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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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翌朝、7時頃、先生が起きた。
やっぱり寝過ごしたようだ。慌てて支度して出て行った。
私は八重子先生に説教を食らいつつ昼食の支度を手伝う。
「お昼食べたらお風呂入んなさいよ。律が帰ってくるまでに」
「あ、はい、ありがとうございます」
てきぱきと支度を手伝って孝弘さんにお昼を食べていただく。
食後、片付けも手伝ってお風呂をいただいた。
うーん、気持ちいい。
風呂をついでに洗って、さて上がるか。
「うわっ!」
「やぁ律君。お帰りなさい」
「すいません、見ちゃいました」
ん?ああ。裸だった。
「律、あんたなにやってるんだい」
「おばあちゃん、山沢さん入ってるなら入ってるって言って!」
「なんだまだ入ってたのかい?やだねえ、もう出てると思ってたよ」
「あー、ついでに風呂洗ってたんで」
ひょいと浴衣をまとって廊下に出る。
「はい、律君、交代ね」
そそくさと入っていくのを見て八重子先生が苦笑する。
八重子先生の部屋に戻って聞かれた。
「ところでその胸の。絹?」
「ですね」
「痛そうだけど…大丈夫かい?」
「今はそんなに痛くないから大丈夫ですよ。今は」
「ちょっと見せてご覧。こりゃ噛まれたときは痛かったろ?」
浴衣を片肌脱ぎして見せる。
「血が出た程度ですね。まぁここは皮膚が薄いですから…
 って八重子先生、そこは噛まれてません、面白がらんで下さい」
なんで乳首は触りたくなるのだろう。
「相変わらず傷だらけだねえ。背中とかひどいよ、あんた」
八重子先生が背中側に回ってなぞるのが、くすぐったい。
「そうですか?自分じゃ見えないんでわからないんですけど」
「これ全部絹がやったのかい」
「う~ん、どうでしょねえ、無意識で自分で掻いてるとかもあるでしょうし」
「ここ、酷い痣になってるよ」
と脇腹。
「そこくすぐったいですっ」
もぞもぞしてしまう(笑)
「母さん、ちょっと。あ。ごめん」
あ、開さん。
今日はなんだかよく裸を見られる日だな。
「開、あんたこれくらい見慣れてるだろ?」
「あー、見慣れてそうですよねえ。彼女何人もいそうな~」
「いやさすがに何人もいたことないから。えぇと…」
後ろを向かんでもいいのに(笑)
腕を浴衣に入れて前を合わせる。
「母さん、何してたの? というかなんで山沢さんだっけ?平気なの?」
「ああ、見られ慣れですねえ。
 相手が欲情してなきゃ見られても大してどうとも思いませんね、胸くらい」
「そ、そうなんだ?」
「じゃ、私ゃちょっと着替えてきますね」
「はいはい」
うおお、浴衣ではさすがに廊下が寒い。
部屋に急いで入って着替えた。
ふー。
居間に戻るとただいまの声、先生が帰ってきたか。
「おかえりなさい」
お出迎えしてバッグなどを受け取って着替えを手伝う。
八重子先生と開さんも話が終わったようで居間に出てきた。
「おかえり。長井さん何の話だったんだい?」
「ただいまぁ、もう疲れちゃったわよ。離婚して再婚しろって」
……あ、開さんがお茶こぼして慌ててる。
「ちゃんと断ったんだろうね?」
「当然よ、もう困っちゃう。兄さんは今日はどうしたの?」
「あぁバイトの保証人の件で母さんに用があってね」
「さっき山沢さんの裸見てうろたえててねえ、面白かったよ~」
「母さん!」
「あら~…見られちゃったの?」
「ええ、まあ」
「あれ?開さんきてたんだ?」
「あら律、もう帰ってたの?早かったのねえ」
「そういえばさっき律も山沢さんの裸見たんじゃなかったかね?」
「そうなの?山沢さん今日はよく見られる日なのね(笑)」
「お二人とも反応結構似てますよね。開さんが意外とうぶだったけど。
 ちなみに孝弘さんはスルーしますよ。何回か見られてますが」
開さんと律くんは"そうだろうなあ"という顔をしている。
「さて…そろそろ私は失礼を。また明日寄せていただきます」
「もう連休も終わりなんだねえ。明日来るの遅くなりそうかい?」
「多分ちょっと遅れます。出る前に電話入れさせてもらいますが…」
「じゃ、また明日ね?」
名残惜しいが帰る。

帰宅してさびしく一人寝。
残り香を抱いて。

連休明けはいつも憂鬱だ。仕事が多い!
やっぱり定時には終われない。
できるだけ早く終わらせて帰宅し、シャワーを浴びて急いで家を出る。
駅に行くまでに電話をする。
約1時間半の遅れだから水屋の用意どころかお稽古に30分の遅刻だな。
こういうときは電車に乗ってる時間が長く感じる。
早くつかないものか。
って携帯が鳴る。電話を受けて連結部へ行く。
先生から。焦らずゆっくりでいいとのこと。
連休明けでやはり生徒さんがお休みしているとか。
少し落ち着く。
まあそれでも何人かは来られるわけだからできるだけ急ごう。
駅に降りてバスを待たずタクシーを使う。
玄関前まで走り、息を整え身だしなみを確かめて、入る。
ささっと支度をして客に混ぜてもらい、お稽古していただく。
「山沢さんはそうねえ、今日は盆点しましょう。用意して」
茶通箱じゃなくてよかった。
あれは用意がめんど(ry
「あとで時間が空いたら茶通箱するからそれも用意ね」
読まれたかっ。
水屋に色々と道具を仕込んで、用意を整えて客に戻る。
さて、お点前を終えられて早速私の番。
もう一挙手一投足すべて叱られる。
厳しくするとは言われてたけど。
って他の生徒さんが引いてるじゃないか。
点前が終わって次の生徒さんにはにこやか~に教えておられる。
お稽古の後、生徒さんが先生の本気を見たと怖がっていた。
苦笑して水屋の片付けをし、居間に戻った。
夕食を共に頂き、夜、私の部屋へ。
「ねえ、私のこと嫌にならない?」
「どうしたんです?昨日の今日でそれを聞くんですか?」
「だってお稽古、厳しくしちゃったでしょ」
「それとこれとは別、でしょう?
 あなたが私を嫌いでそうしてるんじゃないんだったら問題ありませんよ」
「良かった…」
「それより他の方が怖がってましたよ。本気を見たって」
「あらぁ、怖いかしら?」
「私は怖くはありませんけどね。だって…」
キスをする。
「可愛いの知ってますから」
「ちょっとくらい怖がって欲しいわ…」
「あなたが本気で怒ったら怖がるでしょうけど」
「怒らせないでね」
「できるだけそうしたいものですね」
首筋を舐めて。思い出した。
「ああ、そうだ。今度うち来た時は根津行きませんか?」
「なぁに?今回は」
「井戸茶碗らしいですよ、月初めからみたいで見落としていました。
 例の喜左衛門井戸が出てるとか」
「あら。見たいわ」
「ここからだとうちに来るほどの時間かかりますからね。今月中にでもと」
「今月もう連休はなかったわよね?」
「ありますよ、勤労感謝の日」
「じゃそのときに行こうかしら」
「そうしましょう。それから。明後日から一週間出張で東京を離れます。
 浮気しないで下さいよ?」
「私がするわけないじゃないの。山沢さんこそ心配だわ…してきそうよね」
「しません。気になるならまた噛みます?どれだけ痕つけても構いませんよ」
「沢山つけてあげる…ね、今日はしないの?」
「腫れてるの、知ってますからね」
すっと太腿のあわいに手を触れる。
「うん、そうだけど…」
「一週間です、帰ったらすぐここに来ますからさせてください」
「飢えちゃうの?」
「とってもね。ガツガツしちゃうかもしれません」
「痛くないようにしてね?」
「…痛くしたらごめんなさい、先に謝っときますね」
「駄目よ、激しいのは仕方ないけど痛くしないで」
「気をつけます」
先生はくすくすと笑って、胸に触れて。ここ、噛むわよ?と言う。
「どうぞ」
宣言されてからだと身を硬くしてしまうな、さすがに。
「って乳首は反則です、そこはやめて下さい、すっげー痛いです」
「い・や♪ 大丈夫、簡単には千切れないから」
「本気で痛いのわかっててやってますよね、うー」
乳首も血が出るほどに噛まれて、噛み痕を5つほど新たにつけられて。
「これだけつけて浮気はできないわよね、うふふっ」
「そこまで信用ないですかー?痛たた…実はSですかっ」
「そうかも?なにか楽しいもの~」
仕方ない、独占欲と思えば可愛いものだ…マジ痛いけど。
私の涙目になっている瞼にキスをして楽しげだ。
「さ、寝ましょ? ちょっと寝不足なのよ」
「そりゃまあ…そうでしょうね」
「山沢さんの所為なの、わかってるわよね?」
「わかってますよ、わかってます」
「明日夜まで一緒に居てあげるから」
「お願いします」
軽くキスをされて、先生を懐に抱いて背を撫でる。
いつも思うが寝つきがいい。すぐに寝息に変わった。
ずっとこうしていられればいいのに。
女性らしく細いのに丸くて、やわらかくて。
しっとりなめらかな肌。
一週間も手放すのかと思うと惜しい。
だけど…このままの関係で死ぬまでいられるわけじゃない。
いつか別れがくるんだから、心積もりは必要だよな。
考えたくないなぁ…。
寝顔を見つつ、いつしか寝てしまった。
翌朝、二人とも定時に起きて朝御飯の支度を整える。
朝食後律君を送り出しひと段落。
主婦って忙しいんだなあと思うね、なんだかんだ。
八重子先生がお茶を入れて下さりありがたくいただく。
明日から一週間出張の話をするとやっぱり心配されてしまった。
そんなにしそうですか、浮気。
というか娘が心配というやつだな。
「せめて一ヶ月あたりからその心配してくださいよ…
 さすがに一週間くらい大丈夫です。それに…防止対策されましたから」
「また噛まれたのかい? 絹…あんた噛むのはどうかと思うよ」
「いや、いいんです、したいようにして貰って」
「あんたマゾじゃあるまいし」
「ないですけど…気が済むなら。
 ところで勤労感謝の日、土曜日ですがお稽古はありますか?
 なければ絹先生と根津行きたいと思ってますが…どうでしょうか」
「根津?」
「井戸茶碗の展示ですって。行きたいの、いいでしょ?お母さん」
「まあどうせ連休だと生徒さんもお休みの方が多いからね、行っといで」
「ありがとうございます」
さてお話が終わったので絹先生はお洗濯、私は掃除と分業だ。
各々の部屋には立ち入らないことにしているのでメインは廊下や庭掃除だけど。
家が広いというのは掃除が大変である。
いつも先生方で手入れされてるというのが凄いよな。
早よ嫁さん貰え律君。
茶室の畳の拭き掃除も終えて、お昼ご飯。
孝弘さんが昼前から外へ行ってるので簡単に丼、他人丼うまい。
こういうのが出てくるのがお客様扱いされてない感じで何か嬉しい。
「山沢さんって結構食べるわよねえ」
「あぁ、うまいからですね。
 一人で家で食ってるとうまくないもので。お造りと酒で終わったりしますよ」
「なんだい、その酒飲みみたいなの。体壊すよ」
「やっぱり日本酒なの?」
「んー、ブランデーも飲みますが。大体京都は伏見の酒飲んでます」
「お取り寄せしてるのねー」
「ま、そんなには飲みませんけどね」
一服して掃除再開、指示貰ってあちこちと。
八重子先生はお友達が来ているらしく絹先生がお茶を出したりしている。
戻ってきてごめんね、という。
「そんなに困った顔しなくてもいいですよ、怪しまれるよりはいいです」
「そう?」
「そのかわり出張から帰ったときにね?」
「あら、もぅやあねえ」
「もう少ししたら俺も居間へ戻りますから、どうぞ」
頭を撫でられてしまった。
掃除を終えて一旦部屋に戻り、着物を調えた。

「山沢さんだっけ?」
「開さん? どうなさいました?」
「君、絹とそういう関係なんだよね?」
「……先生と生徒の関係」
「じゃないよね」
「お友達」
「でもないよね」
「…わかってていってるでしょう、それ」
「まぁね。絹からとは思えないけどどうしてかな?」
「言いません。呪われそう」
「呪われそうなことをしたのか…」
あ、失言。
「…君、男には興味ないの? 見られるの気にしてなかったけど」
「興味はありませんね。出来ないとかではないですよ。見られ慣れはまた別の話です」
「ふぅん、出来ないわけじゃないんだ?」
ずいっと開さんが近寄って肩をつかんできた。
「僕と、してみる?」
そういってキスされてしまった。
「別に構いませんが。今はいやですね」
「どうして?」
「明日から出張でしてね、疲れたくない」
「斬新な断り方だな、それ」
「そうですか?よくありそうな断りでしょう」
くくっと笑っていると、絹先生が来た。
「あら兄さん、来てたの」
「ちょっと蔵にね」
「おいしいお菓子いただいたの、食べない?」
「ああ、もうちょっとしたら行きます、開さんと話したいことがありまして」
「あらそう?じゃ先に食べるわよ?」
「ええ」
さて絹先生は戻った、開さんと二人だ。
「開さんが気づいてるのは知ってましたよ。
 ただそれ、絹先生には言わないほうがいいかと思います」
「気づいてたんだ?」
「まあ一応見えますんで、それ」
「見えるの!?」
「孝弘さんのことも知ってますのでここまで大胆にやってるわけですが…。
 さすがに律君にはご内密に願います」
「あ、ああ、律には、言っちゃ駄目だな、うん」
「ということでよろしく願います。では」
部屋を出て居間へ行く。
「あぁ山沢さん、呼んだのに悪いけど粒餡だったよ、お干菓子いるかい?」
「頂きます頂きます、落雁ですか?」
「鶴宿だとさ」
「へぇ。どなたか京都に行かれたんですかね。あそこの薯蕷うまいそうですよ」
「いやお店が日本橋に有るらしくてね」
「ということは京観世ですか、粒餡。
 日本橋にあるんだったら今度行ってみます、柚餅好きなんですよね」
「求肥好きよねぇ山沢さん」
「昔羽二重餅が食べたくて自作しましたよ。ただ粉200gというレシピだったので」
「すごく沢山出来たんじゃない?」
「ええ、もうバット1個分…でも飽きませんでしたよ」
呆れ顔だ。
「母さん、これ蔵の鍵」
「あぁ開、来てたの。あんたも食べないかい、これ」
「いや僕は甘いのはいいよ」
「じゃお茶入れるわね」
見ていてなにやら楽しい。開さんを甘やかしてるなぁ(笑)
「あらもうこんな時間?そろそろお買物行かなくちゃ。山沢さん、一緒に来てくれる?」
はいな。
「僕が一緒に行こうか?」
「兄さんはいいわよ、ゆっくりしてて」
開さんを置いてお買物。
二人でお買物はいつもながらに何か楽しい。
「何が食べたい?」
と聞かれるのも結構ツボだ。
「何でもいいです」
といったら怒られるのもいつものことだ。
重いものを買っても担いで帰れる私は重宝らしい。
今日は出物があったぞ、オレンジ白菜だ。
これはうまいんだよなあ。
見た瞬間今日のお夕飯は鍋に変更されてしまった。
豚のスライスとお豆腐と~などと鍋材料を買い込んで、
軽いものは先生が、重いものは私が持って帰った。
「お母さん、今日はお鍋にするわね。山沢さん、白菜洗ってくれる?」
水が冷たくて嫌なんだそうだ(笑)
じゃぶじゃぶと冷水で白菜を洗って、まな板に並べる。
先生が切る。
そして壬生菜を洗ってこれも切ってもらう。
こちらではあまり壬生菜を食べないそうだが…。
よし食材の支度は済んだ。
後は食事時間の前に火を入れるだけだ。
先生においでおいでをされて近寄ると軽くキスされた。
「あ、出汁の味。ごちそうさまです」
笑ってぺしっと頭を叩かれた。
「もう、しばらく会えないのにそんなこと言って…可愛くないんだから」
「一週間ですよ。半日でこれない距離じゃなし、いざとなれば、ね?」
「戻ってくれるの?」
「ただまぁ、滞在3時間ってところでしょうけど」
「結構短いのね」
「仕事終わってから、朝までに戻らないとね」
「私が行ったら…もっといられるかしら」
「駄目です、それは」
「だめなの?わかったわ。部屋に女の子呼ぶんでしょ」
「呼びませんよ」
「嘘」
「嘘じゃありませんから、機嫌なおして下さいよ…」
「じゃあどうして?」
「お稽古もありますし、特に今度の日曜は口切でしょう?」
「あ…だからなの…」
「参加できないのは残念ですけどね。炉開きより重要なのに」
「わかったわ…ごめんなさいね」
手の甲にキスを落として。
「嬉しいんですけどね。さ、居間に戻りましょう」

居間に戻ってしばし歓談。
「ただいまー」
律君帰ってきた。
「あら、おかえり。もうお夕飯食べる?」
「お父さんは?」
「今日はいらないそうよ。食べるんなら着替えて手を洗ってきなさい」
「うん」
んじゃ用意しますか。
お鍋は結構美味しく出来た。
律君が壬生菜の味に変な顔をしたり、生麩に焦っていたり。
「白菜がいつもより甘いね、色も違うんじゃない?」
「これオレンジクインって品種でサラダにしても甘いんだよ。
 あんまり売ってなくてね。だから今日の一番目玉かも?」
「そんなのあるんだねぇ」
お鍋は完売御礼、雑炊は夜食(笑)
お台所に持っていって、先生と洗い物少々。
「あ、そうだ。リングですが。いない間稽古中は外すのは自己判断でお願いします。
 できたらつけてて欲しいですけどね。
 辛い時とか気に障るとかならはずしても構いません」
「いい、の?」
「風呂とか寝るときとかと同じですよ、またつけてくれれば良いんですから」
「あら、そういえばそうね。外していいって言ってたわね」
「着物だと違和感そうないでしょう?押さわってるから擦れないし」
「お洋服だと違和感あるの?」
「結構にね、あるそうですよ。仕事が出来ない、とか」
「そんなに?こんなので?意外ねえ」
「今度洋服着てくださいよ、ノーブラで」
「やぁよ、恥ずかしいわよ」
「普段ノーブラノーパンじゃないですか、ねえ」
「洋服だと着ないと変よ…あ、私山沢さんのスカート姿見て見たいわ」
「持ってませんよースカートなんて」
「あら、じゃ一緒にお買物行きましょ、ねっ?」
「えええええ、なんでそうなるんですか」
「だって私のスカートじゃ入らないじゃない。前にスラックス借りたから知ってるわよ」
「貸しましたっけ?」
「ほら、山沢さんのおうちにいたときに浴衣洗って干してる間」
「ああ!そういえばありましたね。中々見慣れぬ姿でした」
「制服はセーラーだったのよ、学校行ってた頃は」
「うわー出張から帰ったら見せてくださいよ!見たい!」
「アルバム、開兄さんだけ写真がないのよねえ」
「ああ、そうらしいですね」
よし洗い物終わり。
さてと。そろそろ帰らねばならん。
居間に戻ろうとする先生を引き止めて、ディープキス。
先生の目が潤んでいる。
「じゃ、そろそろ…」
「うん、気をつけてね…」
居間へ行き、帰るご挨拶をして。八重子先生に見送られる。
「あら、絹は?見送りくらいしたらいいのに」
「もう挨拶はしましたから。また来週、よろしくお願いします」
「そう?あんた結構鈍臭いんだから気をつけなさいよ?怪我しないように」
切火を打ってくれた。
「ありがとうございます、気をつけます。では!」

自宅に戻り明日の支度をしてすぐに寝る。
翌朝、出勤して仕事を終え、出張先へ。
新幹線が通るようになって本当にこっち方面への出張が楽になった。
前は半日かかっていたからなあ。
しかし、現地から取って返す、それも新幹線のない時間帯となったら車、
関越自動車道で行くしかないな。まさに3時間程度しかいられないし、徹夜だろうけど。
それでも会いたくなったら行くしかない。
そんなことを考えているうちについた。
まずはホテルにチェックインしなければ。
安かったがそれなりのホテルだ。
食事は別。朝飯は適当な喫茶店行けばいいし。
さて、明日から回る漁港への道路を確認しなければ。
明日はまず北側にある川沿いの漁港に行くことになっている。
まあ、今回の出張で行く漁港へは1時間以内につくところばかりで助かる。
基本的に今回は挨拶回りだから気が楽だ。
ただ、話によっては夜に接待を受けたりがあるから遊びまわるのは無理だが。
まあ今日はメシ食ってごろ寝だな。
疲れた。
先生はどうして居るだろうなぁ。
ってお稽古してるに決まっているよな。
とりあえずメシ食うか。
ホテルの1Fにあるという酒がいい居酒屋を教えてもらった。
こりゃすごい。
メニューが酒だらけだ。
いや今日はそんなに飲んじゃいけないからちょっとだけね。
なに、3階で利き酒できる?
夜9時まで? よしよし、明日にでも行ってやろう。
こりゃあ知らいで決めたホテルだが良いな、良い。
今度先生を連れて来たいなあ、沢山飲ませて…うん、いいね。
とりあえず土産は酒になりそうだ。
おいしくメシをいただいて、酒も入っておやすみなさい。

早朝というか夜も開けきらぬうちに漁港へ。
漁師さんや漁協とのお話をすませる。
それなりにお話がついた。
今晩いかがですか?といわれ一度は断る。
再度すすめられて乗る。
呼びたいなぁと思っていた古町芸妓を呼んでくれたようだ。
うんうん、京都と並び称されただけはある。
さすがに東京の人は慣れておられる、なんて言われたが、
東京でそんなに座敷かけたことはないな。
酒を控えめに接待を受けて、踊りや三味線を楽しむ。
あ。先生を座敷に呼ぶの忘れてた。
帰ったらそうだな、宗直さんたちお姐さんに願って座敷かけるか。
早めのお開き。みんな朝早いからねえ。
俺もホテルに帰ってすぐに寝た。
翌日はお話のみなので昼間っから利き酒エリアを楽しんで。
さすがに3日目は夜の街に繰り出した。
って結局芸妓呼んだだけだったりするが。
置屋の電話番号を教えてもらってあったので直接連絡した。
料亭などの手配もしてもらって車も呼んでもらった。
明日は一応は休み、朝早く起きなくても良いってことで。
楽しく遊んでいると電話。先生から。
『ごめんなさいね、この間の茶碗、明日使おうと思ったのだけど…』
「ああ、仕舞ったところですか。鶴首釜の横の棚だったように思います」
『ありがと…山沢さんあなたどこに居るの。…浮気よね』
ガチャッと電話を切られた。
あ、若い子のくすくす笑い聞こえちゃったな、こりゃ。
リダイヤル2回、あー駄目か。
帰ったら大変なことになるな…乳首取れたらどうしよう。
よその土地のお姐さんたちだからね、ちょいと相談。
こういう嫉妬にはどう対応したらいいんだろうね。
女同士は良くわからない?まぁ通う男性の奥さんの気持ちと考えて。
やっぱり誠意かな。誠意だよね。
沢山愛してあげればいい、なるほど。
愛されてる自信を持たせる、なるほど。
夜遊び・芸者遊びをしない。うっそいつぁ難しいな。
こっちの遊びが好きだからねえ。
新潟に来たならば古町芸妓、と思ってきたんだよ。
そういうと嬉しいといわれた。
十日町芸妓連とかね、あそこは十日町小唄で有名だけども。
古町は京都と並ぶ良い芸妓だと聞いているからね。
「こちらは市川と市山さんと聞いてますがね」
「いやぁ今は市山だけらてー。わっては市川、踊れますいねよ」
古株さんか。
市川と市山、二人で踊り比べてもらう。
なるほど違う。ここまで違うとは。
それなりに楽しく遊ばせて貰ってホテルに戻れば23時半。
うーん、明日朝イチに電話を入れるか。
八重子先生が出てくれるだろ。
なんだったら茶事が終わった頃に顔を出しそう。
終電で戻って来れそうならそうしてもいい。
21時までならあちらにいられるだろう。
ま、4時間あれば高速でつくから0時までいてもいいが。
その場合一駅手前で降りてレンタカーを借りておいて、それから先生宅だな。
夜中は借りれんだろうし。
算段をして、寝る。
翌朝、6時半、電話をする。
八重子先生が出てくれた。
昼までに電話いただければ夕方には行ける旨、絹先生へお伝えして欲しい。
そうお願いした。
さて、電話はくるかなぁ。
風呂に入って、今頃用意で大変だろうと思いを馳せて。
少し飲んでいると電話がかかってきた。
取ると八重子先生、来なくていいといってるとのことだ。
様子を聞くにいらだってる模様。
うーん困った。
八重子先生はほっときなさいというが。
取敢えずはこちらはこちらで時間潰すかね。
観光でもするか。
もういっそ何だ、キャバクラにでも行こうか。
更に怒らせてどうする。
やっぱり観光だ観光!
いや、飲むか!
幸い飲みつくせない酒がここには商われているからな!
15杯を飲んだ頃、電話が鳴った。
先生からだ。はや夕刻か。
「茶事、無事に終わりましたか?」
『なんとか終ったわ…だから…今から行くわね』
「えっちょっと待ってください、何で今から?来るんですか?」
『なんでそんなに慌てるの。女の人を呼ぶ予定でもあったのかしら』
「有りません!いやそうじゃなくて…」
『お母さんは行ったらいいって言ってくれたわよ』
「駄目です無理です」
『後ろ暗いことがあるんでしょう?』
「ちがいます、もうかなり酒飲んでて寝そうで無理です」
電話の向こうでため息一つ。
『じゃ明日行くから』
「帰ってからという選択肢はないんですか」
『それまでに夜遊びするつもりでしょ』
「ああ、信じていただけない?そうですか、そうですか。おやすみなさい」
電話を切る。電源も切る。
部屋帰って寝てやる。
さすがにあそこから3時間半かかるここまでは突撃してくるはずはない。
熟睡。
と、思ったら…。

