畳んで皺を伸ばし干して行く。
お昼ご飯を作ってもうそろそろと先生を八重子先生が起こしに行ったが…。
ダメだった様だ。
お昼ご飯を食べてお客様は帰られた。
再度先生の寝顔をのぞきに行くと、やっと起きた。
「ん、暑~い、何時なのぉ」
「もー1時半ですよ。腹減ってませんか?」
「あら? もうそんな時間? お客様は」
「帰られました」
「あらららー」
くぅ、と腹の虫が聞こえて先生が恥ずかしげ。
「何作りましょ?」
「えぇーっと…サンドイッチ」
「はいはい、何の具が良いですか」
「野菜。と卵」
「わかりました。着替えてて」
台所に戻ってパンを切り卵を甘く焼いた。
からしマヨではさもう。
居間に出てきた気配がしたのでコーヒーを入れて、サンドイッチを持って出た。
「今日から生理でしょう? 先生」
「あ、うん。どうして?」
「なんとなく。それにそろそろ月末だし」
「あぁ、そうね」
おいしい、とサンドイッチを食べる先生が可愛らしい。
にこにこして見てしまう。
玄関を開ける音、八重子先生が帰ってきた。
「おかえりなさい」
「はいはい、おそよう」
「早くないからですか、ははは」
ちょっと恥ずかしげで申し訳なさげに食べてる姿も良いね。
「あんた自分で片付けなさいよ」
なんて八重子先生が先生に言っている。
板の間だから足が冷えるし、と俺が回収して洗った。
「暑いから良いのに…」
と引き止められたけどこれくらい別に面倒とは思わない。
甘やかしすぎと後で八重子先生に叱られたが…良いじゃないか。
恋人は甘やかすものさ。
夕方まで団欒して洗濯物を取り込む。
すっかり乾いていて先生が畳んで箪笥に仕舞った。
「さてと。ご飯つくろうかねえ」
「そうですね、先生はそのままそのまま」
八重子先生指示の元夕飯を作る。
肉じゃが。今日は俺が買物してるから牛肉。
ずいき。わかめと胡瓜の酢の物。
根野菜と肉のオイスターソース炒め。
後は常備菜を少し。
先生に食卓を片付けて配膳をして貰い、俺は二人を呼びにたった。
丁度離れに二人とも居てくれて助かった。
ご飯を食べて先生たちがくつろいでる雰囲気を楽しみつつも夜が更けてきた。
帰れらねばなるまい。
ちょっと先生は帰したくなさそうで。
「明日…来て欲しいなら昼にメールしてくれたら来ますから」
「いいの?」
「ええ、あなたがそうして欲しいなら」
「わかったわ。じゃ今日は…諦めるわね」
頭をちょっと撫でて別れた。
帰宅してすぐに寝る。
眠い。
おやすみなさい。