「あんた連休はどうするんだい?」
「いやー今さっきまで連休だということ自体忘れてましたからどうしましょうか」
「あら、うちにいてくれるんじゃないの?」
「…それでいいならそうしますが」
「いやなの?」
「そういう意味ではなくてですね…八重子先生、笑ってないで」
「用がないなら泊まったら? ただし台所とか居間では駄目だよ?」
「えーと、できるだけ気をつけます、はい」
「それで山沢さんの家ではどうだったんだい?絹」
「もう居る間ずっとしたいって大変だったわ」
ちょ、絹先生そんなこと言わなくてもいいでしょうに…。
「若いねえ」
「ほんとにねえ、昼寝もしないでお仕事ちゃんと行くんだもの」
「一回昼寝はしたじゃないですか」
「でも朝ちゃんと起きて仕事に行ってたじゃないの。私、寝過ごしてばかりだったわよ」
あ、そうだったのか。
「何時くらいまで寝てたんだい?」
「今朝なんて起きたら8時だったのよ、吃驚しちゃったわよ」
「二度寝って絶対寝過ごしますよね。今日は早く寝たらどうですか?」
「うん、もうさっきから眠くて眠くて」
「食後って眠くなりますよねえ。
私、一人でうちに居るとメシ食ってすぐ寝ちゃうんですよ」
「太るよ、そんなことしたら」
「まあ夜そんなに食わないんで、一人だと」
おや、絹先生、大あくび。
「あんたもう寝といで。疲れたんだろ」
「電車移動って結構疲れますもんね、絹先生、おやすみなさい」
「うん、寝てくる。おやすみなさい」
「おやすみ」
絹先生が居間を出て行く。
「で?絹は何をしたんだい?」
「はい?」
「絹が何かしてあんた怒ったんだろ?」
「あー。ははは、中に指入れられまして。それまでに何回か止めたんですが」
「中…って。ええっ?」
「どうも、その、いつもしてもらってるからというのと。
ずるい、というのがない交ぜになったようで…」
「あ、あぁわかるけど、絹がねえ…」
「ちょっと私も驚いたの半分でしたが」
「後半分は嫌悪感だろ、あんたの場合は」
「あたりです。鳥肌だったんですよ、本当に」
「それで泣かせたのかい?」
「すみません、腹が立ってしまいまして。以前から嫌だと言ってた事をやりました」
「はぁっ、まあ仕方ないね、あんたの嫌な事をしたんだからね…
だけどあんた本当に絹にされるのいやなんだねえ…」
「こればっかりは、ちょっと。しないように脅してもみたんですが」
「あの子は脅しても本気に取らないからねえ…」
「そうなんですよね…怖いことをしますよって言ったんですけど効き目なかったです」
「ところで絹は何を嫌がってたんだい?」
「ああ、縄と道具と」
って八重子先生、それ言ったら私が何をしたかわかっちまうじゃないか。
「道具?どんな?」
「すいません、聞かなかったことにしてください」
「まあいいけどね、持ってきちゃいないんだろ? 見せなって言っても」
「流石に持ってきませんよ…」
「さてと。そろそろ風呂入ってくるから。先に寝るなら寝たらいいよ」
「あ、じゃそうさせてもらいます。戸締りしてきますね」
散会、戸締りの確認をして部屋に戻る。
布団を敷いて、寝転がる。一人寝の寒さよ。秋だなあ。
夜半。もぞもぞとした感覚。
先生が布団に入ってきた。
「どうしたんです?」
「寒い」
はいはい、眠いのと寒いので寒い方が勝ったのね。
懐に抱いて先生の冷えた足を絡ませる。
うーん、凄く冷えてるね。
体温を吸い取られてしまうがまぁいいや。
すぐに寝息が聞こえ出した。本当に寒かっただけらしい。
寝よ。