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朝食の支度をして孝弘さんを呼んで朝御飯を取る。
今日は先生方はウールのお着物。秋ですなー。
冷え込み始めた2,3日は温かいもの着たくなるよね。
しばらくすると慣れてまた木綿を着たりするけど。
今日はお天気はそうよろしくもなく、お出かけはいまひとつの空模様。
さてどうしようか。
食後、孝弘さんが離れに戻り、お茶をいただく。
「今日はどこか行くのかい?」
「うーん、空模様怪しくないですか?降られそうな気がするんですが」
「そうよねえ」
「あたしゃ庭友達のところへ行くから留守番してるかい?」
「そーさせていただきます」
今日は一日ごろごろか。
昨日の安藤さんの稽古がなければ先生をそのまま家に閉じ込めて置けたのかなあ。
と、嫌いな人順位を上げておく。
「取敢えずは、まあ、掃除手伝いましょうか。暇ですし」
「あら手伝ってくれるの?嬉しいわ」
雨気の方が埃が立たんというしな。
八重子先生がお出かけした後、掃除を手伝い、お昼の支度をする。
「お昼食べたらどうしましょうかねえ」
「山沢さんはしたいんでしょ?顔に書いてあるわよ」
「ははは、そりゃまあそうなんですが。していいんですか?」
「だめよ…」
だよなあ。
お昼を食べて、さあどうしようか。
「あ、そうそう。ちょっと部屋まで来てくれないかしら」
「はいはい」
なんだろう。
部屋に行くと座布団をすすめられて座った。
「あのね、これ…鞄に入っちゃってたの」
…うわ、ディルド。
「…使って欲しいんですか?」
「…いやよ」
「いやよいやよも好きのうちっていいましてですね…」
「嫌い!」
「はいはい、わかりましたからそう怖がらないで下さい」
体が逃げてる(笑)
一緒に入っているストラップレスを出す。
普通のディルドの入った包みは遠くに置いて、と。
「で、ですね。これ、なにかわかりますか」
「わからないけど…どうせえっちな道具なんでしょ?」
「ええ。この長い方があなたに入れるものになります。ほら、触ってみて」
「いやよ…」
そういう先生の手に無理に触れさせる。
「やわらかいでしょ、意外と」
「ねえ、どうしても入れたいの?」
「うーん、というかこれだと私が腰を使えるといいますか…。
 ああ、ええとですね、これは…
 この短いほうを私に入れることで、生えてるように扱える代物なんです」
「…よくわからないわ。入れる?どういう状態なの?」
「……ですよね、仕方ない」
裾をからげ下帯を外す。うう、恥ずかしい。
ちょっとまだあまり濡れてないからきついんだが…押し込む。
収まった、かな。抜けないね、よし。
「こういうことです」
「あらぁ……」
「今日は着たまましましょうか」
「え、ちょっとまって。駄目、入れちゃ駄目よ」
「私だって苦手なもん入れたんですから、先生も入れて見せてくださいよ」
「いやっ」
「着たままがいやなら脱いで。持って来たのあなたでしょう」
「やだっ!いやよ、許して、ねえっごめんなさいっ」
「そんなにいやですか?」
「嫌なの、お願い…!」
「泣いても駄目、入れちゃいます。よっと」
滑らかに入った、何だ、俺より濡れてるじゃないか。
ゆっくり腰を使う。
う、気持ちいい。
奥まで入れると恥骨がぶつかり、突起同士が当たる。
こねるようにすると声が出そうになる。
先生も気持ち良さそうで、声が出ている。
「ねえ、どうです、これならいいでしょう?」
「山沢さんも、気持ちいいの?」
「ええ、だから。あなたが私が好いところ見たいって言うから」
ああ、たまらんなあ、つい腰を打ち付けてしまう。
先生も逝きそうだが俺もやばい。
先に逝かせてしまわねば。
声が出ないように堪えて打ち込み、こねるように腰を回す。
やりなれないからぎこちない。
それでも先生をなんとか先に逝かせて。
「あぁ、おれも、もうだめです。ううっ逝、くっ」
逝ってしまって座り込みたくなる。
ゆっくりと先生から抜いた。
「はぁ、はぁ、うぅ…」
先生と座り込んで息を整える。
「あぁ、もう。やる予定なかったんですよ、こんなとこで!」
自分からそれを引き抜くと、どろりと出る感触。ストッパーかよ。
ちょっとげんなりと、無理やりしちまった自己嫌悪と。
「ご、ごめんなさい」
「あなたが謝る筋じゃない。私が悪いんですから」
先生がシュルッと帯締めをはずして脱ぎ始めた。
「お風呂、一緒に入らない?」
「なんですか突然」
「汗、かいちゃったから。それに山沢さん、気持ち悪いかなって」
あー…。入るか。

風呂に入って、さっと洗い、一緒に湯に浸かる。
「すみません、無茶、しました。嫌だって言ってたのに」
二人とも体は気持ちよくなれても心が傷つくんじゃ意味がない。
返事がいただけない。思わず顔を湯面につけてしまった。
1分ほどして髪を掴んで引き上げられた。
「窒息するわよ?」
少し荒い息をしていると頭を撫でられた。
「それ、私も嫌だけど山沢さんも嫌なのよね? だったら使わなくていいじゃないの…」
「うぅ…、あなたがあれが好いと言うなら、我慢するつもりでした。
 その、なんというか私が一緒に好くなってるのがいいと言うか、と思ったので」
結局二人とも嫌だったわけだが。
「するなら…普通にしてもらうほうがいいわよ」
「そうさせてください」
「でも…山沢さんの気持ち良さそうな顔、初めて見たわ~」
「やめてくださいよ、もう」
げんなりして再度顔を湯につける。
死にたくなるくらい嫌なのにな。
ぷくぷくと空気の泡を立てていたらやっぱり引き上げられた。
「拗ねないの」
キスをされて。
うーん主導権とられっぱなしじゃないか。
「そろそろ上がらないとのぼせるわよ」
風呂から上がって、部屋に連れ込む。
懐に抱いて…ヤる気が起きない、駄目だ。
しばらくして先生が手水に行ってる間に八重子先生が帰ってきた。
着替えて居間に行く。
「お帰りなさい。ということで帰ります。すいません」
「どうしたんだい?」
「頭冷やしたいんで帰ります。お邪魔しました」
「またなにかあったのかい?」
「すみません、聞かんで下さい。失礼します」
逃げるように先生のお宅を出て電車に飛び乗った。
携帯の電源を切ろう…。
ああいう様を見られたこと、からかわれたことに耐え切れず、
吐き気を催し帰ってきてしまった。
寝室でこの状況に嫌気が差すやら腹立たしいやら。
鬱屈。

夜。
先生が来た。
「何しに来たんですか、こんな時間に」
「…その。ごめんなさい」
「とりあえず上がってください。卑怯ですね、終電もない時間に来るとは」
ビクビクしているな。
「何をそんなに怯えているんです?昼の余裕はどうしたんですか?」
八つ当たりして居る自覚はある。
深呼吸一つ。
「着替えて、寝てください。俺はこっちで寝ますから」
和室に入り襖を閉めて畳に布団を敷き転がる。
しばらくして、襖が開いた。
「あの、山沢さん…お昼はごめんなさい。私…」
「もういいですからベッド使ってください」
「山沢さん…」
「寄るな!」
先生が私に近づいてきて…思わず。
「ご、ごめんなさいっ…」
「ああ、もう、あなたが布団で寝るなら私がベッドで寝ますから」
「…そんなこと、いわないで。お願い…」
「それ以上近寄ったら酷い事しますよ」
怯えた顔だ。もう近寄らないだろう。
!!
先生が抱きついてきた。
「酷くしてもいいから…許して」
くっ、と嘲りの笑みが浮かぶ。
「簡単にそんなこと言うものじゃない。
 あなたは私の酷さを知らないからそんなことを言うんだ」
「しらないわ…でも、このままじゃ、いや…」
「隷属、させますよ?」
「なんでもいいから…」
…あ、多分意味わからずに言ってるな。
醒めてきた。
再度深呼吸。
「とりあえず今日は寝なさい。もう遅い。
 明日朝、部屋に辞書があるから隷属の意味調べてから、この話の続きをしてください」
動こうとしない。
ったく。ひっくり返して布団に押し込めて立つ。
慌てて起きて取りすがられた。
「抱いてくれない、の?」
「あんたなあ!いい加減にしろよ!」
胸倉を掴んで布団に投げつける。
「寝ろ!」
言い捨てて寝室に入る。鍵をかけて。
ああ、もう腹が立つ、自分に!

小一時間ほど転がって少し落ち着く。
ちょっと酒でも飲むか。
そう思い部屋から出ると食卓で先生が転寝していた。
苦笑。
抱き上げてベッドに入れる。
涙の痕。
キスをしたくなって、唇に軽く。
もっとしたくなって深く。
「ぁ…」
先生が起きた。
耳を舐めて、かじって。
首筋、鎖骨にキスマークをつけていく。
寝巻の帯を外して、胸、腹、腕、背、尻、太腿、ふくらはぎ。
いたるところにキスマークを残す。
焦らすように肝心のところには触れず、いたぶるかのように。
あちこちを舐め、噛み、さいなむ。
何度もお願いされたが触りもせず。
一時間半ほど経ってついに泣き出した。
可愛い。
一気に指を入れて好い所のみを擦って一気に上り詰めさせる。
何度か逝かせて。
もう勘弁して、の声が聞こえるが構わずに。
限界かと思えるが構わずに。
悲鳴の声も上がらなくなってきた。
楽しい。楽しい楽しい楽しい。
ついには白目をむいて脱力してしまった。
指を抜いて、始末をしてやり抱きしめて寝る。
明日はもっとしてやろうか…。

ふと目が覚めて。
朝か。
先生は懐で寝息を立てている。
今何時だろう。
時計を見れば9時を過ぎていた。
寝過ごしすぎだろ…。
休みだからまあいいか。
しかし、ぬくい…。
ぼんやりとぬくさに浸っていると先生が起きたような気配。
「目が覚めましたか?」
「ええ…」
「腹減ってますか?もう9時半前ですが」
「えぇっ!? やだ、もうそんな時間なの?」
「腹減ってないなら昼までこうしてたらいいじゃないですか、ねえ」
「そんなわけには…」
「いやなんですか?こうしてるの。俺は好きなんですけど」
「そうじゃあなくて…んっ」
胸を優しく揉んで。
「今日一日、ずっとしててもいいくらいですけどね」
「無理よ、勘弁して…」
「酷くしてもいいんじゃなかったんですか?」
「あっ…。ご、ごめんなさい、無理、でした…」
真っ赤になっていて、可愛くてつい強く抱きしめてしまう。
「あの…お手水、行きたいから離して?」
「駄目といったらどうします?」
「そんなの、困るわ…お願い、ねぇ」
がっちり固定して放さない。
「我慢できない?」
「できないわよ、お願いだから」
手を緩めて放してあげた。
先生はほっとした表情で起きて、ベッドから降りようとして、落ちた。
「ちょっと!大丈夫ですか?」
「立てない…」
あ、昨日足痙攣させまくってたからかな。
「とりあえず、お手水、つれてって、お願い!もれちゃう」
慌てて抱きかかえてトイレに連れて行く。
座らせてトイレから出る。
「終わったら呼んでくださいね」
中に入って待っていてもいいが、まだ流石に見られたら出るもんも出ないだろう。
しばらくして流す音。呼ばれて抱えあげてベッドに連れ戻る。
「恥ずかしくって死にそう…」
ああ、もう超絶可愛い!萌える!
「ラブホなんかだと漏らされるのも一興なんですけどね」
くすくす笑ってしまう。
「それだけは嫌よ、この年になって漏らすなんて…」
そういう先生の中にくにゅっと指を入れて。
「ここ、このあたりを擦ってると漏らす人も居るんですよね。
 別のものですけどね。量がおしっこみたいな人もいますよ」
先生は今のところ潮を吹かない体質のようで気持ちはよいらしいが出たことはない。
まあ後始末の問題もあるから別に吹かなくていいんだけど。
くにくにと中を楽しんで喘ぎ声を楽しんでいたら先生のお腹が鳴った。
「お腹すいてたみたいですね、なに食べたいですか?」
ってそんなの考えれる状態じゃないようだ。
もう逝きそうらしい。
少し焦らすと腰が動いてエロくて好い。
あ、自分で探り当てちゃったようだ。
がくがくとしてる。
「もっとしましょうか?」
逝った後すぐは辛いと判っていてそんなことを言ってみる。
というか、したいんだよねー。
いやいやをする先生をひっくり返して後ろからしちゃおうか。
再度空腹の音。
凄く恥ずかしげ。
こりゃなんか食わしてからの方が良さそうだ。
ベッドで食うとしたら…パンとスープかなにかかな。
クロワッサン食いたいなあ、うん。
買ってこよう。
「パン買ってきますが何がいいですか?フランスパン以外なら何でもいいですよ」
フランスパンはベッドで食うと後が大変なんだよな。
「何でもいいわ…お腹すいちゃった」
「俺はクロワッサンにしますけど」
「一緒でいいわ」
「んじゃ、これ。電話子機。一応のために持ってて。俺は携帯持って出てますから」
さっと服を着て買いに出る。
すぐ近所にベーカリーあるから昼によく買うんだよね。
クロワッサンを二つと、定番のベーコンエピ、それと甘い甘いハニーパン。
真空包装のスープ。コーンを一つ、枝豆を一つ。
どちらが好みだろうな。
手早く会計を済ませて帰宅する。
パンをベッドに居る先生に渡してスープのどちらがいいか聞く。
コーンがいい模様。冷たいのか温かいのか、というのには温かいのがいいようだ。
食卓に連れて行って欲しいという。
「ベッドの上で食べるのは嫌ですか?」
「だって病人みたいだもの…」
「膝の上で食べさせてあげましょうか?」
「じ、自分で食べるわよ、もう!」
可愛いなぁほんと。
寝巻きの帯を締めさせて抱えあげ、ストーブの効いたリビングに連れ出した。
食卓の前に座らせ、羽織を着せる。
パンを出して暖めたコーンスープを前へ。
「スプーンいりますよね」
俺は要らんけど。
「肘突いちゃいけないんだけど…」
無理だよねぇ、上体支えれないよな。
「足、どういう感じなんですか?」
「筋肉痛の酷いの…かしら。お腹も…」
笑えるけど、それならいいんだそれなら、うん。
「笑わないでよ、もう。山沢さんのせいなのに」
「だったら明日も、動けませんね。明後日もお稽古できるのかな。
 動けなければうちにいてもらいましょうかね。ずっと」
「そんなのお母さんに怒られるわ」
「八重子先生ならわかってくれそうですけどね」
「律やお父さんになんていうのよ…」
「きっとうまく言っといてくれますよ。それとも。
 先生のお宅で昨日のようにしてあげましょうか?沢山声を出させて」
「ひどいこと、言うのね」
「どちらがいいですか?ベーコンエピとハニーパン」
とパンを差し出す。
うーん、と悩んでハニーパンが先生のもとへ。
「あら、これおいしいわねえ。あんまり意地悪言わないで。ね?」
はいはい。
美味しそうに食べてる姿を見て幸せな心持になる。
食後、ベッドに連れ戻す。
一緒に布団に潜ってぬくぬくと。
懐に寝巻きの先生を入れて。
また、うつらうつらとしている。疲れてるみたいだ。
疲れさせたのは誰だって?俺だな、心身両面で、だろう。

2時ごろ、寝るにも飽きた。
ベッドに先生を残して、起きる。
ああ、ちょっと弾きたいな。
そう思って道具部屋から三味線を出す。
調弦。本調子。
さて何を弾こう?
まずは秋の夜でも。
~\秋の夜は、長いものとは真ん円な、月見ぬ人の心かも、
 更けて待てども来ぬ人の、音信るものは鐘ばかり、数ふる指も寝つ起きつ、
 わしや照らされているわいな。
浮気同士が。
~\浮気同士が、ついこうなって、あぁでもないと四畳半、
 湯の沸るより音もなく、あれ聞かしゃんせ松の風。
キリキリっと調子を変えて三下り。
惚れて通う。
~\惚れて通うになに恐かろう、今宵は逢おうと闇の夜道を只一人、
 先や左程にも思やせぬのにこちゃ登り詰め、エェエェ山を越えて逢いに行く、
 毎晩逢うたら嬉しかろ、ジツどうすりゃ添はれる縁ぢゃやら、じれったいよ
爪弾いていれば先生が起きて、じっと聞いている。
「なんだ、起きていたんですか。うるさかったですか?」
「ううん、山沢さん、お三味線もするのねえ…」
「素人の手慰みですがね」
三味線を置いて先生の横へ行く。
「トイレ、行かなくて大丈夫ですか?」
「あ、もうそろそろ一人で行けないかしら」
そろっとベッドから両足を降ろして立とうとする。
「やっぱりお願い…無理みたい。痛たた…」
「肩を貸すほうがいいですか?抱き上げるほうが良い?」
「足、つくと痛いから」
「はい、じゃあこっちですね」
抱き上げてトイレに運ぶ。
座らせて、にやっと笑って。
「見ていてあげましょうか?」
「もうっばかなこと言ってないで。つれてきてもらうのも恥ずかしいんだから」
「ばかなことじゃありませんよ、私の趣味です」
「えっしてるの見るの、趣味なの?」
「あなたを恥ずかしがらすのが、ですよ。知らん人の見てどうするんですか」
真っ赤になってて、大変可愛らしい。これがいいんだよこれが!
「まあでも、見てたら出来ないでしょうから外にいますよ」
「そうして頂戴、お願いだから」
外でしばらく待つ。流す音がして呼ばれて。
抱えあげてベッドに座らせる。
ベッドに防水シートを敷いてオイルを用意した。
「マッサージしてあげましょう。脱がしますよ?」
帯を解いて脱がせてシートの上に伏せさせる。
背中には厚目のバスタオルをかける。寒くないように。
手でオイルを温めつつ垂らして。
足指、足の裏、ふくらはぎ、太腿、臀部。
ゆっくり丁寧にやわらかく揉む。
遠いところから順に心臓に向けて。流す。
「はい、仰向けになって」
手を貸してあおむけにする。
やはり上側にはバスタオルを乗せて、足指側から中心に向けてマッサージ。
鼠蹊部をマッサージすると少し声が出てしまい恥ずかしそうだ。
「ここはあとでしてあげますよ」
お腹にもオイルを落とす。
腕や胸もついでに。マッサージというか、流すように。
気持ち良さそう。
体中がほのかにピンク色になってきた。
「シャワー、浴びましょうね」
服を脱ぎ捨てて、先生を抱き上げて風呂に入る。
ボディソープで先生の体を撫でて、オイルを落とす。
すすいでバスローブを着せる。
リビングのお座布の上に座らせ、膝掛けをかけてベッドのシートを片付けて。
先生のそばへ戻ると三味線を興味深そうに見ている。
「弾いてみますか?」
「えっいや、いいわよ」
「そうですか? 晩飯、出前にしようと思ってますがなにが食いたいですか?
 それと食材買ってきて何か作りましょうか?」
「作ってもらうのも悪いわねえ」
「んじゃなんぞ取りましょうね。
 まあその方が私もあなたとくっついてる時間が多くていいわけですが」
こんなことくらいで頬を染めている。
「体、あったまってる間に布団に入るほうがいいですね」
抱き上げてベッドに連れ込む。
バスローブの紐を外して乳首をまさぐる。
「また…するの?」
「したくない?それでもするのが私ですよ」
「そんな…」
「酷い人なんでしょう?俺は。嫌ならこんなのとは別れておくべきでしたねえ」
「嫌じゃ、ないわ。山沢さんのこと、酷いけど、好きよ」
「………」
「どうしたの?」
「いや、今初めてあなたから好きだといってもらえた気がします」
「あら?言ってなかったかしら。やだわぁ」
どさり、と横に転がる。
「いつからです?」
「いつから…って難しいわねえ。好きじゃなかったらえっちなんてしないわよ」
「俺ばっかり好きなんだと思って、ついむちゃくちゃしたりしてたのに…。
 ごめんなさい、酷くて。でも俺、酷いことが好きなんでこれからも多分します」
「あんまり酷くしないでほしいけど…」
「大丈夫、少しずつ慣らせば!なんとかなります!」
「だ、だめよぅ?」
「あ、血塗れとかスカトロみたいに汚いのはあまり好きじゃないんで多分しませんよ」
「スカトロってなぁに?」
「大小便系です。食ったり塗ったり飲ませたり」
「絶対しないで!」
「衛生的にもどうかと思いますしね」
「山沢さんがどこまでしたいのか、さっぱりわからないんだけど…」
「あー。あとでビデオ見せます、そこで絶対無理なこととか擦り合わせしましょう」
じゃないとトラウマになったりする行為もあるし。
「えぇと、ほとんど無理だと思うわよ?」
だろうね。
「ちょっと恥ずかしい、程度に収めてあげますよ」
「……それっていつもじゃないかしら?」
「そうともいいますね。まあそんな感じで少しずつ」
「不安になってきたんだけど」
唇にキス。
「大丈夫、気持ちよくしてあげますよ。痛い事はしてないでしょう?」
「そうだけど…」
「あなたが変な事しない限りは痛い事はしませんよ。約束しましょう。
 本当は叩いたり首輪つけたりしたいんですけどねぇ、ふふ。
 あ、別に普段お稽古とかでの指示とかは聞きますから安心して下さいね?」
「怖いこというのね…」
「独占欲ですね、首輪は。怖い?」
「何かどう繋がるのかまったくわからないんだけど…叩いて気持ちいいの?」
「叩いたときの悲鳴とか、泣いてるのとか。好きですよ。
 まあ…あなたの場合叩かなくてもたまに悲鳴聞けますから今のところはやりません」
「…できたらそういうのなしで優しくしてほしいんだけど、だめかしら」
「うーん、余裕があればそうします。というか。
 そういう人が酷くしていいとかよく言いましたね、本当にしたらどうするんですか」
八重子先生に申し開きが立たんよ。
「これまでされたことくらいだったら我慢できるかしら、って思ったんだけど」
「やるとなったらもっと酷いですからね?」
そろっと乳首を弄る。
「ここに洗濯ばさみをつけて鞭で叩き落すとか…ピアスあけるとか…」
つぅっと翳りを掻き分けて突起に触れる。
「ここにもピアスですね。焼いたり、針を刺したり」
きゅっと身を縮めて、顔が青くなっている。
「黒い痣になって皮膚が裂け肉が見えるまで鞭打ったりねえ。
 ふふふ、私はそこまではしませんよ?」
「山沢さんって怖がらせるの、好きよね…もう」
ちょっとほっとしたらしい(笑)
そのまま突起を弄っていたら勃ってきた。
ぬめりを擦り付けて逝かない程度にまったりといじくる。
「んっ、…腹筋、痛い」
ぶっ(笑)
「少しくらい動かしたほうが早く治るんですよ?」
「痛いことしないって言ったのに…」
「きもちいいこと、してるでしょう?」
「気持ちいいけど、お腹とか、足とか痛いわよ」
「じゃ時間かけてあまり痛くないようにしましょうね」
ほんの少し汗ばむ程度に、ゆっくり優しく。
逝くまでに2時間以上かけて。
幸せそうだなあ。
俺も幸せだ。
さてと。晩御飯何にしようかねえ。
出前出前、鮨かピザか中華か仕出しか。
どうします?と聞くと鮨になった。
一番手軽だからなぁ、と思ってると以前取ったところのが美味かったらしい。
そりゃそうだ、いいもん使ってるからな。
電話をかけてお勧めで握ってもらおう。
注文していると先生がそろりそろりと壁を伝って出てきた。
手早く電話を済ませて肩を貸す。
「大丈夫、ちょっと歩けるようになってきたわよ。まだ痛いけど」
「そりゃよかった。今日はどうします?このまま泊まって行かれますか?」
「う~ん、お母さんに一度電話してみるわ。律が帰る時間までには帰ってないと」
「ああ、そうか、律君は旅行でしたね」
トイレに連れて行って待っていると鮨が来た。
「わっ先生ちょっと待っててくださいね、出ちゃだめですよ!」
受け取って支払って出て行ったのを確認してから、出ていいですよと声をかけた。
「どうしようかと思ったわ~」
「裸のまま出て来るからですよ」
ひょいと抱き上げて食卓までつれて出る。
「自分で歩くのに…」
「裸でうろうろされたら食べたくなるからいけません(笑)」
「もう。すぐそんなこと言うんだから」
寝巻を持ってきて羽織らせて。
玄関に置き去りにした鮨桶を取って出す。
今日はお勧めは何かなあ…天然のぶりとカンパチか。
おいしいおいしいと食べてもらって、食べてるの見て楽しくなって。
ごちそうさまをして、先生のお宅に電話する。
「こんばんは、山沢です。すいません」
『ああ、仲直りできたみたいだね、その声だと』
「はいなんとか。それでですね、律君明日何時ごろお帰りですか?
 出来たらもう一日絹先生お泊めしたいんですけど。
 その、律君が帰るまでに家にいないとおかしいでしょうし…」
『あんたねえ…あんまりしすぎるんじゃないよ。ちょっと待ってな。
 (孝弘さん、律は何時に帰ってくるって言ってたかねえ?ああそう?)
 明日の夕方だってさ。泊めてやったらいいよ』
「ありがとうございます。じゃ、明日昼過ぎくらいにお帰しするつもりです」
『はいはい』
電話を切る。
「泊まっていいそうですよ」
「そう?律は何時に帰るって?」
「夕方だと孝弘さんが言ってらっしゃいましたよ」
「…お父さん、電話の近くにいたの?」
「ええ。そのようで。ご飯時だからじゃないですかね」
そうと決まればやっぱりベッドだ。
軽々と抱きかかえてベッドにダイブ!ひゃっほー!
パシッと額を叩かれた。
「なぁんで叩くんですか」
「食べてすぐまたするなんて駄目よ」
「じゃあしないからくっついていましょうよ、ね?だめですか?」
「仕方ないわねえ」
ベッドの中で寝巻を脱がし、肌を合わせて。
「ねえ山沢さん? あなたお稽古のときとか、ちゃんと先生として扱ってくれる?」
「勿論じゃないですか。けじめ大事ですよね」
「他のお弟子さんいるときとかも」
「当然ですよ。余人が居るときは一介の弟子、控えさせていただきます」
「ならいいんだけど…」
「先生が独身で俺が男なら、恋人なのでとか結婚するのでとか言いたいですけどね」
「………本当?言ってくれるの?」
「言いたいですねえ」
「嬉しいわ。でも言っちゃ駄目よ?」
「はい。わかってますよ」
「でも、あなたのどこかに私のものと刻み込みたいな…」
つっと翳りに手を触れる。
「えっ?刃物で?」
「違う、違います(笑) 二度と消えない傷にしてどうするんですか。
 いやまあ、刺青とかさせてくれるなら嬉しいことは嬉しいですが…
 第一刺青はMRI駄目ですし。一番簡単というとピアスですが」
「耳?」
「いや性器ピアスですよ」
「…凄く痛そうなんだけど」
「開ける時結構痛いし夏に開けると膿むんですよね。ここは」
と、襞や包皮をさわさわする。
「乳首にせよへそにせよ、あなたの場合衣服で押さえ込まれる場所なんで予後が悪すぎます。
 一般的に恋人に常につけさせるというと指輪やネックレス、耳のピアスですが…
 どれもお稽古の時つけていられないでしょうし…」
「そうねえ、外しちゃうわねえ」
「イヤリングみたいに挟むやつでここに金鎖つけちゃいましょうか。
 歩くだけでかすかに音がするようなチャームをつけて」
「だ、駄目よ、音がするなんて。お稽古のときに困るわよ」
「大丈夫、着物を着たら聞こえない程度のものにしましますから。ね?」
「だめ、だめよぅ、お稽古に差しさわりのあることはしないで。お願いよ」
「じゃ乳首につけましょうか。こっちなら音はしませんよ。
 ああ、たしかうちに有ったはずだ。ちょっと待っていてください」
道具部屋をあさる。
確か前に色々買ったぞ?
あった有った、これだ。可愛いハートの連なってるリング。
チャームがついてるのは…エッチのときにしかつけれんから却下しよう。
「お待たせしました。こういうものです。まだ乳首立ってませんね。つけますよ」
ちょいちょいっとつけてサイズを調整する。
こんなものかな。
「浴衣着てみてください。違和感とかどうです?」
「ちょっとくすぐったいかしら…」
「金属アレルギー出るようでしたら違うデザインのものになりますが、ありますから。
 くすぐったい程度でなれるようでしたらそれで行きましょう」
「うん、これくらいなら多分大丈夫よ」
「で、これを…こうすると」
乳首を揉んで立たせる。
「ほら、こんな感じですね、えっちぃでしょ?」
顔赤い(笑)
「ちなみにここにも」
翳りを掻き分け突起を摘む。
「同じようにつけることが出来るんですよ。つけてあげましょうか?」
「やっ、だめ、そこ…そんなとこにつけられたらお稽古できないわよ…」
「今、想像したでしょう?凄く濡れてる」
こくん、とうなづいていて可愛らしい。
「したいけどしません、本当に凄くしたいけどね。背徳的でしょう?」
「しないで、くれる?」
「茶室でとか、お稽古中とか。背徳感はすごく良いんですが。
 あなたがしてって言わない限り大丈夫ですよ、茶人としてのあなたを壊すつもりはない」
「それは、お願い、します…」
好いところを抉りつつの会話は結構苦しそうだ。
喘ぎ声半分。
「ここに物入れたままお稽古とかね、ふふふ」
「やっ、だ、め…」
「身じろぎしただけで感じちゃうかもしれませんね。顔に出さずにいられるかな?」
「あっ、そんな、の。だめ、よ」
なぶっていると簡単に逝ってしまった。
「先生、結構羞恥に弱いですよね…可愛いな」
「恥ずかしいんだから仕方ないでしょ…もうっ」
「そういうところがまたいいんですけどね。何度でもしたくなっちゃう」
「あ…もう、明日、帰ら、なきゃ、駄目…なんだ、から、んっ、だめ、ねぇっ」
「ここでやめちゃってもいいんですか?」
手を止めて、周囲をかすかに触れる程度でなぞる。
「ん…意地悪…、酷いわ…」
可愛い。詰られるのにぞくぞくする。
「してって言って? あなたからは言えないかな」
「そんなの…言えないわよ…」
「じゃ、言えるまで焦らしてあげますね。早く言ったほうが楽ですよ?」
「ごめんなさい、して下さい」
早っ!
「えらく素直ですね」
「だって山沢さん、本当にそうなんだもの…。結構辛いのよ?」
「でしょうね、そうなるようにしてるんですから。早く言えたから沢山してあげますね」
「え、だめ、沢山は駄目よ。ね?お願い」
「お願いですか?仕方ないな」
ちゃんと気持ちのいいところを選んで弄り、深く逝かせて。
しがみつく腕が緩むまで抱きしめて。
「本当はもっともっとしてたいんですけどね」
「底なしよね…どうなってるのかしら…」
「問題はですねぇ、今、腕攣ってるんですよ…チョーイタイ」
すんごい先生笑ってる…涙目になるほど。
「ああ、もうっおかしいわぁ~。そんなになるまでしないのっ」
「右手が駄目なら左手で。オールオッケー」
むにゅっと先生の胸を揉む。
ぺしっと額を叩かれた。
「もうだめよ。あんまりするなら腕縛ってから寝るわよ?」
「おっとそいつは勘弁願います。あ、でも舐めたいな」
「駄目って言ってるのに、もう…ん、ん、そこ、あっ…」
別に味がどうとかではないんだが。
というかちょくちょく舐めたあとにキスしてるけど、本人的にどうなんだろう。
たまに指を舐めさせたりしているけど。
逝った後率直に聞いてみた。
やはり凄く恥ずかしいらしい。だよねえ。
「じゃ、もっと舐めさせようかな」
「なんでそうなるのよ…」
「だってあなたが恥ずかしがるのって可愛いんですもん」
「私の方が年上なのよ?」
「ええ。でも可愛いんだから仕方ないでしょう?」
「お稽古のとき厳しくしちゃおうかしら」
「どうぞどうぞ。こうしていられるなら下男扱いでも構いませんよ」
「…私の体が好きなの?」
「ん?どうしました?突然」
「だって、その…」
「あなたが好き、ですよ。
 たとえばこの胸、触るの好きですけど洗濯板だったとしても好きですよ?
 あなたが太っててもやせてても、好きですよ。
 ああ、ただ健康的でない場合は健康的な体になって欲しいでしょうが。
 …体だけ求めてるように感じましたか、すみません」
「だったらいいんだけど…」
「第一、体だけなら恥ずかしがってようが嫌がってようがやることやって家からポイッと」
「…そういう相手、いたのね?」
「いませんっ、いませんって」
胸噛まれた。
「う、なんで噛むんですか。痛いですって。痛い、痛っ」
うー、血ぃ出てる。
「山沢さんが他の人としないように?」
「そんなことしなくてもあなた以外となんてしませんよ」
マーキングされてしまった。微妙に嬉しくはあるが。
「あっ!」
「どうしました?」
「やだ、どうしよう。明日の朝早く行かなきゃいけないところあったのよ。あらぁ…」
「うちから直接いけそうですか? それとも今帰りますか?」
「う~ん、帰らないと無理そうよ」
「じゃ風呂入ってから帰りますか?それとも帰ってから?
 時間は…そうだな、入ってからでも十分終電にも間に合いますが」
「んー、湯冷めするかしら?」
「しますね。表、冷え込んできてるようですよ」
「着替えるわ…」
はいはい。
「八重子先生に電話しときますね」
電話をして、自分も着替えて。
「一人で帰れるわよ?」
「好きな女をこんな遅くに一人で帰すやつがいますか」
痴漢や酔客が絡んだらどうするんだ、まったく。
一緒に家を出て電車を乗り継ぐ。
やはり酔客に絡まれたが追い払ってやった。
おうちまで送って、もう遅いからとそのまま中に引き入れられて。
先生はお風呂に入って。
俺も入ろうと思ったがそのままが良いと言われて一緒に寝た。
先生はあったかくていい匂いがして、しっとりとした肌が心地よくて。
感触を楽しんでるうちに先生の寝息が聞こえてきて、
それに引き込まれるように寝てしまった。

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お茶をいただいて一服してから洗い物を片付ける。
使ったフライパンなどはちゃんとすでに洗われていて、後始末は食器だけだ。
きっちり洗って拭いて、仕舞う。
そのタオルと台拭きを漂白剤と台所洗剤の混ぜたものに漬ける。
夕飯前に濯いでおけばいい。
手をよく洗ってぬめりをこそぎ落として。
先生の横に戻る。
「そういや朝何時ごろ起きました?」
「うーん、寝過ごして6時過ぎてたわよ」
やっぱり疲れるのかな?
「山沢さんは眠くないの?」
「ん?昨日寝たの10時くらいですよ?5時間寝たら十分でしょー」
「えぇ?そうなの?」
「ああ、でも休みの朝はやっぱり気が抜けるから寝過ごしますね。
 先生と一緒に寝過ごしたこと有りましたでしょう?」
あ、頬染めてる。可愛い。
「ねえ、先生。していいですか?」
「ご飯食べたところなのに駄目」
出した手を叩かれて、渋々戻す。
拗ねてたら後ろから抱きしめられた。
ぞわっとしたの半分、温かいと思ったの半分、微妙な心持だ。
あ、トリハダ立ってるわ。
落ち着け落ち着け。
「拗ねてないで一緒にお買物行きましょ?」
それはいいな、うん。
「ほら、着替えてきて?」
「わかりました。帰ったらしていいですか?」
「仕方ない子ねえ」
頭を撫でられて、着替えに立った。
路考茶の紬をざっと着て羽織を持って出てくると先生が少し手直しされる。
羽織をそっと纏う。羽織の紐を結んでもらうときにどうしてもキスしたくなる。
私がそう言うと、先生は立って私の頬に手をやってキスしてくれた。
ついそのまま引き寄せるとくすくす笑っている。
「お買物、行きましょ?」
すっかり手玉に取られてるなあ。
「ところで何を買うんです?」
「お台所のものとか、ちょっと山沢さんのおうちに無いものがあるの」
「鍋釜とかそういうもんですか?なら場外行きますか?」
「そうねえ、ホームセンターなんかよりそのほうがあるかしら?」
というかこの辺にホムセンが無い。
足元が汚れるかもと足袋カバーの防水の奴を履いてもらって、一緒に場外に行く。
うーん、まあ横丁まっすぐ行けば何店か有るからまずはそこからにしようか。
先生をつれて歩くとそれなりに注目される。
いい女がいる、という不躾な視線。
横に立つ私をうらやむような視線。
先生は私の手を握っている。
「年末しか来たことがないからわからなかったけど…」
ん?
「意外と人少ないのねえ」
ああ、普段はね。特に最近市場も暇だからねえ。
お昼時だから飯屋はそれなりに混んでるけど。
とりあえず目的のもののありそうな店へと連れて行く。
いくつかあれこれと選び、支払いを済ませて荷物を持つ。
なるほどこれは俺一人だと使わないから家には無いな。
あと洗剤類をついでに買い足して、帰宅。
帰るなり羽織を脱いで。
ちょっと疲れたっぽい先生を引き寄せる。
「もう、気が早いわねえ」
胸に手を差し入れて揉み解すと息が荒くなって色っぽい。
「わかったわよ、脱ぐから待って頂戴」
そういわれたので手を洗って自分も脱いで、先生が脱ぐのを待…てない。
長襦袢を脱いだ先生を抱きしめてキスをする。
そのまま湯文字の中に手を差し入れてまだ少ししか湿っていないそこに指を這わす。
乳房を揉み、乳首に歯を立てる。触れた時に少し引けた腰を引き寄せて尻をなでる。
少し声が出て恥ずかしそうで、更にこちらの欲情を煽る。
「ここじゃいや…ねえ、お願い」
流石に食卓の横は嫌か?
わかっていながら食卓に座らせて濡れ始めた襞をなめる。
「いやよ、ねえ、こんなの…おろして…」
そういうので降ろして、食卓の上に上半身を伏せさせた。
後ろから舐めて、指を差し入れる。
「ばか、もう、こんなのいやよぉ」
二本に増やして掻き回す。
好い声が出てきて、気持ちよさげだ。
「こんなところなのに気持ちいいんですか?」
意地悪なことを聞いてみた。
いやいやをするがきゅっと中が締まる。
「こっちは気持ちいいって言ってますよ」
更に指を増やす。
気持ち良さそうでせつなそうで。
そろそろ道具を使っても痛くは無いと思うんだけどなあ。
心理的抵抗?だったら事後了承だな。
指をぎゅうぎゅう締めつけてくる。
かといってきついというわけではない。
中を蹂躙していると一際大きく声が出た。
へえ、ここも好いのか。
もう助けて、という声が聞こえるが構わずに擦ると背中を反らして太腿を痙攣させて逝った。
息も絶え絶えな先生を私の胡坐の上に抱え込んでゆっくり胸をなぶる。
「ねえ、今何本入れてたかわかります?」
先生は首を横に振る。
汚れた指を見せて、ほら3本も入ってたんですよ、というと頬を真っ赤に染めている。
「指、舐めて」
というと躊躇いがちにそっと舐めている。
舐めている舌をもてあそんで、指で口の中を犯す。
先生が段々と、淫らな事に順応していくのが嬉しい。
でもちゃんと恥ずかしがっているのが好い。
ああ、だけど自分からしてくれるようになったときも嬉しいんだろうな。
口から指を引き抜く。
もういちど好い声を聞きたい気がして再度指を穴に潜らせる。
角度が変わって二本もきつそうだ。
さっき良かったところはどこだったかな、と探る。
先生は掴むところが欲しい様で私の太腿をつかむやら腕を掴むやら。
胸をなぶる手に先生の指が食い込み、太腿にも爪が刺さるほどの力で。
必死に逃げないように耐えていて、可愛い。
曲げていた足が突っ張って、反らした喉の白さに目を奪われる。
一瞬腰が浮いて、すぐに脱力した。
息の荒さが心地よい。
なだめるように腕や太腿をなでる。
「今回はこれくらいにしましょうか?」
うなづいている。
ああもうめっちゃ可愛い。
「ねえ先生?私ねえ、あなたをこうしているのが一番気持ちいいんですよ。
 こうやって抱いてね、好い声を聞いて。しがみつかれたり引っかかれたりしてもね。
 あなたが気持ちいいことをしてるときが一番気持ちいいんです」
だから。
「セーフワード、決めましょうね。本当に嫌悪を感じること、恐怖を感じること。
 そういうことを私がしたときに止まれるような言葉をね」
「…よくわからないわ?」
「ああ。たとえば。浣腸して排便を見られるとかどうです?」
先生の腕に鳥肌が立った。
「そういうことはお嫌でしょう?嫌といっても勢いで私はしかねません。
 だから勢いを殺すための言葉を設定するんです。
 あなたが本気で嫌がってるという、そういうことを知らせる言葉を」
「わかったけど、それは絶対嫌よ?お願いだから…」
苦笑。まあするとしたら…私を本気で怒らせた時だな。
「ただし、簡単に使っちゃいけませんよ。じゃないと効き目がなくなりますから」
まあ怒らせたときは喋れなくしちまうだろうから意味は無いが。
「うん。わかったわ」
「なにか効果的な言葉、考えて置いてください」
「あのね…山沢さん、私…たまに怖いのよ。
 私がいやっていったときとか…あなたの気配が変わるから」
ああ、ちょっと楽しくなっちゃうからだな。
「それはですねえ…あなたを壊したくなっちゃうからですね。
 理性も何もかも奪ってあなたから『犯して』とか言わせて見たい。
 そんな困った欲の所為ですね」
そういうと先生は真っ赤になってしまった。
それになーやっぱり独占欲ってあるんだよね。
このまま攫って私しかいない世界で、ずっと抱いていたい。
壊れるまで、いや壊れても。まあ現実は無理なわけだし?
「ふふ、でも先生。あなた自分から言えないでしょう?」
理性はたまに行方不明にしてるようだけど。
「…言えないわよ。そんなの」
「どうしてです?怖いですか?」
ためらって、うなづいた。
まあ確かに?そんな事言われたら三日三晩ずっとしてたくなるだろうしな。
「ま、結構そういうところが好きなんですけどね」
今急に犯してとか壊してとか言われたら吃驚して自分のほうが困るかもしれん。
からかい半分で言われるのはあるかもしれんが。
少し冷えてきたな。
「ストーブつけましょうか」
ふと先生が時計を見上げる。
「うーん、そうね、それにそろそろお夕飯の支度しないと」
ん?もうそんな時間か。
「もうちょっと抱き合って居たいなあって思っているんですが」
くすくす笑っている。
「明日も私、ここにいるわよ?」
「それでもですよ、もうね、24時間くっついていたいくらい。
 あなたが好きなんですよ。だからもうちょっとこうしてたいな。駄目ですか?」
「うん、駄目。お洗濯取り込まないと雨降ってきちゃうもの」
がくーっとなった。洗濯物に負けた。
苦笑して先生を離すと頭を撫でられた。
「いい子ねえ」
子供じゃないんだから、それはないよなー。
浴衣を羽織って物干しに出た。取り込む。
先生も浴衣を着て、持って入った洗濯物を畳み始めた。
その間に私は漬け置いていた布巾を濯ぐ。
結構きつい液だから女の人の手指に優しくない。自分で濯ぐべきである。
何度も水を替えて濯ぐ。手はぬめる。皮膚が分解されるからなあ。
ちなみに結構布地が傷むので気になる人は薄い目に液を作るらしい。
絞ると繊維が切れる音が必ずするが私は漂白できてるかよくわからないより、
清潔なものを使って新しいものに入れ替えるほうが好きだ。
真っ白になった布巾を干して、洗濯物と格闘する先生とチェンジ。
私の仕事着は3Dデザインとかで畳みにくいんだよね。
てろんてろんとしたストレッチウェアとかもあるし。
これはもう折り目とか考えずざっくり適当に折るしかないが、
やはり初めて畳もうと思うと折り目縫い目正しくとか考えてしまう。
どうせT/Cやポリなので折り目は残らないので気にしなくてよかったりする。
ひょいひょいと先生が畳めなかったであろう物を畳んで箪笥へ。
シーツをベッドにセットして、と。
台所に向かう。
「何か手伝うことありますか?」
「そうねえ」
いくつか頼まれて、やる。
終わってやること無くなった。暇だ。
先生を見ると今は包丁も火も使ってない。よし。
近寄り、抱きつく。
「もうっ、邪魔よ」
笑いながら叱られた。
割烹着の上から胸をなぞり、耳を食む。
先生は胸をなぶる手をぎゅっと掴み、抵抗しようとしている。
「ん、駄目よ、ご飯作るんだから。ね、離して? あとでさせてあげるから」
先生をこっち向けてキスしたら、胸をつねられた。
「駄目。怒るわよ?あとで。ね?」
しょうがない、開放。
テレビをつけて天気予報など。
渋谷などが映し出される。
と、外から雨音。
「間に合ったわねえ。良かったわ」
洗濯物ね。
さて明日の天気は…雨か。一日中家の中かな?
今日は早く寝よう、うん。
「ねえ、さっきのセーフワードって普通はどういう言葉を使うの?」
先生は台所で料理をしながらそんなことを聞いてきた。
「え?ああ。そうですね、興醒めになるような言葉が多いですね。
 まったく今の状況に合致しない言葉、たとえば動物のや物の名前。
 目一杯限界の人が「明日は雨」とか有り得ない物を選ぶパターンと、
 あとは、そうですね、先生なら『おじいちゃん助けて』とかですかねえ。
 他にも喋れなくなってることが多いから相手の体を3回叩くとか」
「決めてなかったから今までやめてくれなかったの?」
「違いますね、まだあなたの限界じゃないと思ったからです。さっきも…、
 まだ余裕ありましたよね?」
真っ赤になってる。可愛いなあ。
「…いつも限界だと思ってるわよ?山沢さんが止めてくれないだけで」
「いつも少しずつ乗り越えてますでしょ? 無理はさせてないと思ってますが」
おや、眉をひそめてる。
「たまにするくせに…」
たまにはね、うん、たまには。
「私の場合、理性無くなるとどうなるかご存知でしょうに」
それに比べれば格段に逃げ場を残しているはずだけどなあ。
「それはそうだけど…」
納得いかないご様子。
手を拭いて割烹着を外して、置き、こちらに来た。
ん?という顔をすると、あとはご飯炊けてから、と言う。
気配を変えてひょいと距離を詰めると先生は半歩引こうとしたが、残念ながらそこは壁だ。
「無理をしてみましょうか?」
そういってキスをする。
逃げようとしたその肩を脱がせ、キスマークをつける。
うん、今だ、今こそ恐怖を感じてる。
快感じゃない、とわかってるこの感覚。
「い…や……」
歯がカチカチと鳴って。
「ほら、これがあなたの限界の一つだ」
私はすっと引いて胸の合わせを直してあげた。
「あ……、怖、かった…」
食卓の横に座り、おいで、と呼ぶ。
そろり、と私の横に先生は座る。
「いつもはちゃんと加減、してますでしょ?」
というと凄く頷いてる。
「これそうなら私の膝に来てください」
ちょっと躊躇したが気を決めたのか膝の上に来た。
緩く抱きしめる。
背中を撫でて、先生の気をほぐすように。
力の入った肩の力が徐々に抜けて落ち着きを取り戻したようだ。
ご飯の炊けるいい匂いがして、先生と私のおなかが鳴った。
「やだもう」
ぷっと先生が笑ってご飯の用意に戻った。
ご飯の支度が整い、食卓を片付けておかずを出す。
あら煮とお造りと白菜とかぶの炊いたんとほうれん草のおひたしだ
…俺だけだと多分お造りだけで食ってたな。
ご飯をよそってお茶を出して。
さあメシだ。
うまいなー幸せだなあ。
そしてちょっとだけ塩が濃くなってるのは…先生も疲れたと見える。
汗結構かいてたもんなあ。
お造りに醤油のほかに塩を渡す。
「お塩でもおいしいのねえ」
「でしょう? まあ食卓塩じゃないというのもありますが」
一応お造りに合う様選んでいる。
白菜のおかずがうまい。幸せ。
あら煮もうまい。おひたしはなるほど関東だ。
これはこれでうまい。
綺麗に食い尽くしてしまった。
「足りなかったらまだあるわよ?」
「いや満腹です。うまかったです。幸せですよ」
にっこり微笑んでくれたのをみて嬉しくなりつつ、私は洗い物を引き受ける。
先生が何か悪戯を思いついたようだ。
後ろに立つや、私の背中に抱きついた。
振り払えんし困ったな。
と思ってたら先生が私の乳を揉み出した。
「これ。いけませんよ」
まあこれくらいなら我慢してやってもいいか。
そのうち浴衣の中に手が入ってきた。
「やめなさい」
と言ってるのに乳首を摘んだりする。くすぐったい。
先生の手が裾を割って入ってきた。
「なにするつもりですかね、あなたは」
ふふっと後ろで笑う気配。
下帯をまさぐる指の感触。
「さっき怖がってた人がそういうことしますか?」
指が下帯の中に入ってきた。
水音は洗い物の音でまぎれてわからないが、自分にはわかる。
襞の中を探られる。
「やめなさいといってるでしょう?怖いこと、しますよ?」
指が、入ってきた。
いかん、キレそうだ。
「いい加減にしなさい」
そういってるのに中を探ろうと指を動かしてきた。
もう駄目だ、洗い物をやめて先生の腕をひねり上げる。
「きゃっ」
そのまま壁に押し付けて身動きが取れないようにする。
「やめなさい、といいませんでしたか? 罰を受けたいようですね。
 お望みどおり道具、使って差し上げますよ」
「ひ、いやよ…」
「まずは縛って差し上げます。それから使ってあげましょうね」
「た、助け…て…」
「誰に助けを求めているんです?」
「あんな、あんな大きいの無理よ、入らないからやめてっ」
……大きい?
ああ、そういえば道具部屋に放置してある奴、ネタで買った極太君か。
面白いから怖がらせておこう。
「あなた子供生んだことあるんですから大丈夫ですよ。入りますよ」
いやあれは生んだ直後くらいしか無理だろ。
そう思いつつ言ってると先生が本気で怖がっていて楽しい。
引きずって和室に連れ込みその辺にある腰紐で腕をまずは縛る。
これは捕縄の遣り方でいくら暴れていても即座に固定できる。
手を固定してしまえば蹴られる心配さえなければ後の縄はかけ放題だ。
さてどう縄をかけてくれようか。
菱か、いや普通に胸縄だけで十分か。
そう思い、道具部屋から縄を取って来た。
「やめて…お願い」
部屋の隅に逃げてそういっているが、やめてで済むならば、ねえ。
きっちりと縄を締め付けて行く。
まあ実際のところ胸縄って大して暴れるのを防ぐ目的としては意味は無いよなあ。
心を折るためには凄く有効だが。
ああ、そうだ。
縛ったところを鏡で見せようといってたんだったな。
縄を掴んで姿見の前に連れて行く。
「よく見てなさい、ね」
座らせて、裾を少しずつ乱していくと首をそむけようとする。
「ちゃんと見ないとお尻の方にアレを入れますよ?」
「勘弁して!それだけは」
そろりと太腿をなぶり、少しずつ翳りに指を近づけると荒い息で。
「まだ触ってもいないのに。もうそんな息を荒くしているんですか?」
首を振っていやいやをする先生の中に指を入れる。
たっぷりと濡れて、やはり視覚効果抜群なのを確認する。
いい感じだ。
中の方は…うん、さっき十分ほぐしたしいけるだろう。
再度道具部屋からディルドをまずは2本取って来た。
痛いと二度と使う気にならんだろうから、細身で小さいSも出してきた。
まずは道具に慣れてもらうのが主眼だったりする。
懐に入れてしばらく体温に近くしておこう。
一応のために念入りに中をほぐして、ローションをディルドに塗りつける。
物が見えないように、まずはSを入れよう。
入り口をなぶると体が硬直した。
「いや…ぁ…そんなの、入らない、やめてぇ…」
うん、あの極太君のつもりでいるんだから入らないと思うよね。
ずるり、と押し込むと簡単に入った。
まあね、指2本入れるより小さいから当然である。
えっ?という顔をしているので鏡に映して見せてあげた。
「太いのじゃなくて残念ですか?」
そういいながら抽送する。
「こんなのいやよ…いや、太いのなんて。いやよ…」
小さいのを抜いてもう一つ大きいサイズのものを取り出す。
先生に見せつつローションを塗る。
「次はこれ入れますよ」
ちょうど平均サイズくらいか、形はややグロテスクだから怖い気がするんだろうな。
押し当てると流石に少し抵抗感がある。
「痛かったら言いなさい」
じっくりゆっくり進めると奥に当たる感触がある。
先生は結構きつそうだ。
ゆっくり引き抜いてまた奥へ当たるまで押し込む。
痛いですか?と聞くと痛くは無いと首を振る。
苦悶の表情だ。きついんだろう。
ふむ。
ああ、中間サイズが確かあったはずだ。
「ちょっとこのまま待ってなさい」
道具部屋をあさる、すぐ見つかったので引き返しす。
入れていたものを抜く。引っかかって抜くのにちょっと大変だった。
これはもっと慣れてからにしよう。
改めて中間サイズを押し当てる。ぬめっと入っていく。
あ、好い声。こいつがジャストか。
何度か出し入れをしていると白く泡立ったものが付いてきた。
なんだいけるじゃないか。
切羽詰った声が出るのに合わせ激しくすると痙攣して逝った。
「道具も気持ちいいでしょう?」
逝ってるけどゆっくり出し入れする。
「ぁ…うぅ…抜いて、ねえ…もういや、こんなの」
「なにがいやなんです?大きいからじゃなくなったでしょう?」
泣いてまで嫌がるその理由は何だ。
中々言おうとしない。
「言わないならこのきついほう突っ込みますよ」
さっきのMサイズを見せると焦った表情だ。
「言いなさい」
「…だって…山沢さんのじゃないんだもの。物で気持ちよくなるなんて」
「物よりはまし、ということですか?」
「山沢さんがいいの。お願いだからもう勘弁して、ねえ」
「ふぅん。でも駄目です。あなた私がやめなさいといってもやめなかったでしょう?」
「ごめんなさい、許して、もうしないから…」
「本当に?」
「お願い、絶対しないから」
「…信じてあげましょう。次のときは最初からきつい奴使いますからね」
ほっとした顔をしているが、まだ抜かない。
まずは腕の紐、胸にかけた縄を外す。
「自分で抜いてみなさい。鏡を見ながらね」
少し引き出そうとして手が止まり、また中に引き込まれてしまう。
「お願い、山沢さん、抜いて…」
動かすと気持ちよくて手が止まってしまうようだ。
ゆっくり引き抜いてあげると好い声で鳴く。
抜いたものについている汚れを見て恥ずかしがっていて、本当に可愛い。
「さて。歩けますか?」
首を振る。
仕方ないな。担ぐか。
先生に手を掛けるとビクッとしている。あ、怖がってるな、これは。
担いでベッドにおろした。使った道具を片付けねば。
手を離すと袖をつかまれた。ん?
「あの、いかないで…」
「怖いんでしょう?」
…しばし無言。
手が離れた。
部屋を立ち去り先ほどの道具を洗う。
ざっと拭いて洗濯機の上に並べる。
そのまま仕舞って乾かなくてカビが生えても嫌だ。
よく手を洗ってから、台所の洗い物の続きをする。
眠くなってきた。
うーん、まあ寝てもいい時間だが。
書置きを作って、明日帰りたければ帰ってよい旨、鍵、電車賃などを出しておく。
こんなものか。
部屋に入ってベッドに腰掛けると先生がびくびくしている。
苦笑して逆側、先生に触れないように布団に潜り込み、すぐに電気を消した。
「おやすみなさい」
「おやすみ…なさい」
先生の返事が返ってきて、私はさっさと寝た。
起床時間。
ベッドから出ようとすると、もう?と先生が聞いてきた。
言葉少なに返事をしてとっとと出勤をした。
会社から帰りたくないなあ。なんて。
帰宅してみると鍵が開いて、おいしそうな匂い。
あ、れ? 帰らなかったのか。
「おかえりなさい」
「…ただいま。どうしたんです?帰らなかったんですか?」
「その…昨日はごめんなさい。怖くなっちゃって。
 もうすぐご飯できるからお風呂入ってきて貰えるかしら」
はいはい、とりあえず浴びてこよう。
洗面所で脱ぐ、なにか違和感。
洗濯機の上にタオルが掛けてある。
…ああ。
昨日の道具の上にタオル(笑)
風呂から上がって浴衣を身にまとい、台所に顔を出す。
粗方できているようなので食卓を整えて、出来ている物から出して行く。
うまそうだ。
昨日の残りは朝食べてしまったらしい。
野菜類は朝方買い物に行ったそうだ。
ご飯をよそってお茶を持って先生が来た。
まずはご飯をいただいてから、ということのようだ。
うん、やはりうまい。
先生も何か言いたそうだが何をどう言えばいいのか、という感じなのだろうか。
メシはうまいが、雰囲気は微妙なまま。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまです、うまかったです」
「あの…。居てもいいかしら。書置き…」
「帰れって意味じゃありませんよ。怖いんでしょう?まだ」
「…怖いけど」
「でしょう。だったら帰ったほうが良くないですか?」
「そんなこといわないで…。その…怖くないようにしてほしいの」
うん?
「あの、ごめんなさい。謝るから。優しくして…くれないかしら。だめ?」
「駄目じゃありませんよ。あなたがああいうことをしたから怒っただけで…。
 本当はできる限りあなたには優しくしたいとは思っているんです」
先生はほっとした表情になった。良かった。
「私こそ、申し訳ない。嫌がってたのに酷いことをしました」
そっと先生が手に触れてきた。
「次からは道具使わないでくれる?」
「あなたが変な事しなければ、ですね」
「もう懲りたわよ」
照れた表情で食器を台所に持っていくのが可愛い。
私は食卓を拭き、使わなかった皿を片付けた。
暫くして洗い物を終えた先生が来て、私の横に座り寄りかかってきた。
そっと撫でているとキスされた。
「キスはしていい?」
「ええ、キスは良いですよ。
 そうですね、懐をまさぐるくらいはかまいません、我慢できますから」
「えぇっ、我慢なの?」
あまり嬉しくはない。密着したいと言うのはあるが。
「そろそろ抱いて良いですか?」
「あ…うん、お願い…」
「ここでいいですかね?ベッドの上のほうが良い?」
「いやよ、ここは……ベッドが良いわ」
はいはい。
「先、部屋いっといてください。手を洗ってきます」
手を洗って部屋に戻ると、ベッドに先生が裸で恥ずかしげに仰向けでいる。
着物は脱いで衣桁にかけてあるようだ。
私は浴衣を脱ぎ捨て、先生に覆いかぶさる。
まだ少し怖がってるようだが…。
「やめましょうか?」
「あの…優しくしてね、お願いします…」
「激しくは駄目?」
耳まで真っ赤にしてる。
「可愛いな。わかりました、優しく心がけましょう」
軽くキスして、昨日の縄の痕、着物で出来た肌の痕、そんなものの上に指を走らせて。
「…………ねえ、山沢さん?
 若くはないわねえって思っちゃうからあんまりそういうの、意識させないで」
ぶふっ(笑)
「す、すいません、つい、笑っちまって…ああ、もう。
 そんなの俺の前で気にせんで下さいよ。
 それに次の日に持ち越してるのは縄の痕だけでしょう?」
「そうなんだけど…」
「縄の痕なんかはね、残ってるほうが俺は嬉しいな」
「どうして?」
「だって俺がつけた痕じゃないですか。…あれ?
 あなた今日、朝買物行きませんでしたっけ。これ、どうしたんです?隠せました?」
「ああ、そうそう。山沢さんのシャツ借りたの…黒の。あれ凄く伸びるのねえ」
あーなるほどあれならカバーできるね。コンプレッションシャツ。
「見せ付けたらよかったのに」
「やぁよ、恥ずかしいわ」
「俺のもの、って感じがして俺はうれしいですけどね」
キスをしなおて、胸をやわやわと揉み、乳首に軽く歯を当てる。
わき腹をそっと撫で、くすぐったそうにしているのを楽しむ。
徐々に下のほうに顔を埋めて行き、太腿やお尻を撫でたり揉んだり。
緩く、やわらかく愛撫をしてすっかり濡れそぼつ襞の中へ指をうずめる。
激しくならないよう丁寧に優しくを心がけ、時間をかけて中を刺激すると逝った様だ。
先生が幸せそうな顔をして微笑んでいるのを見て幸せな気分になる。
「ねぇ、もうすこし激しくてもいいわよ?」
「そうですか?じゃあ…」
中の好いところをを少し重点的に。
声が沢山出て。
しがみついてもらえて。
嬉しいなあ。
そのまま幸せたっぷり感じて、寝てしまった
もぞ、と動く感覚で目が覚めて。
あーいい昼寝だった。
先生が起きようとするのを抱きしめて阻む。
「駄目よ、夕飯の支度しないと」
「外に食いに行きましょうよ、もうちょっとこのまま、ね?」
「からだに悪いわよ、いつもじゃ」
「あなたがいるときだけです、普段はしてませんよ。だから。一緒にいてください」
「駄目よ。もうちょっと寝てなさい。支度してくるから」
そういって先生はキスを落として着替えてしまった。
残念。
もう少しうつらうつらとまどろんでいるとおいしそうな匂いがしてきた。
衣擦れの音がして、ギシッとベッドが沈む。
先生がかがみこんできて私にキスをする。
「山沢さん、起きて。ご飯できたわよ」
んー。やってほしかったことをやってもらえた♪
1.キスで起こされる 2.ご飯の声で起きる
ツボを押さえてるが多分これ、わざとやってないと思われる。
目を開けると割烹着のまま、ちょっと残念かな、脱いでたら引き寄せたが。
割烹着じゃ引き寄せたらいかんな。
「起きないと乳首咬むわよ」
うわっ、慌てて起きた。これはさすがに予想外。
「なんちゅうこと言うんですか、あなた」
先生はくすくす笑って浴衣を渡してくれた。
「だってなかなか起きないんだもの」
はいはい、起きましょ起きましょ。浴衣を着て食卓に着く。
今日のメシは昼に持って帰ってきた石鯛メイン。
お造りと青梗菜の胡麻和えときんぴらと…大根葉かなあこれは。かぶ葉?
あんかけで仕立ててある。それとお味噌汁。
おいしそうだなあ。
いただきます!と食べるとあんかけはほんのり生姜風味で。大根葉だこれ。
お揚げさんと大根葉ね。うまいな。
にこにこしてがっついてたら先生もにこにこしている。
「どうしました?」
「作ってて嬉しいわ、そんな風に食べてもらえると」
「あー作ったのに手もつけられてないとかすっごい嫌ですよねえ。
 先生のメシうまいってのもありますが、先生が作ってくれてるのも嬉しくて」
「ねえ、先生って呼ぶのやめない?名前で呼んでくれていいのよ」
「いけませんよ、うっかり稽古のときに呼んだらどうするんですか」
「あら…それは困るかも」
「でしょう?普段の言葉って出ますから」
「私と一緒のとき、たまに俺って言ってるわよね、山沢さん」
あー。そういえば言ってるな。
「気をつけます」
「あら、うれしいのに」
ん?
「だって私には素でいてくれるわけでしょ?」
ああ、そういうことね。
「完全に素になったのは見せませんよ。絶対」
「見てみたいわー」
「見せません」
きっぱり!
素はいかん、素は。
先生はいたずらを仕掛けようかなあ、という顔をしている。
「顔に出てますよ。悪巧みしてるでしょう」
「あらやだ、わかっちゃう?」
「わかりますって。駄目ですよ」
さてと。
「ごちそうさまでした。うまかったです」
「足りたかしら?」
「いえ、もう十分腹いっぱいです。足りてないのはこっちですかね」
と先生の手を掴む。
「あらあら。洗い物片付けてからね?」
「はい、あ、俺がやりますよ、洗い物くらい」
「うーん、それより昨日の…道具片付けてくれないかしら。お願い」
ああ。忘れ去ってた。見るのも嫌だろうなあ。
「わかりました、じゃ洗い物頼みます」
台所まで洗い物を運び、それから洗面所に向かう。
タオルをしまい、乾いているか、洗い残しはないか点検。
うん、大丈夫そうだ。
3本とも持って道具部屋に戻りしまいこむ。
あとこの極太君もしまっちゃおう。凶悪すぎる見た目が。
あ、縄。和室に置いたままか。
和室へ行くと隅にきちんとまとめてあった。
…どんな顔で纏めたんだろう(笑)
縄を持って道具部屋に戻って片付ける。
しかし、道具使わせてくれたらなあ…あれ使えばもっと肌を合わせてる気分が出るのだが。
と見るのはストラップレスディルド。
L字になってる短いほうを私の中に収納して固定して長い方でえぐるもの。
まあ、自分も入れるのは苦手なので人のことは言えないが。
とりあえず触らせてみるか。
懐に仕舞い、台所に顔を出すともうすぐ終わるから待っててと言われた。
後ろから手を伸ばし割烹着の上から胸を揉む。
「ね、本当に後ちょっとだから。待って。お願い」
耳を齧ると手が止まった。
先生は泡だらけの手で私の腕を掴んで。
「もうちょっとなの、待って、まだ揉まないで、ねぇ」
「洗い物なんて後にしましょうよ。ほら、手を濯いで?」
「だめよあとこれだけ、なんだから」
ひょいと覗き込むと確かにあと皿二枚程度。
「わかりました、待ちます」
手を離して洗面所で腕に付いた泡を洗い流す。
戻ると割烹着を脱いで畳んでいた。
その腕を取って台所の壁に押し付けてむさぼるようにキスをする。
身八つ口から手を差し込んで胸を揉むとちょっと怒ったようだ。
「脱ぐの、待てないの?」
と先生が聞いてきた。
「うぅ…待ちます、待ちます、脱いでください」
先生の手を引いてベッドのある部屋に連れて行き脱がせる。
もどかしい。
すべてを脱がせ、胸を強く揉みしだく。
「んっ、ちょっと痛いわ」
「あ、すみません」
がっつきすぎた。
「あ、ねえ、山沢さん。後ろ向いて?」
「は?ああ、はい。なんですか?」
先生に背を向ける。
「手をこちらに出してくれる?両手」
後ろに手を突き出す。
「腕を組んでみてくれる?」
柔軟性?
肩硬いんだよなあ。
っておいおいおいっ!
「ちょなんで腕縛ってるんですか!」
「だって山沢さん、今日力いっぱい揉むから痛いんだもの」
だからってなんで縛る!
「次のとき怖いかなーって思いませんか、どうなんですか?」
「んー、そうねー。怖いと思うわよ?でもねえ。
 逆に山沢さんがどこまでいけるのかなーとか思っちゃったりするのよね」
「まさかあなた、昨日の今日で手を出すつもりですか?
 報復、昨日よりひどくなることわかっていて?そうだとしたら…マゾですね」
「…やめておくわ」
「そうしてください。私とて怖がらせるのは本意じゃない」
「でも腕はこのまま、ね?だってさっき胸痛かったのよ」
「優しくしますから解いてくださいよ」
「駄目よー」
先生からキス。舌を絡めようとしたら離されて。
乳首が口に触れるか触れないかのところに来て頑張って舌を伸ばす。
「なんで焦らすんですか…」
一膝進めてかぶりつこうとするが一膝引かれて。
くっ。縄を解け。
ぎりぎり一杯のところで舌が触れる。
少し舐めているとまた離される。もっと近寄って欲しい。
「山沢さん、腰を下ろして」
言われたとおり座り込むとちょうど翳りのあたりに届きそうだ。
すでにしっとりと湿っているのがわかる。
顔を近づけて舐めると上から好い声が聞こえる。
きゅっと太腿で挟まれていい感じで舐めているとぱっと離れられた。
うー、もっと好い声聞きたい。
「ねえ、腕の。外してくださいよ」
「そうねえ。痛くしない?」
「しませんから、ね?」
「その前に…」
うっ!痛てっ。胸を掴まれた。
「これくらい痛かったのよ」
ついでのように乳首を弄られて勃ってしまった。
「だからって摘むのはやめてくださいよ」
くすます笑いながら腕を縛っている紐を外された。
「乳首、立っちゃったわねぇ。ねえ、本当に出来ないの?」
「なにをです?」
「山沢さんが私にしてるようなこと」
「うー。できなくはないけれど本当に嫌なんで。というかしたいんですか?」
「あ、そうじゃないのよ。そんなにいやだったのねえ」
「あなたを抱くほうが私はいいんですよ。
 それとも抱かれるの、嫌ですか? 私にするほうがいいんですか?」
「嫌じゃないわ。でもしてみたいかなーって思うの。だってずるいわよ」
「へ?…ずるい? なんですかそりゃ」
「私ばっかり限界のところまで追い込まれるなんてずるいわよ。
 山沢さんも見せて?」
「…嫌です」
「嫌なの?どうして?」
「うぅ…嫌なものはいやなんです」
あ、鳥肌立ってきた。
「そうなの?仕方ないわねえ。無理にすると後が怖いから、いいわ。また今度ね」
「今度はありませんから! もう。素直に抱かれてくださいよ」
唇にキスをしてお願いする。
ベッドに押し倒し。首筋、鎖骨、胸にキスをしつつ揉む。
先生の息が少し荒くなって、頬が上気してきた。
勃っている乳首を執拗に舐め、齧り、扱く。軽く逝った気配。
荒い息に波打つお腹を撫で、翳りへと指を進める。
襞をくつろげずともたっぷりと濡れているその周囲をさわさわと刺激する。
「ん、焦らさないで…」
開けると溢れてきた。
「こんなに濡らして…可愛い人だ」
「恥ずかしいから…そういう事言わないで…」
「そういうところが可愛いんですよ。いたたっ!」
乳首をつねられてしまった。
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃないですか。
 乳首から手を離しなさい。じゃないとちゃんとしてあげませんよ?」
私の胸から先生の手が離れて。
溢れんばかりのそこへ指を這わせる。
突起を擦り、しごき、潰して嬌声を聞く。
抵抗もなく中指が吸い込まれ、軽く動かすだけで逝っている。
更に薬指も入れて深いところまで刺激するとまたも逝った。
「随分逝きやすくなりましたよね」
いやいやをするのが可愛くて沢山いじめたくなる。
好いところを探しては逝かせて、たっぷり楽しんで。
そろそろ限界が来たようだ。
ギリギリの所をほんの少し越えて、やめる。
息が荒くて、辛そうで。
少し涙目になっていて。
その背に腕を回し、優しく抱きかかえる。
瞼にキスを落として背中を撫でていると段々に落ち着いた息になってくる。
そろそろか、汗が引いたようだ。
布団をかけて撫でていると瞼が閉じられ、寝息に変わった。
やっぱり疲れるんだろうな。
俺も疲れた。寝よう。
って懐に入ってた道具が邪魔だ。枕元にとりあえず置いて。
おやすみなさい。

もう起きる時間だ。
よく寝ている先生を置いて仕事に行くのがつらい。
ましてや今日はお帰しせねばならん日だ。
布団から渋々出ると先生も起きてしまった。
「もうそんな時間?」
「あなたはまだ寝ていて構いません、と言うか寝ててください」
まだ普通の人が起きる時間じゃないし寝不足怖い。
部屋に残して洗面・着替えなどをして書置きを作る。
9時半までに家を出たほうがいいとか、お昼は時間ないだろうから作らなくてもいいとか。
鍵と電車賃も忘れずに。
さて、出勤だ。
ジャンパーを羽織り、靴を履く。
「ねえ、お見送り、させて?」
先生が起きてきてくれた。
「駄目ですよ、行きたくなくなるじゃないですか。離れたくないのに」
寝巻きの先生の唇にキスをして。
「うー……」
後ろを向く。行かねば。
背中に温かみを感じる。
「気をつけて行ってきてね…うちで待ってるから」
「行ってきます」
時間がない。行こう。
玄関を出て、見送ってもらって嫌々出勤する。
出勤すると流石に週末でそれなりに忙しく、ふと気づけば8時48分。
先生は支度しているだろうか。一抹の不安。
電話をしてみる。出ない。もう帰ったのならいいが。
しばらくして先生が電話に出た。
「あぁ山沢さん?どうしたの?」
「よかった、起きてましたか。いや心配で」
「お風呂入ってたのよ、ごめんね、電話に中々でなくて」
「いや、それならいいんです。気をつけて帰ってくださいね」
電話を切る。風呂か。見たかったな。
その後も仕事をしばらくして時間になったので帰る。
食卓に軽い昼飯が。疲れていただろうに作ってくれたのか。
嬉しいなぁ。
手早く食べてシャワーを浴び着替える。
寝室に入ると…あれ、枕元においたはずの昨日の道具がない。
まぁいいか、時間がない。
お稽古の用意をして急いで家を出た。
電車を乗り継ぎ先生宅へ。

「八重子先生、こんちは、お邪魔します」
「ああ、いらっしゃい」
居間へ行くと絹先生が食事中だ。
八重子先生がお茶を入れてくださった。
「長らく絹先生をお借りしまして。ありがとうございました」
「楽しかったかい?」
「ええ、かなり」
絹先生が恥ずかしそうだ。
「今日はどなたでしたっけ。水屋の用意してきますが」
「ああ、安藤さんとあんただけだよ」
そんだけ?
「世間様は三連休だからね。みんな旅行だとさ。今日から律も旅行に出てるよ」
あーそうだった。妙に仕事が忙しいと思ったらそうか、そうだった。
「じゃええと安藤さんは…あ、炉?何します?」
「あんたらが居ない間に炉開きしちゃったからね、久しぶりだから平点前しとこうか」
「ああ、じゃ薄・濃い両方ですか? 炭は熾きてます?」
「下火はあるから炭手前からやってもらったらいいよ」
はいはい、じゃ用意を整えてきましょう。

安藤さんのお稽古も終わり、さてと水屋を片付けるか。
「あんたも稽古したらいい」
「え、まだ一ヶ月たってませんよ?」
「構わないよ。炉になったんだから気分を改めないとね」
ありがたくお稽古をつけてもらう。
私もまずは平点前。
流石にさっき見てたんだから迷いはしないがちょっとぎこちない。
「いつになっても炉・風炉が変わるときは難しいわよねえ」
それじゃいかんのもわかってるんだけどなあ。
まあ、間違いはないままお稽古は終わり、水屋を片付けてお開き。
「さて。お夕飯作るの手伝っとくれ」
お台所に行きまして、と。
お手伝いをしていくつかおかずを用意する。
孝弘さんを呼びに行って食卓について。
美味しくご飯をいただく。
うまいなあ、メシが美味いのって幸せだよなあ。
ごちそうさまをして、お茶をいただく。
孝弘さんは部屋に戻って行かれた。
「あんた連休はどうするんだい?」
「いやー今さっきまで連休だということ自体忘れてましたからどうしましょうか」
「あら、うちにいてくれるんじゃないの?」
「…それでいいならそうしますが」
「いやなの?」
「そういう意味ではなくてですね…八重子先生、笑ってないで」
「用がないなら泊まったら? ただし台所とか居間では駄目だよ?」
「えーと、できるだけ気をつけます、はい」
「それで山沢さんの家ではどうだったんだい?絹」
「もう居る間ずっとしたいって大変だったわ」
ちょ、絹先生そんなこと言わなくてもいいでしょうに…。
「若いねえ」
「ほんとにねえ、昼寝もしないでお仕事ちゃんと行くんだもの」
「一回昼寝はしたじゃないですか」
「でも朝ちゃんと起きて仕事に行ってたじゃないの。私、寝過ごしてばかりだったわよ」
あ、そうだったのか。
「何時くらいまで寝てたんだい?」
「今朝なんて起きたら8時だったのよ、吃驚しちゃったわよ」
「二度寝って絶対寝過ごしますよね。今日は早く寝たらどうですか?」
「うん、もうさっきから眠くて眠くて」
「食後って眠くなりますよねえ。
 私、一人でうちに居るとメシ食ってすぐ寝ちゃうんですよ」
「太るよ、そんなことしたら」
「まあ夜そんなに食わないんで、一人だと」
おや、絹先生、大あくび。
「あんたもう寝といで。疲れたんだろ」
「電車移動って結構疲れますもんね、絹先生、おやすみなさい」
「うん、寝てくる。おやすみなさい」
「おやすみ」
絹先生が居間を出て行く。
「で?絹は何をしたんだい?」
「はい?」
「絹が何かしてあんた怒ったんだろ?」
「あー。ははは、中に指入れられまして。それまでに何回か止めたんですが」
「中…って。ええっ?」
「どうも、その、いつもしてもらってるからというのと。
 ずるい、というのがない交ぜになったようで…」
「あ、あぁわかるけど、絹がねえ…」
「ちょっと私も驚いたの半分でしたが」
「後半分は嫌悪感だろ、あんたの場合は」
「あたりです。鳥肌だったんですよ、本当に」
「それで泣かせたのかい?」
「すみません、腹が立ってしまいまして。以前から嫌だと言ってた事をやりました」
「はぁっ、まあ仕方ないね、あんたの嫌な事をしたんだからね…
 だけどあんた本当に絹にされるのいやなんだねえ…」
「こればっかりは、ちょっと。しないように脅してもみたんですが」
「あの子は脅しても本気に取らないからねえ…」
「そうなんですよね…怖いことをしますよって言ったんですけど効き目なかったです」
「ところで絹は何を嫌がってたんだい?」
「ああ、縄と道具と」
って八重子先生、それ言ったら私が何をしたかわかっちまうじゃないか。
「道具?どんな?」
「すいません、聞かなかったことにしてください」
「まあいいけどね、持ってきちゃいないんだろ? 見せなって言っても」
「流石に持ってきませんよ…」
「さてと。そろそろ風呂入ってくるから。先に寝るなら寝たらいいよ」
「あ、じゃそうさせてもらいます。戸締りしてきますね」
散会、戸締りの確認をして部屋に戻る。
布団を敷いて、寝転がる。一人寝の寒さよ。秋だなあ。

夜半。もぞもぞとした感覚。
先生が布団に入ってきた。
「どうしたんです?」
「寒い」
はいはい、眠いのと寒いので寒い方が勝ったのね。
懐に抱いて先生の冷えた足を絡ませる。
うーん、凄く冷えてるね。
体温を吸い取られてしまうがまぁいいや。
すぐに寝息が聞こえ出した。本当に寒かっただけらしい。
寝よ。

いつも仕事のときに起きる時間に目が覚めてしまった。
懐の中の先生はよく寝ている。
綺麗だ…。
「うぅん…」
もぞもぞ、と寝返りを打ち背中を私にくっつけた。
布団を整えてあげてもう少し寝ることにする。
ぬくいなぁ…。幸せだ。
5時くらいから流石にもう寝られず、ぼんやり。
いつの間にか寝返りをまた打っていたらしく私の胸に顔をうずめて寝ている。
悪戯心も沸くが寝不足だろうからやめておこうか。
20分ほど経ったろうか、先生が目を覚ました。
「ん、…あらぁ?……?」
「おはようございます、夜中にあなたが布団に入ってきたんですよ?」
「えぇ、そう?覚えてないわぁ」
やっぱり無意識か。そうだと思った。
「入ってきたからにはしていいのかと思ったらすぐ寝ちゃうんですもん。
 今からしちゃいますよ?」
「えっだめ、だめよぅ」
慌てているのも可愛くて。
笑っていたら、意地悪、と言われた。
「ちょっと待っててくださいね」
身支度してくる、というので布団から先に出て羽織物とスリッパを持ってくる。
寝巻きだし素足だしそのままでは寒いはずだ。
自分は仕事だともっと寒いから気にならないが。
布団のぬくもりが名残惜しそうだ。
さて私も支度するか。

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h4

恥ずかしがっていて本当に可愛い。
リラックスできるようにほぐしつつ、やわらかく愛撫をする。
かすかな喘ぎ声。
強くならないようにゆっくりと感覚を引き出す。
気持ち良さそうな顔が好い。
ぎゅっとしがみつかれてがくがくっと太腿が震える。
抱きしめて背を撫でる。
愛しい。
ほっこりしていると聞かれた。
「山沢さん…本当に私だけなの?」
またそれ聞くのか。
「あなた以外の誰ともこんなことしたいと思いませんよ」
というか面倒くさい。
性欲の捌け口として誰かとやるならこんな時間かけてられっか。
何か納得がいかない様子。
「ねえ、なんでそんなに気になるんですか?」
「だって…山沢さん、芸者さんとお付き合いあるでしょ…」
頬にキスする。
「私が呼ぶ芸者さん、みんな昔のお姐さんばかりですよ」
色気はあることもたまにはあるがいくらなんでも60や80には欲情しないだろ。
「そうなの?」
「なんなら今度お座敷かけますから一緒に行きましょう」
「そんな、いいわよ…」
納得しなくていつまでもこだわられるなら、連れてく方がいいよ、俺は。
「来週の土曜の夜とか、どうですか?予定なかったら」
「多分大丈夫だと思うけど…」
そんじゃそうしましょ。
「少し冷えてきましたね」
布団をかぶせる。さっきまで暑かったのになあ(笑)
先生の胸に触れるとひんやりしている。
冷たいところがなくなるよう撫で、揉み解す。
私の上にうつぶせにしてお尻も。
切ない声が聞こえる。
そのまま間に指を割りいれる。
逃れようとする体を引き寄せ胸を噛む。
先生を上にするの、中々楽しいな…。
中をこねているうちに不意に痙攣、そんなに強く責めてなかったのになあ。
もうちょっとやりたいが…。
駄目か、息が荒い。
もぞもぞ、と布団から顔を出すとぺちっと叩かれた。
「もう…だめよ」
抱きしめて息が落ち着くまで背を撫で、腰をなでているといつしか寝息に変わっていた。
寝てるときにやったら怒るかなあ…。
寝不足にしちゃかわいそうかなあ…。
しょうがない、俺も寝よう。

翌朝、先生の方が先に起きていたようでお味噌汁のにおいがする。
朝飯を作ってくれてるのか。
長襦袢を羽織るだけで出て行ってみた。
すでに焼き魚、味噌汁、ごはん、玉子焼き、香の物が並んでいる。
「おはよう、顔洗ってらっしゃい」
「オハヨウゴザイマス」
なんというか完璧だ。
つまみ食いしようと手を伸ばして叱られた(笑)
とっとと顔を洗い長襦袢をちゃんと着なおして戻る。
食卓につき、いただく。
「勝手にお台所触ってごめんなさいね」
「いや、嬉しいです」
なんでうちの味噌汁がこんなにうまいんだ。
魚はアレだな、こないだ漬けておいた平目の味噌漬だな。
玉子焼きもうまい…。幸せ。
ごちそうさまをして、お茶をいただく。
「先生が嫁さんだったらなあ…」
「うん?どうしたの?」
「いや、仕事する気が100倍くらい出るかなと思いまして。
 朝晩とうまいもの食えて、夜は楽しめて」
あ、顔赤くなった。
「夜だけじゃないくせに…」
そっちか(笑)
「今日、どうします?家に居たらずっと楽しんじゃいそうなんですが」
って弄るのはやめよう。
「ふふ、展覧会か何か、探して行きましょうか」
「そうね」
恥ずかしそうにしている。うーんいいなあ。
パソコンからざっと展覧会情報を呼ぶ。
うーん。
2件だけ見つかった。
「今ちょうど展示入れ替え時期なんですね。どっちがいいです?」
どちらもピンと来ず、浜離宮散策ということにした。
近いしね。
んじゃあちょっくら着替えましょうかね。
俺の方が時間はかからないので台所の後始末を引き受けて、着替えてもらう。
水仕事を終えて和室を覗くと後は帯だけのようだ。
帯枕を渡したりしてちょっと手伝う。
帯締めをきりっと締めて。うん、綺麗だ。
私も長襦袢を脱ぎ、晒をまいて肌襦袢、長襦袢を纏い、長着を着る。
先生が細かいところを整えてくれた。
その頤に手をやってキスする。
「駄目よ」
照れつつも私に羽織を着せ、行きましょ、と仰る。
行くか。

さてさてぶらりと浜離宮。
歩くのもかったるいので近距離タクシー。
近すぎて来たことがないんだよね。というか一人て来てもなあ。
タクシーを降りて橋を渡り、門をくぐる。
ビル群の中の庭園はなにか面白い。
日傘を差した先生とさくさくと土を踏み、共に歩く。
木々はよく手入れがされており流石である。
なごやかに穏やかな優しい時間が過ぎる。
のんびりと歩いていると、中島の御茶屋だ。
お茶をいただけるらしい。
「どうします?」
「あ…替え足袋持ってきてないわ」
「あー。一応いつも鞄に入れてますよ、私。2足。ストレッチの」
じゃあ、ということで渡して入口で履き替えていただくことにした。
まあ一般の人が多いところだから、必要はなかったかもしれない。
けどね、お茶の先生と弟子の身としては履き替えないわけにもいかん。
温かいのと冷たいのをいただけるそうだが二人とも温かい方を。
点て出しだ。結構に美味。
お茶をいただいて、ほんわかとした気持ちで更に散策。
人通りなさそうな道へ連れ込む。
木陰でキス。そっと胸を揉む。
「あっ…こんな所で…だめ…見られたらどうするの」
「こんなところに人はきませんよ…静かに、ね。してたら大丈夫」
太腿に手を這わせる。
ぎゅっと私にしがみついて声を我慢し始めた。
人目につかないように中を弄り、かすかな喘ぎ声を楽しむ。
秘か事ほど楽しいことはあるまい。
首を噛まれた。
「良いですよ、噛んでてください」
ちょっ…と痛いけど。涙目になれる程度には。
太腿の痙攣と共にぐっと先生の体重がかかってきた。
逝った様だ。
ぬめる指を懐紙でふき取る。
裾を整えて抱きしめる。息が整うまで。
落ち着いてきた先生になじられて、でも幸せで。
先生が歩けるようになって、手を引いて散策を続ける。
恥ずかしげで美しい。
「水上バス、乗ります?浅草まで行きますよ」
一旦うちへ戻りたいそうだ。
ああ。股間のぬめりが気になるのか。
可愛いな。
最短距離を選んで門へ。タクシーに乗り連れ帰る。
戻るとすぐに和室へ入られ、私がお茶を入れてる間に浴衣に着替えてきた。
私の横に座っていただきお茶を差し上げる。
「ひどいわ、外でなんて…」
温かいお茶を喫しながら詰られる。
「もっと人気がないところだったらどうです?
 いや。人が来そうだからいいのかな、ああいうのは」
「見られるのはいやよ。困るわ…」
「知ってる人に見られそうだから?それとも知り合いがいない土地でも?」
「…どっちも恥ずかしいわよ」
ですね(笑)
「どうしても嫌ですか?」
うん、とうなづく。
「先生、可愛いですね。そういうところ」
お茶をよけ、ひょいと引き寄せる。
「あっ…もう…またするの?」
ええ、またです、すいません。
「だって先生が可愛くて。何度でもしたくなるんですよ。駄目ですか?」
「…知らない」
くっそ可愛くて駄目だ、がっついちまう。
好い声を何度も出させて、腕が攣るほどに玩んで楽しんだ。
早日暮れ、先生は動けない有様になっている。
その様すら好くて肌に触れて楽しむ。
このままずっとこうしていたい…。

まあそういうわけにもいかないわけで。
とりあえず晩飯の支度しないと…って無理、疲れた。
鮨頼もう鮨!
いつものところに電話して持ってきてもらおう。
電話して、先生をベッドに運んで、着物着なおして。
しばらくすると届いた。
先生食えるかな?
お昼も食べずにしてたから腹は減ってるようだけど。
起こしてあげれば食えそう?よしよし。
ベッドの上で裸の先生と鮨を食う。
ちょっかいを出したくなる光景だが、食事中はお行儀が悪い(笑)
「ね、このまま泊まっていきませんか。明日私仕事ですけど」
「そうね…っていいたいけど流石にお母さんに言いにくいわよ」
知らない頃なら言えたかもしれないが知られてからのほうが言いにくいな、確かに。
「でも帰れますか、立てもしないでしょう?」
ぐったりしてるしね。
「疲れさせたのは誰かしらねえ」
私ですな。しょうがない。
「わかりました、私が電話しますよ」
電話を掛ける。
『はい飯嶋です』
「あ、山沢です、こんばんわ。
 すいません、絹先生もう一晩お借りしてもよろしいでしょうか」
『……あんたねえ、山沢さん』
呆れられた。絹先生を見ると恥ずかしげだ。
「いや、あちこち連れ回したら疲れちゃったようでして…その」
『しょうがない子だね、あんた。そういうことにしといてあげるよ。
 明日の稽古までに戻っといで、と言っといてくれるかい?』
「はい、ではそのようにお願いします」
電話を切る。
「お母さん、どうって?」
「御稽古までに戻れって仰ってましたよ。よかった」
「そう…」
なんとなく眠そうだ。
「ちょっと寝ますか?」
背をなでると寝そうになってる。
裸のままだが布団に入れて桶の始末をして寝室に戻ると寝息。
うん、いいね。この無防備さ。
明日の用意をしたら俺も寝よう。
俺の明日着る服一式と、先生の着て帰る着物一式を用意して、
あとはうちの合鍵をテーブルに書置きと共に残すか。
先生が起きる頃には俺はもう仕事だからな。
用意も整った。さあ寝るか。

翌朝、まだ寝ている先生をそのままに出勤の支度をする。
幸せそうな寝息にこのまま一緒に寝て居たくなる気持ちを振り切って、出勤。
仕事がんばろう!
それなりの忙しさで仕事を終えて、帰宅。
ちゃんと鍵がかかっている。
中に入るとテーブルに書置きが。お昼ごはん冷蔵庫に有る!やった!
お味噌汁もある!食う。うおーうまい!
でも塩が甘い。こればっかりは仕方ないなぁ。
完食してシャワーを浴びる。
あ、ちゃんと先生もシャワー浴びてったようだ。
着物に着替えて、と。
鞄の点検。ヨシ。行こう。八重子先生に叱られに。
でも幸せだな。
電車に揺られてバスに乗って到着。
直接居間へ。
「こんにちは、八重子先生。すいませんでした」
「はいはい、こんにちは」
あれ?人が多い。
「ちょうどいいわ。これが覚、こっちが開。覚えといてちょうだい」
「あ、山沢と申します、よろしくお願いします」
ん?今日平日…だったよな。
どうやら覚さんは休出の代休、開さんは無職らしい。
…不動産屋はやめてたのか。
「あとうちに出入りするのは潮くらいかねえ」
ああ。今回みたいにならないための引き合わせでしたか。
「潮さんというと晶さんのお兄さんでしたっけ」
「あら、あんた会ってたかねえ?」
ええとたしかチャラいあんちゃんだった気が。
「母さん、こちらは?」
「ああ、この子は絹の友達みたいなもんでね。生徒さんなんだけど。
 最近うちによく泊まったり、絹がこの子の家に泊まったりしてるんだよ」
「絹が?」
おっと朝のお稽古終わったようだ。
絹先生が戻ってきた。
「こんにちは、絹先生」
「はい、こんにちは。あら兄さんたち来てたの? 山沢さん水屋頼むわね」
「午後はどなたでしたっけ?」
「安藤さん、平野さん、原田さん、大村さん、西尾さん、斉藤さんよ」
お稽古手帳を繰る。
「斉藤さんは竹の台子で他の方は中置の風炉でよかったですか?」
「お母さん、それでいいかしら?」
「それでいいと思うよ」
んじゃ準備してきましょう。
茶室へ行って朝の人たちの後片付けをしてざっと掃除。
台子を出して組み立てて設置し、電熱風炉を置く。
皆具をセット。湯はまだ沸かさない。
対角に中置きの位置に風炉をセッティングする。
こっちは炭だ。安藤さんは初炭手前してもらおう。
まあ半分は嫌がらせだけど。中置の炭手前。
用意が終わったので台子の前でイメトレ。
いくつか引っ掛かりがある。
やっぱりここしばらく稽古できてないからなあ。
後半月も稽古できないのか。
ここは一つお願いして稽古日以外にお稽古つけてもらおう。
しばらくして安藤さんが来られた。
炭手前の用意を見て顔を曇らせている。
苦手なことほど沢山やるほうがいいんだよ、と思いつつ内心悪い笑み。
と、絹先生が戻ってきた。
「今日は、お稽古よろしくお願いします」
「はい、よろしく」
うーん、この人は嫌いだけど流れるような手前で綺麗なんだよなあ。
とはいえさすがに中置だと一瞬流れがよどむけど。
その後は平野さん、原田さん、大村さん、西尾さんと次々にお稽古がすすむ。
沸いた湯を台子のお釜に指して電熱器のスイッチを入れて待つ。
斉藤さんが来た。
濃茶だから次客に座ってといわれて久々のお客様をする。
お茶をいただく。うん、うまい。
綺麗にお点前を終えられた。
炉のお点前もこれくらいできるようになったら次だな。
お稽古も終わり、水屋を片付けてから台所へ顔を出すと夕飯の支度をされていた。
「今日は食べてくかい?」
「いや明日も仕事なんで今日のところはこの辺でと」
「あらぁ。そうそう、鍵。返すわね」
「鍵?」
「私、仕事の時間早いので合鍵を置いていったんですよ。
 ああ、絹先生、昼飯うまかったです。ありがとうございました。鍵はいいです」
八重子先生にも挨拶して今日のところは退散、叱られずに済んだな。

翌日の仕事は流石に気を抜くわけにもいかず疲れて帰宅。
買物に行き、下ごしらえのみして寝る。
明日のために疲れを取っておくべきだからな。
流石に明日の夜は淫らな事はできないだろうけどね。
夕刻、電話があり起きる。
何かと思ったら仕事の電話だ。
目が覚めたら腹が減った。何ぞ食って寝よう。
昨日、作ってってくれた残りで食らう。
うーん、うまい。幸せだ。
少し晩酌して寝直す。
明日は稽古だ。

さて週末とも有り仕事は忙しく、怒濤のように時間は過ぎた。
急いで帰宅しシャワーを浴び、着物に着替えて飛んで出て行く。
慌てて水屋に顔を出す、セーフ!よし!
居間に顔を出して挨拶をすると今日は花月だからということで、
風炉の準備や折据を用意する。壷が出てるからこいつもか。
そろそろ口切だなあ。
炉開きの日は会社休みだといいな。去年は仕事だった。
そうこうしていると何人か集まってきた。
壷?という顔をしている。
絹先生が来て、壷はやらないからしまっていいといわれた。
どうやら朝の方々のお稽古で使っただけのようだ。
花月は見ているだけでも楽しい。
4回ほどまわしてお稽古終了。
水屋を片付け、お台所を手伝う。
今日もうまそうだ。
お父さん呼んできてくれる?と言われ孝弘さんを呼びに行く。
食卓について晩飯をいただいて。
律君は今日は合コンらしい。青春だな。
孝弘さんにご飯のお代わりを勧めてる絹先生が微笑ましく可愛らしくて良い。
八重子先生は微妙な顔をしているが。
食事を終え片付けを手伝ったら居間へ。先生方とお茶をいただく。
「台風来るのかしらねえ」
「どうなのかねえ」
「明後日昼以降から酷いらしいですね」
「山沢さんうちに来れるのかい?」
「多分大丈夫だと思います。泊めて頂けるのなら」
今更だけど。
絹先生は照れくさそうだ。
「台風のさなかに帰れだなんていわないよ」
微妙な顔のまま八重子先生に言われてもなあ。
「あ、そうだ。行之行のここの手なんですが…」
お稽古のときに引っかかったところを聞いておく。
色々お話している間に夜は更けて行く。
部屋に戻ると絹先生が来た。
「あの、山沢さん…今日ね、アレなの…だから」
ああ、月の物ね、今日稽古中も席立ってたもんなあ。
「冷えとか、大丈夫ですか?だるいとか」
「あ、それは大丈夫よ」
「どうしたんです?」
「…したいんじゃないかって思って」
ああ!そういうことか。
「したいっちゃあしたいですが、生理中にまで押してするほどではないですよ。
 この間十分楽しみましたしねえ。ああ、でも」
頬に手をかけて深くしっかりとキスをする。
「これくらいはいいでしょう?」
「…もう」
「ふふ、おやすみなさい。温かくしないと駄目ですよ。それとも一緒に寝ますか?」
「山沢さんがしたくなるでしょ?駄目よ」
おやすみなさい、といって戻って行かれた。
ちょっとしたくなったのは事実だ。
着替えて布団に転がる。
あっという間に眠気がきた。

翌朝。
朝食をいただいていると律君が帰ってきた。
昨日お友達がべろべろに酔って介抱してたら終電を逃したらしい。
合コンで男友達にお持ち帰りされてどうする。
一緒に朝飯を食って、そのまま寝てくる、と部屋に戻ってしまった。
絹先生も眠そうだ。寝てきたら?という勧めに従って部屋に戻られる。
八重子先生と二人きりだ。
「……あんた、する方なんだって?」
へっ?何を?
「されるのは苦手なのかい?」
「えーと?何をでしょう」
「あぁ。絹とするときの話だよ」
「絹先生から聞かれたんですか?参ったな」
そんなことを親に話さなくてもいいのに…。
「んー…絹先生にはされたくないというかどう言ったらいいんでしょうか。
 他の人やそれこそ男となら受けるほうは可能ですが」
「複雑なもんだねえ。というか男とできるんだね、あんた」
「可能か可能じゃないかという意味ではですよ」
やりたくはない。
「たとえば私があんたにする、とかだったら出来るのかい?」
「できるんじゃないでしょうかねえ」
「でも絹からはされたくないと」
そういうことですな。
八重子先生はよくわからないというような顔をしている。
さて、そろそろ掃除をしよう。
風が結構ある中、庭を掃除する。枯葉多いな。
庭掃除を終えて戻る。
お昼ご飯の用意をそろそろしないと。
絹先生は寝てるから八重子先生と作る。
主婦って大変だよなあ、毎食違うもの作るんだから。
俺なんか…。
と思ってたら八重子先生も自分だけならあるもの食べて済ますそうだ。
孝弘さんの分があるから作るらしい。
そんなもんか。
しかし毎回炊くご飯の量がすごい。エンゲル係数すごいんだろうな。
お昼の支度も出来たので絹先生を呼びに行く。
ぼんやりしているのでキスしてみた。
…駄目だ、ヤりたくなる。慌てて離れた。
孝弘さんと律君も呼んで昼飯。
団欒。いいね。
お昼を食べ終わり片付けていると八重子先生にお客様だ。
絹先生はお茶を出して戻ってこない。
私は部屋に戻って縫い物の残りを少しやることにした。
しばらくして絹先生が来た。
ほっといてごめんなさいね、と言うが客じゃなし、別にいい。
と言うと拗ねてると思ったのか身を寄せてくれた。
針などを除けて、先生を引き寄せる。
可愛くて。したくなって困る。
中学生かっ。
キスをしたいが、したら止まりそうにない。
そう思っているのに先生からキスをしてきた。
たまにイタズラしたくなるようだ。
「いけません、今日はしませんよ」
律君もお客様も居るのに。
でも離れるのは嫌だな。
人が来ない間は抱きしめておきたい。
ぬくもりが手放し難い。
1時間くらいそうしていただろうか、八重子先生の呼ぶ声で我に帰った。
絹先生が慌てて離れる。
部屋を出て呼び声に答えると、律君と八重子先生は出かけるとのこと。
帰りは夜なので待たなくて良いとのことだ。
お見送りをして絹先生と居間に戻る。
普段ならなんという好機!だがそうもいかない。
というかむしろしてはいけない理由が一つだけというのは却ってきついかもしれない。
参ったな。
「今日は早く帰ろうかと思うのですが…」
「…アレでできないから帰るの?」
ああ、むっとしてる。
どうしよう。
いい事思いついた。
「そうだ、お稽古つけてもらえませんか?」
これなら時間潰せて更に一緒に居れてしたいしたい思わなくて済む!
ため息一つ落とされて、お稽古つけてあげると仰っていただいた。
水屋の用意をして、お稽古をお願いし行之行を3度ほどやると良い時間になった。
そして水屋を片付け晩御飯の支度を手伝い、名残を惜しみつつ辞去した。

翌日の仕事は台風が近いこともあり、入荷量整わず暇で。
天気予報やニュースを見るとやはり明日直撃の予報である。
うーん、本当に明日、いけるのだろうか。
帰宅後、雨ゴートの用意などをする。
傘は絶対役に立たない。むしろ危険だ。
今日は早めに寝ておこう。

さても夜中から結構な雨である。
出勤しても客が来ないほどの有様だがとりあえず仕事を終えて帰宅する。
軽く食事を取り、風呂に入る。
着替えて雨ゴートを纏い、首元を防水布で覆ってレインキャップ。
後頭部から背中まで被う防水布が付いており、前は透明シールドになっているものだ。
普段、雨降りに自転車に乗るときに使っているものだが着物の時には結構役に立つ。
足元は防水脚絆。雨ごしらえをしっかりとしてさあ行こう。
…洋服で行けばいいのでは、という突っ込みはなしで!
結構な雨の中、電車は動いていて順調にたどり着く。
「こんにちはー」
「よく来たねえ、こんな雨なのに」
軒先で雨コートや帽子などを吊るして、脚絆も取る。
足洗にと桶に湯を持ってきてくれた。ありがたい。
洗ってくれようとするが流石にそれは断って自分で濯いだ。
からげていた袴も下ろして家にあがる。
お稽古は?と聞くとやはり今日は皆さんお休みとか。
「お稽古お願いしていいですか?」
と聞くとかまわないと仰る。
いそいそと用意をしてお稽古すること4時間、外は風が強くなってきた。
そろそろお仕舞いにして、ということで水屋を片付けていると近くに雷が落ちた。
絹先生が思わず私に飛びつくほど地響き。
耳を済ませて火事になってないか探る。大丈夫そうだ。
今の今まで先生として厳しく稽古つけてらしたのに、この可愛さ。
思わず水屋だということをわかっていながらキスしてしまった。
「駄目…ここじゃ…」
うぅ…わかってますよ、わかってますって。
深呼吸して落ち着く。ふぅ。
「さっさと片付けちまいましょう」
片付けを済ませ、居間に戻った。
ご飯の用意できてるから、と八重子先生。
孝弘さんを呼びに行く。
律君は司ちゃんの家に泊まることにしたらしい。
家まで送っていったが電車が止まったとのことだ。
司ちゃんを律君のお嫁さんに~と先生方がニコニコしている。
いい加減それはないと思うぞ、司ちゃんには星野君という彼氏いるし。
しかし孝弘さんは外の嵐を見て楽しそうだな。
食事も終わり、テレビの台風情報を見ると今夜半から朝方がきつそうだ。
八重子先生は早く寝るといって部屋に退けて行かれた。
残るは絹先生と私だけである。
…とりあえず戸締りと火の始末、しましょうということになり動く。
確かめて、私のいつもの部屋に先生を連れ込む。
「ああ、そうだ。アレ、終わりました?」
「…ええ、この間は八つ当たりしてごめんなさい」
え?八つ当たりされたっけ?
あれか、気づかなかっただけで八つ当たりされてたのか。
会話しつつ布団を敷く。
先日、そろそろ客じゃないので自前の布団、ダブルを持ち込んでいた。
寝相が悪いからシングルだと寒い、とかなんとか言って。
八重子先生はわかってるだろうけど。
ちょっと高いが綿をシンサレートにした。厚手で軽く温い。
さてと。
座ってる先生の前に膝を突いて、まずはキスを。
「ここならいいでしょう?」
先生は頬を染めてうなづいた。
キスをしつつ、帯締めに手を掛け。帯揚げ帯枕をほどき、帯を解く。
脱ぐから待って、というので一度離れる。
着物ハンガーを持ってきて帯を掛け脱いだ着物をかけている。
AVなんかだと脱ぎ散らしてヤってたりするが。
どうしても着物を掛けたくなる。貧乏性なのだろうか?
まあ、その間に私も脱いで着物と襦袢を衣桁にかけた。
うっ寒。秋の夜はひんやりとしているな。
まだ長襦袢の先生を布団に引きずりこんだ。
しばらく抱き合っている。うう、ぬくい。
布団の中で長襦袢と肌襦袢まとめて脱がせ、胸を弄りはじめた。
先生の荒い息が耳に心地よい。
あまり声が出ない程度にあちらこちらを弄り、煽る。
逝かさず逸らさず、楽しむ。もう少し焦らすか、それとも…。
ああでもせつなそうだ。
いいところを探そうとして腰が動いている。
それを敢えて外して楽しんでいると、お願い、と辛そうに言われた。
可愛いなあ。
そろそろ、いいか。
さっきまで外していたスポットを重点的に刺激する。
私の肩を噛んで声を潰し、しがみついて逝った。
荒い息。
背を撫でる。
うちだったらなあ、声出してもいいんだけどな。防音だし。
さすがにこの家で声を立てられると困るんだが噛まれるの痛い…。
先生が噛み痕を舐め、くすぐったくて驚いた。
なんだ、もう落ち着いたのか。
「ねえ、山沢さん…私にされるのは無理ってお母さんに言ってたみたいだけど…」
はいはい、いいました。
って俺の乳を揉むんじゃありません。
「イタズラするなら腕縛っちゃいますよ?」
と言ってるのに先生の手が下腹に伸びる。
その手首を握り少し力を入れ、耳朶を噛む。
「駄目と言ってるでしょう?」
「どうして?」
どうしても、ですよと言いつつ先生の乳首を摘む。
ビクッとして楽しい。
布団の中にもぐりこんで濡れているそこを舐めると好い声が漏れる。
「罰として声は自分で我慢してください」
先生は枕に顔を押し付けて声が漏れないようにしている。
指を入れ、まさぐると我慢するのがつらそうだ。
いいスポットに当たったらしく枕の下からくぐもった声が聞こえる。
楽しい楽しい楽しい。至福。
ぎゅうっと指が締め付けられて、足が痙攣して。
私を掴む手が強く握られて。
感じてくれて逝ってくれるのは嬉しいなあ。
涙目になってるその瞼にキスをして。
唇にも、首筋にも、鎖骨にもキスを落とす。
そのままゆっくり背中や腕を撫でていると先生の荒い息は寝息に変わっていた。
ふぅ。
しかし先生は何をしようとしていた?まさか、な。
…一応ちゃんと浴衣着て寝るか。

夜半、風雨の音に目が覚める。
酷くなってきたな。
もぞもぞと先生が動いている。寝返りか。
うっ。
下帯の中に指を滑り込まされた。
どうしていいかわからないらしく、まさぐられているだけだが。
「駄目と言ってるの、わかりません?」
「だって…山沢さんにも気持ちよくなって欲しいんだもの」
苦笑。
「そんなことしなくてもいいんですよ。
 あなたが気持ちよくなってるのだけで十分、私は気持ちいいんですから」
「でも…」
そっと乳首に触れられた。
びくっとなりそうなのを耐えて、先生にキスする。
「そんな気力があるならもう一戦しましょうか。今度は腕を縛りますよ」
「それは…もう無理よ」
私の下帯から手が外された。
「山沢さんも結構濡れてるのね」
まあね。
先生の手を拭いてあげて、もう少し寝ましょと誘う。
眠くはあったらしくすぐに寝てしまわれた。
ったく。
どうしたものか。

早朝、よく寝ている先生を置いて庭に出ると快晴。
空気が澄んで…寒い。
火鉢の用意しておくか?
部屋に戻ると先生も目が覚めたようでぼんやりしている。
キスをして、洗濯した肌襦袢と長襦袢をまとめて羽織らせる。
それすらひんやりしていて、思わず先生は私に身を寄せる。
朝っぱらからしたくなるじゃないか。
んー時間、まあいいか。
嵐がうるさくて眠れなかったとか言って寝坊したことにしてしまえ。
直接先生の足の間にもぐりこむ。
まだ濡れてもいないその場所を念入りに舐めていると押し殺した声が聞こえる。
濡れてきた。中指を差し入れて探ると声が出る。
腕を差し出すと噛まれた。
しがみつかれて背中に引っかき傷つけられて腕や肩に噛み痕付けられて。
楽しい。
気持ちいい。
たまんねえな。
自分の手で好きな女が気持ちよくなってる。
嬉しすぎる。
どうやったらそれがわかってもらえるんだろうなあ。
してもらうのが苦手なことも。
そう思いつつ中を楽しんで。
切なげにひそめる眉を見て。
追い詰めて、はぐらかして。
お願いされて逝かせる楽しさ。
逝った後の可愛いさ。
これで十分幸せなのに。
肩で息をしているのをなだめて、落ち着かせて。
頬を染めて。潤む瞳。いいな。
朝からなんて、と詰る唇にキスをして文句を封じる。
寒くなくなったでしょ?というとペチッと額を叩かれた。
先生は肌襦袢、長襦袢を着直して、取敢えずは私の着物を着た。
部屋で着物に着替えてくるという。
まあ対丈の着物だとちょいと着易いから着てってくれていいんだけどね。
八重子先生に出会ったら昨日してたの丸わかりというね。
とりあえず布団片付けるか。

身づくろいを済ませて台所へ顔を出すと八重子先生が支度をしている。
「おはよう。遅かったね」
「おはようございます。風雨の音が凄くて寝過ごしてしまいました」
「絹は?」
「女性は身づくろいに時間かかりますしね」
ってもういいや、一緒に居た前提だな。
手伝ってると絹先生も来た。
「遅くなっちゃったわ~、お母さんおはよう」
「あ、手伝うよりそろそろ孝弘さん呼んできてくださいよ」
「はいはい」
食卓に配膳して行く。
台所に戻ると八重子先生に手招きされて、近寄ると腕にガーゼを貼られた。
噛み痕が袖から見えてみっともないそうだ。
これは朝からしてたのもばれてるのかなあ…。
食卓につき朝ごはんをいただく。メシがうまい。
メシが終わったら嵐のあとの片付けだな。
きっと庭が枯葉で凄いことになってるだろう。
食事の片付けをして絹先生が洗濯に忙しくしている間に庭掃除をする。
やっぱり枯葉に枯れ枝が随分吹き込んでいるな。
洗濯物を干す絹先生に見とれて手が止まっていたら八重子先生に叱られた(笑)
さっさと片付けよう。
洗濯だけは手伝わせないのは下着の存在の模様。
私もいつも持って帰って洗ってるからなあ。
特に律君は嫌がりそうだ。
さて濡れ落ち葉は燃やすと煙ばかりで始末に悪い。
晴天だからしばらく纏めておいて置くか。
しかし裏が山だし木造だから焼却炉置いたほうがいいと思うんだけどなあ。
ま、今は律君がやってくれるからいいんだろうけど。
休日のゆったりした空気っていいなあ。
「お昼は何にしようかねえ」
なんて会話も仕事している日には聞けないし。
ここに来ない日は食わずに寝たりするし。
「お母さん、ちょっとー」
おや、この声は…環さんかな。
「あら、お客さんだったの?」
「いやこの子はいいんだよ、どうしたんだい?」
「姉さん、どうしたの?」
「開の事なんだけど…」
お茶を出して、部屋に控えていることにする。
というか畳にごろ寝。
秋の空だなあ。

うとうとしてたらお昼ご飯と呼びに来た。
無意識で引き寄せる。
「キャー!」
ん?慌てて起きたら環さんだった。
「すいません、寝ぼけました!」
「なんなの!?」
「どうしたんだい?」
あー、八重子先生いいところに。
「いや声が似てて…」
「はいはい、ご飯できてるから早くおいで」
ハイ。
環さん怖いんだよなあ、俺。
というかなんで環さんが呼びにくるんだ。
そそくさと食卓に着いたがずっと睨まれている。
とほほ。
気まずいままお昼ごはんをいただいて。
すぐに環さんは帰っていった。
台所で片付けをしていると絹先生が来た。
「さっき姉さんと何かあったの?」
「…間違えたんですよ。声。
 それに部屋まで来るのは八重子先生か絹先生と思い込んでましたし」
「そんなに似てるかしらねえ」
「口調でわかりますけどね。寝ぼけてたんでご飯しか聞こえなくて」
「やあねえ」
くすくす笑ってる。
片付け終わったその手で先生の頬に触れる。
「冷たいわ」
おっとそりゃすいません。と思いつつキスをする。
「山沢さん!あんたするなら部屋でしなさい!」
ぎゃっ!八重子先生いたんだ!?
絹先生は慌てて台所から逃げた。今日は調子が出ないなぁ。
「すいません、つい」
「なんでそんなにしたいのかねえ、あんたは」
何でっていわれてもなあ。
「付き合いだしてすぐってそういうもんじゃないでしょうか?」
納得されたようだ。
居間に戻ってお茶をいただく。
「絹。あんた今から山沢さんの家に行きな。山沢さん、いいだろ?」
「お母さん? どうして?」
「かまいませんが…?」
「いいから、泊まっといで。明日の稽古は良いよ。土曜の稽古に間に合えば」
えーと、それはそのー、3泊でしまくっていいという?
絹先生、顔、赤い。
「ほら、早く用意しといで」
パタパタと用意をしに部屋に戻られた。
「あの、いいんですか?」
「孝弘さんに見られるよりは良いだろ」
なるほど。
見られたところで多分孝弘さんは問題ないと思うが、絹先生がなあ。
「それに…やっぱりこの家は人出入りも多いからね」
でも覚さんや開さんなんかは理解有りそう。孝弘さんの中身知ってるし。
先生が戻ってきた。それでは先生をお借りして。
すっごく先生が恥ずかしそうなのにそそられつつ電車を乗り継いで我が家へ。
途中、食材を買い込む。
うわーなんか楽しい。同棲してる奴ってこういう楽しさがいつもか。
買物袋を提げて自宅へ。先生を部屋に上げて食材を冷蔵庫にしまった。
もう3時半だ。
先生にお茶を入れて、一服。
少し冷えるな、ストーブつけよう。
暖かいほうが脱がせやすいし。
いったん落ち着く。
「ちょっとびっくりしました…その、泊まって来いっていうのは」
「私もよ。まさか、ねえ…」
「でも正直なところ嬉しいです。やっぱりその、声とか聞きたいですし」
先生は一気に赤くなってしまった。
「家だと我慢されてるでしょ?いやあの我慢してて漏れる声も好きですが」
やはり我慢できないほどにしてみたい。
「ばか、もう」
恥ずかしがってて可愛い、可愛すぎる!
引き寄せて抱きしめる。
「そうやって恥ずかしがってるところ、可愛い。好きですよ」
「やあね…からかわないで」
「からかってなんかいませんよ。抱きたいって思ってるだけです」
耳をかじる。
ビクッとして顔を上げた。
唇にキスをする。
むさぼるように何度も深く。
離すと息が荒い。
ベッドのある部屋に連れて行く。
解いた帯や脱いだ着物をハンガーにかけて、一糸纏わぬ姿にする。
美しい。まじまじと見ると恥ずかしがって嫌がるが、綺麗だ。
姿見の前に連れて立たせる。
背中側に立ち後ろから乳房をなで、私の指が先生の乳房に食い込む姿を見せつける。
息が荒い。
乳首をつまみ、こねると早くも声が出る。
視覚に煽られるというやつだな。
下腹部に指を伝わせ翳りをかきわけるともうすっかり濡れている。
ベッドに座らせて足を開かせた。
やはり背後から弄るさまを鏡に映してみせる。
「こんなのいやよ、恥ずかしい」
というがいつもより良く濡れて、好い声が出ている。
お、軽く逝ったらしい。でも手は止めてあげない。
足を閉じようとするが、がっちりと私の足で閉じれないようにする。
中に指を一本差し入れて探る。
少ししてもう一本追加する。
好い声が出るようにあちこち探ってゆく。
指を一度抜いてベッドに伏せさせる。
手をつかせ腰を持ち上げて膝立ちにさせた。
そのまま後ろから舐めると好い声が聞こえる。
指を再度入れて楽しむ。
また逝ったようだ。さらに続ける。
ついている手では持ちこたえられなくなったようで突っ伏している。
声はさっきから止まらない。
腰も私が支えているからあがっているだけで脱力している。
限界を探るように、好いポイントを刺激する。
しばらくして不意に力が入り痙攣、どうも限界のようだ。
指を抜いて掴んでいた腰を下ろし足を伸ばさせた。
荒い息。背中を撫でる。
涙目だ。美しい。
もう一度したくなるが我慢だ。
時間はまだ沢山ある。
少し息が落ち着いてきたその唇にキスをする。
「もう…ひどいわ…こんなの」
「おや、まだ序の口のつもりだったんですが」
「ええ?何をする気なの?」
「もっとすごいこと。色々したいですねえ」
頬を染めて可愛い。
「2、3日立てなくなるくらいしたいですね」
「そんなの困るわ…」
まあ自分の体力も持たないが。
暫くからかったりして、会話を楽しんでいると空腹、そろそろ6時か。
「先生、どこか食いに行きませんか」
まだ立てないほどはしてないはずだぞ。
シャワーを浴びさせて、着替えさせるとやはり美しくて。
少し私の着付けを手直しされて。
近くの割烹で飯を食うことにした。
それなりに流行っていてそれなりにうまい店だ。
お酒も頼んで、うん、うまい。
先生も上機嫌だ。
酔客に絡まれるような店ではないので安心して飯が食える。
ああ、うまかったー。と店を出るとやや寒い。
ショールだけの先生は寒そうだ。私の羽織を着せる。
「前も借りたわね」
ああ、あったなあ、そういうこと。
ほろ酔い加減がさめないうちに部屋に戻ってきた。
もう少し飲みたいので先生もどうかと誘う。
冷蔵庫から日本酒の瓶を出し盃を渡す。
まずは先生に一献。お注ぎする。
先生から私に。
何度か盃を交わして、いい感じに酔った。
先生が私にキスしてきた。
色っぽいな…。
くらくらする。
先生は立って着物を脱ぎ始めた。
ぎょっとしたがすべてを脱いで浴衣に着替えている。
ああ、なんだ吃驚した。
鼻歌交じりに着物を片付けて、それから私の膝の上に横向きに座った。
…え?
「ねえ、山沢さん?私とするの、好き?」
「え?あ、はい、好きですよ?」
「じゃ、しちゃ駄目っていったらどうするかしら?」
「困りますね、きっと」
「じゃあ駄目」
と言って先生はふふっと笑っている。
「困りますけど、したいんだからしちゃいますけどね」
胸の合わせに手を差し入れるとその手を叩かれた。
「だめよぅ」
くすくす笑ってる。
なんだこれは、焦らされてるのだろうか。
「なんで駄目なんです?」
「だってたまにはしないでこうしてたいもの」
ああ、なるほど。そういうことか。
先生からキスされる。
くっそ可愛くてやりたくて仕方ない。
先生の腕を撫でて我慢しよう。
「山沢さん、あったかいわ~」
はいはい。
体温高いですよ、発情してますからね。
先生が私の懐に手を入れた。
「寒いんですか?」
指が冷たいな。
手を伸ばして先生の足袋の上から足指をなぞる。
ああ、ちょっと冷えてる。
「暖房の温度、上げましょうか?」
「ううん、こうしてて…」
「抱かれればすぐに温まりますよ?」
ぺちっと額を叩かれた(笑)
笑ってしばらく密着する。
先生の静かな呼吸の音を聞いて、冷えている腕や足をさすって。
落ち着きすぎることもない程度に先生にイタズラしかけられて。
何度目かのキスをされたとき、ベッドに連れて行きますよ、と声をかけた。
うん、と先生が答えて抱えあげ連れて行く。
寒いから浴衣は着せたままでいいだろう。
そっとベッドの上に降ろして覆いかぶさる。
「どうして欲しいですか?優しく?強く?それとも酷く?」
「聞かないで…山沢さんの好きにして…」
「いいんですか?酷いの一択ですが」
「ええっ…酷いのは駄目よ」
思わず笑っちゃったじゃないか。
「はは、やっぱりあなた、可愛いですね。優しくしてあげますよ、酷い事」
うなづいて、しばらくして。
「だから酷いことは駄目よぅ」
ああ、気づいた(笑)
「酷いことってどんなことでしょうねえ」
「…お尻、嫌よ?」
「他には?」
「…縄、とか」
「他にはありませんか?」
「…道具?」
「よく出来ました、全部やってあげましょう」
顔が引きつって逃げようとしてる(笑)
「冗談です、しませんよ」
さっき焦らされたお返しだ。からかっちゃった。
耳を撫でて。
キスして。
優しく、優しく抱いて。
気持ち良いところは焦らさず。
好い声を沢山聞いて。
好きだ、愛してると囁いて。
先生が幸せそうに微笑んでくれて。
嬉しくて、幸せで。
終わった後もそのまま抱きしめて寝てしまった。

翌朝は仕事のため布団に先生を置き去りにする。
まだ幸せそうに寝ている。
そういう顔を見ているともう一度やりたくなるの半分、幸せなの半分。
取敢えずは仕事がんばってこよう。
書置きと、足りないものがあればと手文庫から数万円置いて行く。
職場はまあ、暇…。
早く帰って続きがしたいものだ。
携帯が鳴って取ってみると先生からだ。
『ねえ、このあたりに割烹着売ってるところないかしら。忘れてきちゃったの』
「ありますが多分たどり着けませんよ?私帰るまで待てます?」
『うん、朝は浴衣のままだから紐を襷にかけてしたんだけど』
「そんじゃ買って戻ります。あと今日はアコと足赤えび持って帰る予定なんですが」
『あら美味しそうね。割烹着はお願いね。待ってるわ」
暇な間にいくつか電話して持ってるか聞くと、やはり持っている店があった。
まあ無ければないでちょっと足伸ばして百貨店か大型ショッピングセンターにでも
行けばあるはずだが。
仕事が終わり、帰りに店によって買って帰る。
色が無くてねえ、と渡されたのは白色。うん?普通は白じゃないのか?
どうやらグレーとか臙脂とか水色とか有ったらしい。
白が一番いいじゃないか、清げで。ちゃんと洗濯されてたらの話だが。
割烹着を持って、魚も持って足早に帰宅する。
ドアを開けるとおかえりなさい、と言われて嬉しくなってただいま帰りました、と返す。
割烹着を渡して魚を冷蔵庫にしまう。
下処理は会社でして来た。
アコのあらを出汁用に持って帰ってある。
というと早速出汁を取るからと割烹着を身につけられた先生に渡す。
「もう焙ってあるの?」
会社で焼いてきた。家でやると掃除が面倒くさい。
先生に台所をお任せする。狭いから二人で立つには邪魔になる。
ふと窓を見ると…うわあ、洗濯干されてる。
うぅ、なんか恥ずかしい。
シーツも洗って干されて掃除機がかけられていて。
嬉しいけど恥ずかしいじゃないか。
「山沢さん…あのお部屋…」
先生はちらりと連れ込んだことの無いはずの部屋に視線を走らせる。
「ごめんね、見ちゃったの。ちょっと吃驚しちゃったわ」
…道具一杯出したままだったよ。
「使いましょうか?今から」
もうへこたれて床に寝転んでしまった。
あー、着替えなきゃなー。
「……聞かなかったことにするわ」
はいはい。そーしてください。
取敢えずは着替えてシャワーを浴びよう。生臭い。
「ねえ山沢さん?アコのあらってそのままあら煮にしてもいいんじゃなかったかしら?」
ん?そうだった気もしなくもない。
ちょいちょいとノートパソコンからキジハタを調べる。
なるほど潮汁もあら煮もよいとある。
シャワーを浴びる。ざっと洗ってすすぎ、温まる。
どうしても冷えるんだよなあ、職場。
風呂を出てささっと拭き、浴衣を羽織る。
台所へ行くと先生は調理中だ。
包丁も火も使ってないのを確認して後ろから抱きつく。
「あっ駄目よ、もう。包丁使ってたらどうするの」
「ちゃんと確認済みですよ」
今日のお昼ご飯は鮭のムニエルだ。
ちゃんちゃん焼きにしようと思って冷凍庫に突っ込んであった奴だな。
うまそう。
「もうできるわよ、机の上片付けてね」
はいはい。
片付けて台拭きで拭いて。
先生ががムニエルのお皿ともう2品ほどを渡してくれるのを並べて、
昨日一緒に買ったお茶碗を渡し、お箸を並べ、取り皿をを置く。
ふふふ、夫婦茶碗である。お箸と湯飲みもおそろいだ。
ご飯をよそって貰った。
お櫃が無いからなあ、この家。
先生がお茶を片手に台所から戻ってきて、座って。
お茶をついで。いただきます。
ムニエルとか面倒くさくて長いこと作ってなかったなあ。うまい。
ふんわりとしてて、よくこんな面倒なもの作るなぁとまじまじと先生を見てしまった。
「どうしたの?」
「いや、美味いな、と。私こんなに手間かけるの面倒で。だから今幸せです」
てきとーに作ると固くなるんだよなー。
ああ、先生も照れている。
他の二品も美味しくて、家でしっかり昼を食べるなんて久しぶりだ。
前回しっかり食ったのも先生に作ってもらったときだったな(笑)
完食。ごちそうさまでした。

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拍手[1回]

h3

翌日10時半過ぎ。
支度をして連れ立った。
あちらは涼しいだろうということで袷だ。
秋の装い。綺麗だなぁ。
私はまあ男着物なので大して代わりはない。羽織に長着。
荷物と言っても一泊だ、大して荷物はないので一つに纏め、私が持つ。
電車に乗り、一路諏訪へ。
諏訪でもし展示が微妙なら諏訪大社へ行くも良し、遊覧船に乗るも良し。
乗車している間も袂の下で手を握って照れさせたり、
駅弁を食べたり車窓風景に見とれたりであっという間だった。
駅についてタクシーで美術館に向かう。
途中、宿泊先の前を通る。あそこか。
美術館は規模が小さい気が…。
名物裂の展示ではあるがここは国宝を収蔵していることで知られる。
また印金・金襴、緞子、間道、錦・モール、木綿などの名物裂だけではなく
名品の茶道具の数々もある。
そして国宝の茶碗を拝見する。
気品のある茶碗だ。手触りはどうなのだろう。たまには使われているのだろうか。
先生もため息を吐いて観賞しておられる。
お連れしてよかった。
喫茶エリアでお茶をいただいて、諏訪大社に行こうかという話になった。
美術館のスタッフに聞くと車で20分程度のようだ。
タクシーを呼んでもらい、大社へ。
…自分が予想していたのとはちょっと違った(笑)
しかしさすがに休日、それなりに人はいるなあ。
本当は神詣りは午後はいけないのだが、これも時間の都合だ。
日没までに離れればよい。
さすがに信濃の一宮と感心したり本殿がなくて驚いたり。
どうやら本殿に見えたのは拝殿らしい。
しかし怖い言い伝えのあるお諏訪様だが、別にそういう感じがしないのは意外だ。
そろそろ日没が近い。宿へ行こう。
昨晩電話したときに特別室とは聞いていたが、さてどんな部屋だろう。
通されてみるといかにもな和洋室だ。
湖面がよく見える。
衣擦れの音がして振り返ると先生は早速持ってきた浴衣に着替えていた。
というのもやはり宿の浴衣は胸元がだらしなくなりがちだからだ。
シュッと貝ノ口に帯を締められた。
私も浴衣に着替えた。唐桟縞である。
先生は遠州綿紬。秋の浴衣だ。ざっくりとした感触が楽しい。
温かみのある色で思わず抱きしめたくなった。
お風呂行かない?というのでご一緒する。
大浴場は湖水がよく見える。日没。美しい。
夕日に照らされる先生もまた美しく、溜息が出た。
風呂から上がり、浴衣を身につけられた姿も更に好く、何か誇らしい思いがした。
そのまま食事処に行き、いただく。
中々うまい。見目もよい。
前日に言って取れた宿でこれ、というのは結構な幸運ではないか?
食事も終わり、部屋に戻る。
部屋は少し暖房が入っているようだ。
先生が窓から湖面を眺めている。
私は後ろから覆いかぶさり、早速だが胸を触り始めた。
窓に手をつかせてなぶるというのは一度やってみたかったのだ。
期待通り恥ずかしがって、いやいやをしている。
そっと裾を割り、太腿を露わにする。
「あぁっ…だめよ、見られちゃうわ…」
「龍神様に?」
湖に面しているこの部屋の窓を人が覗こうと思ったら望遠鏡が必要だろう。
そんなことをいいつつも結構濡れている。
「暴れるなら縛っちゃいますよ」
耳元でそう言うとぶるり、と震えが走ったようだ。
前に少し縄を使ったときのことを思い出したのか、されるがままになった。
ちぇっ、残念(笑)
眉間にしわを寄せて耐える姿は美しい。
立っているのが辛そうだ。そろそろベッドに行こう。
指を入れたまま歩かせようとするが、こんなの無理よぅ、と言って動けない。
くいくいと指を中で動かすと、半歩ほど動くがどうしても無理なようだ。
仕方ない、抜いてあげた。
半泣きですねたような顔をしている。
可愛いなあ。
ベッドに連れて行き、浴衣を脱がせる。
湯文字も取り、全裸にする。
何度も肌を合わせているのに恥ずかしがる様はとてもよいものだ。
キスをあちらこちらに落とす。キスマークをつけてはいけないので気を使う。
乳首も強く噛んでは痕が残るから、ソフトにソフトに。
具は噛み跡をつけてもばれないが(笑)
襞をくつろげてしとどに濡れた穴に指をうずめる。
はぁっという息が聞こえた。
先生は私の背中に手を回ししがみついた。
段々とのぼり詰めるに従い先生の足が私の足に絡みつく。
声が出そうになった先生は私の肩に噛み付いてやり過ごそうとしている。
結構な痛みとともに、差し込んだ指の締まる感触が強くなる。
ぎゅっぎゅっと締まり、ひくひくと痙攣している。
逝ったようだ。
指を抜こうとしたら、先生からもう一度、と言ってきた。
初めてのことだ。
前回、さっとしかしてなかったからか?
嬉しくなって少しやりすぎかという程に何度も逝かす。
浅く、深く。
幾度も。
そのたびに私の肩や腕に噛み痕が増える。
背中に引っかきあともついているが名誉の負傷(笑)
もう噛む力もなくなってきたようなのでそろそろ終了。
舐めて綺麗にしてあげる、というとちょっと抵抗された。
でももう力入らないからされるがままである。
恥ずかしそうにしていて大変によろしい風情だ。
終わりがけにチロリと尻の穴を舐めたらそこはダメ、と抵抗された。
いつかここも開発したい。
抱きしめて背中をなで耳朶にキスを落とし、
愛していると囁いているうちに先生は眠りに落ちた。

朝、目が覚めたが先生はまだお休みだ。
なめらかな肌の感触を楽しみつつそっと割れ目に手をやる。
ゆるりと刺激すると徐々に濡れてきた。
ぬるぬると滑らかになり、中指を入れると目が覚めたようだ。
「や…朝から、駄目よ…ねえ…」
「やめて欲しいですか?後でしたくなってもしませんよ?」
先日つらかったのを思い出したようだ。諦めて快感を追い始めた。
逝かせた後、まだ食事までに十分すぎるほど時間がある。
使ってないほうのベッドに先生を寝かせると、すぐに寝息。
私は浴衣を羽織り、大浴場に向かった。
朝ぼらけの温泉は気持ちよく、疲れもすっきり取れそうである。
さて、今日はそのまま帰るのではなくもう一つ何か見て帰ってもよい。
後で仲居にでも聞くか。
しかし 随分噛まれたものだな(笑)
風呂から上がり、体を拭いてていると他の客が来た。
私が晒で胸を締め、下帯をつけ浴衣を着る姿を見て驚いてる様子。
着ちゃうと男に見えるからわからなくもない。
お先に、と声をかけ、部屋へ戻る。
先生はまだ寝ていて気持ち良さそうだ。
30分ほどしたら起こさなくては。食事の時間が有るからな。
昨日脱ぎ捨てた浴衣や帯を拾い、ざっと畳み纏める。
どうせすぐに着るが、美しくない。
湖水を見る。
琵琶湖とはまた違った趣だ。
いい日和だなぁ……。
うぅん、と声がする。起こすまでもなく起きたようだ。
まだ時間は早いというと部屋露天に入られた。
「大浴場に行かないんですか?」
と聞くと朝御飯の後で、と仰る。
湯に入る先生はやはり綺麗だ。もう一度やりたくなり、苦笑する。
見とれていると風呂から出てこられた。
体を拭うのをうっとり見ていると私の前まで来られた。と思ったら。
膝をつき私の顎に手をかけキスをされた。
ふふっと笑って立ち、肌着を着け浴衣を着なおされる。
くっそう、からかわれた。
今この時間からなら襲われないことを知っててキスするとは…!
やられたなぁ…。
「お食事、行きましょ」
と仰るので食事処へ移動。
腹減ってるし余計に朝御飯が美味しいなあ。
食後、一緒に大浴場に行こうというので連れ立つ。
先客は居ない。よし。
着物を脱いで籠に入れる。
「あら…こんなに痕ついて…ごめんなさいね…」
あー。噛み痕か。指でなぞられる。
ぞくっときた。
くすぐったいからやめなさい(笑)
胸の晒を解き、下帯をはずし、手拭を持って浴室へ入る。
掛湯をして湯へつかる。
先生、綺麗だな…。
「あらら、こんなところも噛んじゃったのねえ」
ああ、昨日私の乳噛んでたね、あれはちょっと痛かったよ。
だから指でなぞるのはやめろというのに。くすぐったい~っ。
ついでに乳首をつまむのはやめたまえ。
「駄目ですよ、そういうことをしちゃあ。ここで襲いますよ?」
あ、手が引っ込んだ。
引き寄せて軽くキスをし、ちょっと手を出そうかと思ったら他の客が来る気配。
残念(笑)
洗い場に出て先生の背を流す。ついでに少しマッサージ。
もう一度湯に浸かって風呂を出た。
下帯をつけ、胸にさらしを巻いて行く。
肌襦袢、浴衣を纏い付け、帯を締めると先生が少し直してくれた。
ほんの少し直されるだけで自分で着るより男前が上がる。
部屋に戻って先生を後ろから抱きしめる。
ペチッと手を叩かれて逃げられた。
その手を掴み更に引き寄せ抱き込んだ。
ディープキスをしつつ、裾を割る。
早濡れ始めたそこを堪能する。
抗う手が段々しがみつく手に変わる。
喘ぐ声が色っぽい。
片手で先生の体を支え、逝かせてやった。
息が落ち着くまで待って解放してあげると詰られた。
一旦すべてを脱ぎ、露天で股間を濯いでいる。
私も手を洗い、出立の用意をする。
浴衣を脱ぎ、長襦袢をつけ長着を着る。
先生と私の浴衣を畳み鞄に仕舞い込んで忘れ物はないか確認する。
よし。
「この後どうします?そのまま帰るかどこか立ち寄るか。城がお勧めらしいですが」
「お城?」
「ええ、なんか再建した城があるらしいです。それともあの白鳥の遊覧船乗ります?」
お城でいい、ということになった(笑)

チェックアウトの手続き時に城への道順を聞く。
宿を出てすぐのところのバス停から駅へ行き、乗り換えて城へ行くルート、
タクシーで行くルート、どちらかで行くほうが良いらしい。
20分ほど歩くという手もあるが。
タクシーを呼んでもらい、乗車すると10分かからなかった。
なるほど小さい城と聞いてたが。確かに小さい。
お庭が綺麗。早くも紅葉している。
雰囲気は抜群だなあ。
どうやら天守は昭和中ごろに復興されたもので明治初年に壊れたのだそうだ。
散策していると、懸釜があるという。
先生に伺うと、行ってみようという事になった。
取敢えず懐紙を懐中する。
受付で聞くとこちらは表の方だそうだ。
お正客に先生を据え、私は気楽に次客~♪
男性のお点前を見せていただく。
あ、裏と似てる。
他のお客さんもこられず、お道具のお話で楽しく過ごせた。
天守は資料館のようだ。
展望もよく、干拓していなければ浮城だったというが。
展示物に茶磨がある。
抹茶の粉にするための道具だ。
茶道具も展示されてるが、まあ城だし主眼は武具だよね。
さてそろそろお昼時。
どこかで食ってから電車に乗ろう。
おすすめを観光協会に聞くとうなぎだそうだ。
場所を聞いてタクシーで向かう。
待ち人数組。
先生が待ちましょう、と仰って下さったので待つ。
15分ほど待ち、店内に入りメニューを見る。本日天然有りますとのこと。
勿論天然を頼む。プラス養鰻蒲焼単体。
竹酒も頼み、先生の盃に注ぐ。
先生から私へも注いでいただき、昼酒うまし。
出てきた。背開き関東風なのに焼きは関西風かな?
私のものと先生のものは産地が違うようだ。
半々にして食べる。
なるほど産地によって味や身質が違う。これは良かった。
養殖も半分ずついただく。
これも中々に美味。
思わぬところでの食べ比べとなった。
先生にも満足していただき、帰路ににつくことにした。
タクシーで駅まで、そして特急あずさに乗車。
楽しい時間もあと2時間というところか。
先生もそう思ってくれたらしく、少しさびしげだ。
だが旦那さんも息子さんもいる先生をそうそう旅行には連れ出せない。
身をこちらに寄せてもたれかかる先生の手を撫でる。
「このまま攫って行きたいですね…」
「困らせないで…」
そりゃ困るよなあ。実際。
「というか駆け落ちじゃなくて誘拐とか拉致事件でしょうねえ、私とだと」
あ、笑ったな。
「うん、笑ってるほうが素敵ですよ。
 どうせお稽古で週3くらい会うんですから良いです。困らせちまいましたね」
車内販売でコーヒーを貰い、車窓を楽しむ。
ずっと先生の手を握ったまま。
特急が駅に着いた。ここからは先生と弟子モードで移動せねばなるまい。
乗り換え、先生の最寄り駅までお送りする。
改札を出てタクシーに乗せる。名残惜しげだ。
お見送りして、私も帰ろう。荷物が重く感じてきた。
先生の浴衣などの荷物は稽古日にもって行くことになっている。
早く次の稽古日来ないかな、早く会いたい…。

翌日はげんなりしたまま憂鬱に仕事をして、しっかりと寝た。
やっぱりちょっと寝不足だったからなあ。
そして稽古日だ。
本日は見取り稽古と水屋のみ。
前回のあの騒動のせいでお稽古できないんだよね。
稽古場の用意を手伝う。8寸足らずをあけて台子のセッティング完了。
私のときは4寸半。体格差だという話だ。
あれ?生徒さん来ないな。
どうやら電車事故で遅延らしい。またか。
絹先生がなにやらお困りの様子だ。どうしたのだろう。
「町内会の方が2時半ごろ来られるのよ…。
 生徒さんと時間かぶっちゃったらどうしようかと思って」
今日は八重子先生急用で居ないからなあ。
「今日の生徒さんってどのあたり教えてましたっけ?」
内容によっては私が見ればいいわけだが…。
「円草と行之行なのよ…あなたまだ円草は苦手でしょう?」
ですね。
じゃあ来客があれば私がそちらの時間稼ぎをしましょう。
ってことで生徒さん待ちである。
暇なので内緒でお稽古していただく。
お稽古という形をとってはいけないだろうからと道具はエアで(笑)
30分ほどして生徒さん到着。
これならお客さん来てもなんとか持たせられるかな。
生徒さんのお稽古を見て次の手順を思い出しつつ確認。うん。
次はああなってそれからこうやって…。
おっと次の生徒さん来た。次客のとこに座ってもらおう。
この方は行之行だから道具は…。
水屋に用意をしておいて、見取りを続ける。
円草が終わる頃来客、町内の人のようだ。
「山沢さん、お願い」
玄関から部屋に案内して、お茶を出す。
「お約束いただいていたのにすみません、電車事故でお稽古が押してまして。
 ご用件を伺うよう言い付かっております」
「ええと、あなたは?」
「あ、申し遅れました、弟子の山沢と申します」
話を聞くとどうやら私で返答できるようなネタだった。
少々お待ちいただいて先生に一応お伺いを立ててから返答する。
お客様を送り出して稽古場に戻りご報告。
見学に戻る。
まだこの稽古に入られて浅いので大まかな流れを覚えてもらうようだ。
角度とかにはあまりこだわらず教えておられる。
つい生徒さんの手元より先生を目で追いそうになる。
自分がお稽古振られないと思うと気がそれていけない。
次の方の準備でもしよう。うん。
先生の手帳をチラッと見ると次の方は和巾か。
中次を用意せねば。仕覆は荒磯緞子でいいかな。
和巾はどれ使おうかなあ。青海波があった。これなら言い間違うまい。
対角の所に電熱の風炉を出して釜を据える。
茶碗などなどの用意を整えて居ると次の方がこられた。
微妙に焦っているな、先生。
スムーズに移れるように先の生徒さんの使っているものの後始末をして行く。
先の生徒さんの点前が終わってすぐ次の方のお客に入れた。
てきぱきと進む。いい感じだ。
だったのに更に来客。
今回は私では駄目で先生をお呼びする。
結局本日のお稽古は30分遅れ程度になってしまった。
時間もないので水屋の始末は私、お夕飯は先生が支度することにした。
「山沢さんお魚でもいい?」
「うー。白身なら」
釜や炭などすべて始末を終えてお台所に行く。
あれやこれや手伝い食卓に出して孝弘さんを呼びに行く。
戻ると八重子先生が帰って居られた。
私と孝弘さんの顔を見て何か微妙な顔をされている。
八重子先生が感づいているのだとしたら…娘の不倫相手と娘の旦那。
内心複雑になるのはわからなくもない。
お櫃を出して孝弘さんの横に座る。
孝弘さん→八重子先生→私→絹先生の順にご飯が出される。
くっ白身は白身でもグレか。
絹先生が見てないうちに孝弘さんのお皿に乗せる。
孝弘さんがにやっと笑って食う。
八重子先生が変な顔している。見られてた。
微妙な空気が私と八重子先生の間に漂うのも気づかぬ絹先生。
孝弘さんへにこにこしながらおかわりをしてあげたり。
他のおかずで食って、うん、うまかった。
ごちそうさまです。
孝弘さんが部屋に帰って、絹先生は台所に立つ。
私も手伝おうとしたが八重子先生に引き止められた。

「ちょっとこっち来てくれるかい」
一つ奥の部屋につれられた。
「その…、いつからだい?」
「…何がでしょうか」
バレたかついにバレたのか…。
「………絹と、そういう関係なんだろ?」
「…そういう関係とは?」
のらりくらりできぬものか…。
八重子先生は大変いいにくそうだが、心を決めたようだ。
「絹と…ふしだらなこと、してるんだろ…?」
私は足退して手を突く。
「申し訳ありません。そうです」
溜息が聞こえる。
八重子先生は私の前に膝を突いて、私の手を取られた。
「怒ってるわけじゃないんだよ。ただ確かめておこうと思ってさ」
あれ、すげえ怒られると思ってたのになぜだ。
「…仲秋、頃に襲いました。それから、です」
「講習会より前かい?」
「はい」
「絹から、じゃないんだね?」
「一度も絹先生からということはありません。私からです」
八重子先生はしばらく悩んでいる。
「わかったよ。他にはわからないよう、それだけは心得とくれ」
え?
「あ、あのっ、いいんですか?その、この関係…」
「…絹が嫌がったら別れてやってくれれば、いいよ」
改めて手を突く。
しばらくそうしてただろうか、居間に戻るよ、と声がかかる。
私も後について戻った。

居間では絹先生がお茶を飲んでおられる。
「二人で何してたの? 今日は大変だったのよ~」
と八重子先生に。
「なにかあったのかい?」
「電車遅延で生徒さんが遅れたんですよ」
「そうなのよ。町内会の方、山沢さんにお願いしてお稽古見てたんだけど。
 その後もお客様いらして生徒さん待たせることになったりして大変だったのよ」
「円草でしたからちょっと私では…」
一人は初級だったから私でなんとかなったけど。
「ああ、そうそう、山沢さんの真之行、今申請しているからね。
 もうちょっと待っててくれるかい」
前回は3ヶ月で届いたが半年かかったりすることもあるからなあ。
あれって大量に申請が届いての事務処理が大変なんだろうか。
だって手書きは日付と名前だしなあ。
「でも真之行するようになったら円草わからないって言ってちゃいけないわよ?」
「うっ…。精進します…」
もっとイメトレしてノート作ろう。
「真之行からはお稽古日増えるからね、いつでも稽古できるよ。
 山沢さんの職場が近かったらうちから通えばいいんだろうけどねえ」
さすがに始発すら間に合わないからなあ。
しかしなんだってこんなに好意的なんだろう。わからない。
「さて、あたしゃもう寝るよ。火の始末とか頼んだよ」
八重子先生はそういって部屋に戻られた。
絹先生もちょっとお疲れだ。
私は戸締りを確かめ、火の始末をする。
居間に戻ると絹先生がうつらうつらしている。
肩をつついて部屋で寝るように奨めたが私にもたれかかって寝息を立て始めた。
抱えあげて私の寝間に運び、着物を脱がせて布団に入れる。
気持ち良さそうに寝ているなあ…。
着物を片付け、私も寝巻きに着替えて横に転がると、眠りに引き込まれた。

「んん…」
先生の寝返りで目が覚めた。
気持ち良さそうな寝息だな…じゃなくて外が明るい。寝過ごしたか!
時計を見る。6時すぎ。
「先生、起きて。寝過ごしてますよ」
揺り起こすが起きてくれない。
…仕方ない、私だけでも台所手伝いに行くか。
身づくろいをさっと済まし、慌てて台所へ行くと八重子先生に叱られた。
「昨日は何もしてませんよ!戸締りして戻ったらもう寝てらしたんですから」
ぼそぼそと言い訳をしながら朝御飯の用意を手伝う。
ある程度整ったので孝弘さんを呼びに行く。
居間に戻ると律君がお母さんは?と八重子先生に聞いてる。
ただの寝過ごし。と説明してごはんをよそって、お味噌汁を出す。
ふーん、と食事を取る律君、微妙に視線をこちらに送る八重子先生。
早く起きてきてくれないだろうか…。
食後、律君は大学のご友人と遊びに、とかで出て行ってしまった。
八重子先生の入れてくれたお茶をいただいていると絹先生がやっと起きてきた。
まだ何か眠そうだ。
「おはようございます」
「おはよう。寝過ごしちゃったわ。お母さん、ごめんなさいね」
……。
「ちょーっと私、庭のほう居ますんで」
ええい、居辛いっ。
庭に出てついでなので掃除していると八重子先生が絹先生に何か言ってる。
絹先生は青ざめてる様子だ。ということはバレた件の通告か。
ああ、うなだれてる。
掃除が終わって居間に戻ると困った顔で見上げられた。
「ええと、まあ、そういうことで」
何を言ってるんだ私。
「お茶、さめたから入れなおそうか?」
「あー、いや、そのままでいいです。それで…どこまで話されたんでしょう」
「あんたから襲って、何回くらいして、いつだったかってところだよ」
うっ、それ娘に聞くかあ…?
「じゃ夕べは何もなかったのわかられました?」
「そうみたいだね、てっきりそうかと思ったよ…」
「やー、ほんと、戸締りして戻ったら寝てはるし起きはらへんし
 部屋覗いたら布団敷いたーらへんしで私の部屋で寝ていただいたんですよ」
「…山沢さん、訛ってないかい?」
おっと!焦ったら素が出た。
「ところでいつから絹のこと好きだったんだい?」
「あー大体2年位前じゃないかと」
「そんなに前から?やだ、気づかなかったわ」
「こういうの気づかれてどうするんですか。
 ってか八重子先生はどこで気づかれたんですか?」
「絹の態度だよ。贔屓の芸者の話のとき、絹が何か嫌そうな顔をしたのとか、
 あんたに怒られて泣いてるのとか。あんたって客がいるのに昼寝してるしねえ」
「ははは…それは気づいてしまいますね」
絹先生は顔を赤らめている。
「で、なんでそれでもいいということに?」
「だってあんた、子供は出来ないじゃないか。それに…」
…あ。なるほど男ならガキ出来ちまったら困るが女同士では出来ようはない。
「それに?なんでしょう」
「孝弘さんがああだからね、仕方ないと思ってるよ」
まあ最初が誤認だしな。
俺と八重子先生が話しているが絹先生は赤くなったままうつむいて…可愛い。
そっと机の下で手を握る。
「ま、他にはわからないように気をつけとくれよ」
そういって八重子先生は出かけるからと居間から出て行った。
私は絹先生を引き寄せ、頬にそっと手を添える。
「別れたいですか?」
「ど、どうして?」
「いや、その、ばれて居心地悪くなって別れるとかたまに聞くもので…」
むっとした顔をしてる。あれ?
「山沢さんが、そうなの?」
ありゃ、怒ってる?
「私は、あなたが別れてくれというまで離れる気はありませんよ」
「別れてっていったら離れるの?」
「八重子先生にそういわれたので…」
ストーカー化するのはどうかとも思うし。
と思ってたら、手を振り払われて居間から出て行ってしまった。
ええっと、なんでだ?
困惑していると、八重子先生が戻ってきた。
「どうしたんだい?」
かくかくしかじかと伝える。
「ばかだねえ、あんた。何があっても離れたくないとか言っとくもんだろ、そこは」
そういうものなのか。
女心がわかってないとか言われてしまった。
「帰るまでになんとかしときな」
そういって出かけられた。
ええっと絹先生はどこに居るんだろう。お部屋かな。
…いない。うーん。二階?
いたいた。
「先生…」
そっと肩に触れる。その手を叩かれた。
ん……。
無理にこちらに引き寄せる。
抵抗された。
イラつく。
「痛っ」
と。力を入れすぎた。落ち着け、俺。
「ねえ、先生。別れて欲しいのにしつこく付きまとわれるの、嫌じゃないんですか?
 そういうの、嫌だろうから離れるって言ったんですよ。
 別れてっていった後に私に監禁されたいですか」
駄目だ怖がらせてどうする。
手を離すと距離をとられてしまった。
「…別れたいんですか」
あ、駄目だなんか無理だ。私は二階を後にし、帰宅することにした。
帰りのバスで頭を抱えたくなってしまった。何でこうなるんだ。
バスの中、携帯が鳴る。表示は飯嶋…。出るか出まいか迷って、出た。
「あのっそんなつもりじゃなかったの…戻ってきて?」
珍しい、誰にかかっているか確認もなく本題だ。
少しためらって、戻ると返事をした。
戻ってみると玄関まで出迎えに出ていた。
すぐ二階へ連れて上がられる。
襖を閉めると私に寄りかかってきた。
無言…。
ああもう、どうしたらいいんだ。
私も困っているが先生も困っているのがわかるし。
とりあえず顎に手をかけ、キスをしてみた。
「私は別れたくはないです。でもあなたが別れたいというものを無理にというのは
 あなたが困るだろうから離れるといっているんです。わかってくださいますか」
「はい…」
「怖がらせてすみませんでした」
ひんやりとした先生の手を両手で包み込む。
「その、私もあんな態度取っちゃってごめんなさい…」
あ、なんか抱きたくなってきた。
可愛い。
そっと帯締めを解くと先生はビクッとしたが、されるがままだ。
帯揚げ、枕を外し、帯を解く。
すでに頬を染めている。
長着を脱がせて隅にやり、長襦袢も脱がせる。
「しても、いいですか?」
いまさら聞いてみた。ここまできてまさか断らんだろうに。
というか今断られたらかなりつらいぞ。
先生はこくり、と頷き自ら私の手を自分の胸に持ってきた。
ひんやりとした外気に晒され乳首がつんと立っている。
今日は少し痕をつけてしまうかもしれない。所有の印を刻みたい。
私は長着を脱ぎその上に先生を横たわらせた。
唇、首筋、胸、乳首とキスを落とす。
乳輪をなで乳首をしごきひねりつぶす。
その都度いい声が聞こえ、私は興奮を新たにあちらこちらをまさぐる。
そして私の手が叢に達すると少し抵抗をされた。
「抵抗しないで…」
耳朶を咬んで囁く。
とろけそうに熱くなっているそこに指を滑らす。
音がするほどに濡れている。
乳首にしたようにしごいてひねりつぶすと大きく声が出た。
あわててキスをして口をふさぐ。
一応孝弘さん在宅だからな。
キスをしながらやや強く弄る。痙攣している。
早速逝ったようだ。
指を最初から二本挿入する。
きつい。
だが何度か抽送するうちにほぐれてくる。
ちょうど裏のあたり、ここをこすると良いらしく眉間にしわを寄せて耐えている
急に焦った顔をしてやめてほしいという。
どうしたのかと思うとお手水に行きたくなったらしい(笑)
私の長着を着てあわてて飛んでいった。
あれ?もしかして潮吹く手前だった?
勿体無いことしたなあ…。
しばらくして戻ってきた。照れている。可愛いなあ。
そして私の前で膝をつき帯を解いて着物をくつろげた。
私は先生を膝立ちになるよう言い、翳りの所に口づけた。
いやいやをするが腰に手を回して動けないようにして舐めて楽しむ。
吸っても溢れるほどだ。
膝立ちがつらくなってきたらしいので仰向けにして指を入れて弄る。
先ほどの場所を入念に。もがきだした。
無理そうだ。まあ最初からは無理だよな。
ぬめった指を後ろの穴に突き立てようとすると抵抗する。
突起を親指で刺激すると力が抜け、関節ひとつ分が入った。
そのまま刺激を続けつつゆっくり指をねじ込む。
「もう許して…」
「こっちで逝ったら許してあげますよ」
まあ無理だろうけど。絶望したような顔をしている。
ぬるぬるしてるしまだ体は大丈夫だろう。
ゆっくり奥まで差し込み、ぎりぎりまで抜く。
繰り返しているうちに反応してきた。
を、意外といけるかな?
突起を刺激しつつ反応を引き出す。
荒々しくしたい気持ちを我慢して丁寧に拾う。
きゅうっと指が締め付けられた。逝けたようだ。
愛しくなってキスをするとさらにきゅっと締った。
「ねぇ、ぬいて…」というので抜く。
「ひどいわ…こんなの…アッ」
「でも気持ちよかったんでしょう?」
そういいつつ突起をつまみ扱く。
汚れてないほうの指を差し入れて中を楽しむ。
蹂躙。楽しい。涙目。愛しい。
もう一度逝かせて、動けない先生をおいて手を洗いに立つ。
戻ってきたがまだ動けないようだ。
ぬめるそこを舐め取り、綺麗にした。
なでていると先生はちょっと怒っている。
後ろはやっぱりいやだったらしい。そうだろうなあ。
くぅきゅるる。先生のおなかがなった。
そういえば朝飯食ってないのか。
時計を見ると昼を回っている。何か簡単なものでも作るか。
先に階下に下り、3人分の昼飯を作る。
食卓に並べ孝弘さんを呼んで戻ると絹先生が下りてきた。
ちゃんときちっと着物を着ていて、うん、美しい。
さっきまでの痴態が嘘のようだ。

先生は気恥ずかしそうに、孝弘さんにご飯をよそう。
煮物を食べて不審そうに私を見る。
「…まずいなら食わなくて結構です」
仕方ない。自力消費だな。
「うまいじゃないか、これ」
孝弘さんは謎の舌だな。
「うん、おいしいわよ?濃いけど」
濃いのが問題だと思うんだが。
どうしても常備菜系の濃い味になるんだよなあ。
先生までもごはんのおかわりしてる。
全体的に濃いんだな。
「ただいまあ」
おや、八重子先生のお帰りだ。
「ああ、おなかすいた。何かあるかい、絹」
絹先生は私のほうを見る。
「出してきます」
かなり多く作っちまったんだよね。
ただ八重子先生に濃い味はどうなんだ、血圧とか。
八重子先生の分を食卓に並べ、絹先生がご飯をよそう。
一口食べ、しばらく手が止まった。
「これ。絹、あんた作ったのかい?」
あーやっぱり口に合わないよね。
「今日は全部山沢さんなのよ」
「あんた濃いよ、これ。煮物苦手って言ってたけどこういうことかい?」
「そういうことです。ついつい濃くなっちゃって」
八重子先生までもご飯お代わりしてる、駄目だこりゃ。
持って帰って今晩のおかずにしよう。
「普段これならあんたうちのごはん味が薄くて食べにくかったろ?」
「いや、いつも美味しくいただいてますよ」
「そういえば山沢さんごはんの後いつも塩飴舐めてるわよねえ」
見られてたか。
「ああ、まえに晶が貰って食べて吐き出してたの、そうかい?」
「いやそれはみょうが飴かと」
「なんだい、それ」
「いや、いろいろあるんですよ。ネギ飴とか玉葱飴とか。青唐とか壬生菜とか。ごぼうも」
実は京都土産だったりする。
入れればいいってもんじゃないだろってツッコミがあるのに、なぜか種類が増えている。
食事も終わり絹先生と台所に引き上げる。
残ったおかずはタッパーに回収し、洗物を片付けた。
台所から廊下に出ると、八重子先生が花を抱えている。
生けるのを見せていただく。
花を生けるのだけはセンスがないから遠慮したい。
けど茶花はやんなきゃならんから困ったものである。
残った花と花いけを渡されて、さあどう生ける?と言われた
入れてみると溜息を二人から吐かれた。うぅ。
「こう、なんで壊滅的なんだろうねえ」
「ほんとねえ」
ひょいと絹先生が入れる。うわぜんぜん違う。
それを八重子先生が入れなおす。うーん。定位置と言う感じに。
「絹のは若い人向きだね。感性がまだ若いからね」
なるほど。
「なんというかきっちり決まってるものならなんとかなるかもしれないんですが…」
「ああじゃあ生花なんかやるといいかもしれないねえ」
絹先生が残った花材などを片付けに出て行った。
わしわしっと八重子先生に頭を混ぜられた。
な、なんだ?

「ど、どうしたんですか急に」
「なんかあんた、落ち込んでるように見えてね」
あー…まあね。
煮物は下手だしお花も苦手だし色々とね、へこんではいますがね。
朝は朝で失言してわけわからんことになったしね。
「まあ、あんたはあんたで他に色々とできることあるだろ」
「お茶には生かせないことばかりですよ…」
撫でられてると絹先生が戻ってきた。
「あらあら、どうしたの?」
くすくす笑ってる。
お茶にしましょということで居間に戻ってテレビをつける。
台風のニュース。
週末にかけてくるらしい。先日も大変だった。
山崩れとかなったら怖いなあ。
「お稽古お休みにしたほうがいいのかしら」
「そうだねえ。危ないからね。そうしたほうがいいね」
「でも仕事は休みにならないんですよねえ。客来ないのに」
「台風前日はうちに来るんじゃないよ。遠いんだから」
いやむしろ泊まってたい、仕事行きたくねー。
「休前日ならこっち来ていたいですけどねえ…。
 いっそ仕事も暇だし京都にでも避難してもいいですが」
「何か展覧会があるのかい?」
「あっちならいつでもなにかあるでしょう」
ん、絹先生がなにか言いたそうだ。
「どうしたんです?」
「……芸者さん呼ぶのかしら」
「呼びましょうか?」
売り言葉に買い言葉、八重子先生がため息吐いてる。
「絹も一緒に行ったらいいだろ」
「いやいやそんな頻繁に一緒に旅行はちょっと」
他のお弟子さんとか、律君とかに怪しまれそうだよ。
「いいから行っといで」
参ったな…。
「…お夕飯の支度してくるわ」
絹先生は言い捨てて台所に行ってしまった。
私はため息を一つ。
「なんで芸者にこだわるんでしょうねえ…」
「ほんと朴念仁だね、あんたも」
「娼妓の居る時代じゃあるまいし。
 私の場合呼ぶのは年寄り芸妓だしで色っぽい話なんて皆無なんですけどねえ」
「そりゃお座敷遊びしたことない人にはわからないよ」
そんなもんかなあ。
「うーん。じゃ今度、絹先生連れてお座敷かけましょうか」
なんて話をしているうちにそろそろ帰らねばならない時間だ。
八重子先生に挨拶し、台所に立ち寄る。
「そろそろ帰りますね」
「どうぞご勝手に」
苦笑して調理中の絹先生の腕を引き、こちらに向かせてキスをする。
「また明後日きます」
「…こなくても構わないわ」
「そう仰らずに…先生、意外に嫉妬しますね」
後ろ向いちゃった。
「嬉しいですよ。だからこっち向いてください。それとも…」
ちょうどそこにまな板と包丁があることだし。
「こうしましょうか?」
と、包丁を私の小指にあてがう。
すっと皮一枚切ったところで止められた。
詰られる。
卑怯者といわれてもこういう手立てが一番誠意が判るかなーと思ってしまう。
ただ抜本的解決になってないから一度ちゃんと話をしないといけないな。
「じゃまた明後日きてちょうだいね」
明々後日は休みだから泊り込んでしっかり説得するか。

帰宅。
持って帰ってきたタッパーのおかずでメシを済ませ、ざっと翌日の用意。
風呂に入ってさっさと寝ることにした。
翌日、仕事は暇だった。
やる気も出ない。
ぼんやりしていると携帯が鳴った。
以前やっていた習い事の師匠からだ。
手が足りないので今日来れないかという。枯れ木も山の賑わいか。
暇だから行くことにした。
久しぶりに化粧をして女の着物に袖を通す。
宝尽小紋に名古屋の洒落帯をあわせる。
かなり襟を抜く。
よし、こんなものか。
指定された現場に行くとすでに何人か来ていた。
うん、いい感じに埋没できそうな着物だな。
師匠も来た。
やってる振りだけでいいし、後ろのほうに居ればOKとのことだ。
指示通りに動いていい感じに終われた。
終わった後お茶に誘われて喫茶店に行く。
師匠から何か動きが男っぽくなってるとの指摘。
最近ほぼ男装だからなあ。
小一時間歓談して散会。帰宅する。
すぐに脱いでシャワーを浴びた。化粧が気持ち悪い。
着物を片付け、晩飯に悩む。
冷凍庫に肉有ったな。
付け合せ…めんどくせえ、メシと肉だけでいいや。
食った後、明日はどう説得しようか悩む。
ごろごろして悩んでいるうちに寝てしまった。
翌日の仕事も暇。
あまりに暇なあまり昨日の続き、説得のやり方に悩んでしまう。
結局思いつかないまま、そろそろ帰宅して稽古場に行かなくてはならない時間だ。

稽古場に着くと朝の方がまだ居られる。
庭から回って直接居間に行くと男性が居る、誰だろう。
困ったな、先に部屋に鞄を置きに行くか。
逡巡していると、絹先生が来て男性に抱きついた。
男性は絹先生の背を撫でている。ギリッと歯が鳴った。
絹先生がこちらを見た。
私は思わず踵を返し、外へ出た。
追いかけては、来ない…。
落ち着け。息を整えろ。歩き回る。
半刻ほどして少し落ち着いて茶室へ戻る。
すでにお昼の生徒さんが来ておられる。
お稽古の用意を整え水屋に待機する。
時間だ。
それはそれ、これはこれだ。
きちっと水屋をこなし、遅滞なく進める。
本日の昼の稽古が終わった。
ご挨拶をして私は帰途についた。

-----絹

覚兄さんがお母さんに用がある、と訪ねてきた。
色々と落ち込んでたら兄さんが背を撫でてくれた。
お稽古の時間になってやっと山沢さんが来たけど…。
終わったらすぐ帰っちゃったわ。
もしかして何か誤解されたのかしら…。
お母さんに相談するとすぐに追いかけなさい、と言われた。

-----山沢

途中、携帯が鳴る。3回…4回…電源を切る。
帰宅すると固定電話が鳴った。
公衆電話から。
取ると先生からだ。家に居ることを確認された。
10分もかからずチャイムが鳴る。
先生が押しかけてきた。
中に招じ入れると私の手を掴み、誤解だという。
その腕を後ろ手に捻り上げ、強引に縛った。
なにをするの!と言うその口に手拭を押し込む。
胸に縄をかけて行く。
嫌がって暴れようとするが腕を固定している以上逃れようはない。
キリキリと縛る。
裾をたくし上げ足にも縄をかけて行く。
くるしそうにしている。手拭をはずしてやった。
「許して…」
「俺の目の前で。他の男と抱き合うなんて許せると思ってるのか?」
強くギリッと縄を締める。
苦悶。
「ちが…あぁっ!」
襞の中に指を埋めると好い声が出た。
「濡れてるじゃないか。こんなことされて」
「いやっ…」
ぐいぐいと責める。
よろける絹を片手に担ぎ上げ、和室の畳の上に座らせた。
美しい。昂揚する。
唇を舐り、濡れそぼつ中を堪能する。
苦しそうな表情が心地よい。
指を増やすと更にきつそうな顔をする。楽しい。
もっと、もっとだ。
口の中を犯すようにむさぼり、襞に隠れている突起を強く刺激する。
声にならない声が出て倒れこみそうになるのをしっかりと支えて座位を保持する。
涙。こぼれてきた。色っぽい。
「もうやめて…」
鼻で笑って続ける。
ぬめる指を口に突っ込み舐めさせ、その指で後ろの穴を刺激する。
「ヒッ そこはだめ、おねがいだからやめて…」
「気持ちよかったくせに」
ああ、そうだ。いいものがあるんだった。
手術などに使う薄手のゴム手。
片手にそれを穿き、ぬめった前の穴に突っ込む。
しばらくかき回して潤滑油代わりにし、後ろに指を潜らせた。
「あぁっ」
じりじりと突き進む指に逃れることも出来ず身をよじる。
ゆっくり指を抜き差しすると粘液が絡みつく。
声が少しずつ出てくる。
愛撫に答える声を聞いているうちに落ち着いてきた。
「何が誤解なんです?」
やさしく聞いてあげたが何も喋れないようだ。
可愛い。
押し倒して前の穴にも指を差し入れ挟みこむようにして刺激する。
突起を揉みこみ、一気に揚げてやった。
両方に埋もれた指が締め付けられて先生は痙攣している。
きつく締められたそこから指を抜き手袋をはずす。
頬を撫で、苦しそうな口をむさぼる。
窒息しない程度に。
そっと引き起こし縄を解いて行く。
縄の痕が太腿やふくらはぎについて色っぽい。
胸縄を解き、腕の戒めを解き、マッサージする。
息が落ち着いてきたようだ。
改めて問う。
「…兄さんなの。一番上の」
マジか…身内に嫉妬して無茶しちまったのか俺…。
はっ!そうだ腕!
「痺れたりとか動かないとかないですか!腕!」
慌てて確認する。商売道具じゃないか!
どうやら大丈夫のようだ。嘆息。
抱きしめる。
「ごめんなさい。男と抱き合ってると思ったんです」
「怖かったわ…」
ゆっくり背を撫でる。
躊躇いつつ聞く。
「……今日。泊まっていけますか」
頬を染めて先生はうなづいてくれた。

裾を直して立たせると、大幅に着崩れていた。
こりゃ一旦脱いで着直す方が良い。
手を洗って敷きたとうの上で脱がせる。
肌襦袢になったときにむらっときて胸に手を這わせてしまった。
しっとりと、汗で湿っている。
クーキュルル…あ。
先生も苦笑い、俺も苦笑い。腹減った(笑)
シャワーを浴びるようにいい、風呂に入れる。
買ったままにしていた肌襦袢と湯文字、裾よけを用意した。サイズはなんとかなるだろ。
長襦袢も着物もぐっしょりと濡れて、そのまま着るのはちょっとなあ。
うーん、ちょうど良さそうな着物は有っただろうか。
和箪笥をあさると秋模様の着物があった。袖の合う長襦袢も。
帯はどれがいいだろう。こいつか。
風呂から上がった先生が湯文字と肌襦袢、裾除けをつけている間に半襟をつける。
そういえばこの長襦袢、しつけついたままだな。
長襦袢のしつけを取り先生に渡す。
着物を後ろから羽織らせるとすっと纏い付けられ、おはしょりを作り、
胸の打ち合わせを整えられる。
帯をお渡しする。手早く折り、背で締め、枕を当てお太鼓を作られる。
帯揚げ、帯締めを調えられて美しく着付けを終わられた。
うん、よく似合っておられる。綺麗だ。
髪を少し整えて食事に出かけることにした。
天ぷらにしよう。
カウンターのみしかないのだが、揚げたてで新鮮な魚介・野菜を使っている。
隅の席を陣取り酒も少々頼む。
穴子や鱚、海胆を海苔で包んだもの、車えび、玉葱や青唐、小芋などなど…。
美味しく頂き酒もすすみ、ご飯をいただき、デザート。
おなか一杯で残してしまうほどだ。
この後飲みにいくか聞いたが部屋でいいというので連れ帰る。
帰宅後すぐに寝巻きの浴衣に着替えさせた。
お家に電話をしていただく。
律君が出たら、と躊躇するので私が掛けた。
八重子先生が出た。すぐに電話を代わり泊まる旨話して頂く。
私に後ろから胸を揉まれつつだ。
甘い吐息が電話に伝わらないようにしている。
先生を膝の上に引き上げ、送話口を押さえて乳首を齧る。
くっ、と声が漏れる。
可愛い。
先生は話を早く切り上げ、電話を切った。
文句を言おうとした口をキスでふさぐ。
ちょっと抵抗してるが、舌を絡めると少しずつ応じてきてくれた。
そのまま首筋にキスを落とす。
「駄目よ…お母さんと電話してたのに…」
「ふふ、だって可愛いですもん。ねえ、先生、道具使っていいですか?」
「えっ?道具?」
「もっとあなたが乱れているのを見たい」
「いやよ…恥ずかしいわ」
「可愛いな。いじめたくなる」
「やだ、もう」
「痕、ついちゃいましたね」
手首に残る縄の痕に指を這わす。
「山沢さん、すごく怖かったわ」
「ごめんなさい、酷かったですね」
そういいながら太腿についた痕をなぞる。
「でも縛られたあなたにすごく色気を感じました。
 さっきの姿、見せたいくらいに色っぽかったですよ。
 今度、怖くしないようにしますから縛られてみませんか」
「…したいの?」
「はい」
「仕方のない人ねえ」
「変態なものですいません」
泣く顔とか悲鳴も好物です。
しかし縛られたらやりたい放題されるのわかってるのかな。
それとも、されたいのかな。
「今からでも、いいですか?」
いやいやをする。
太腿に這わせた手を翳りにやるとしとどに濡れていた。
期待はしてるらしい。
「じゃあ今度、させてくださいね」
こくりとうなづく。
「ベッド、行きましょう」
連れて行って脱がせ、仰向けに寝かせる。
「今回は普通にしてあげます。次はわからないけど」

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