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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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居間に戻ってしばし歓談。
「ただいまー」
律君帰ってきた。
「あら、おかえり。もうお夕飯食べる?」
「お父さんは?」
「今日はいらないそうよ。食べるんなら着替えて手を洗ってきなさい」
「うん」
んじゃ用意しますか。
お鍋は結構美味しく出来た。
律君が壬生菜の味に変な顔をしたり、生麩に焦っていたり。
「白菜がいつもより甘いね、色も違うんじゃない?」
「これオレンジクインって品種でサラダにしても甘いんだよ。
 あんまり売ってなくてね。だから今日の一番目玉かも?」
「そんなのあるんだねぇ」
お鍋は完売御礼、雑炊は夜食(笑)
お台所に持っていって、先生と洗い物少々。
「あ、そうだ。リングですが。いない間稽古中は外すのは自己判断でお願いします。
 できたらつけてて欲しいですけどね。
 辛い時とか気に障るとかならはずしても構いません」
「いい、の?」
「風呂とか寝るときとかと同じですよ、またつけてくれれば良いんですから」
「あら、そういえばそうね。外していいって言ってたわね」
「着物だと違和感そうないでしょう?押さわってるから擦れないし」
「お洋服だと違和感あるの?」
「結構にね、あるそうですよ。仕事が出来ない、とか」
「そんなに?こんなので?意外ねえ」
「今度洋服着てくださいよ、ノーブラで」
「やぁよ、恥ずかしいわよ」
「普段ノーブラノーパンじゃないですか、ねえ」
「洋服だと着ないと変よ…あ、私山沢さんのスカート姿見て見たいわ」
「持ってませんよースカートなんて」
「あら、じゃ一緒にお買物行きましょ、ねっ?」
「えええええ、なんでそうなるんですか」
「だって私のスカートじゃ入らないじゃない。前にスラックス借りたから知ってるわよ」
「貸しましたっけ?」
「ほら、山沢さんのおうちにいたときに浴衣洗って干してる間」
「ああ!そういえばありましたね。中々見慣れぬ姿でした」
「制服はセーラーだったのよ、学校行ってた頃は」
「うわー出張から帰ったら見せてくださいよ!見たい!」
「アルバム、開兄さんだけ写真がないのよねえ」
「ああ、そうらしいですね」
よし洗い物終わり。
さてと。そろそろ帰らねばならん。
居間に戻ろうとする先生を引き止めて、ディープキス。
先生の目が潤んでいる。
「じゃ、そろそろ…」
「うん、気をつけてね…」
居間へ行き、帰るご挨拶をして。八重子先生に見送られる。
「あら、絹は?見送りくらいしたらいいのに」
「もう挨拶はしましたから。また来週、よろしくお願いします」
「そう?あんた結構鈍臭いんだから気をつけなさいよ?怪我しないように」
切火を打ってくれた。
「ありがとうございます、気をつけます。では!」

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呆れ顔だ。
「母さん、これ蔵の鍵」
「あぁ開、来てたの。あんたも食べないかい、これ」
「いや僕は甘いのはいいよ」
「じゃお茶入れるわね」
見ていてなにやら楽しい。開さんを甘やかしてるなぁ(笑)
「あらもうこんな時間?そろそろお買物行かなくちゃ。山沢さん、一緒に来てくれる?」
はいな。
「僕が一緒に行こうか?」
「兄さんはいいわよ、ゆっくりしてて」
開さんを置いてお買物。
二人でお買物はいつもながらに何か楽しい。
「何が食べたい?」
と聞かれるのも結構ツボだ。
「何でもいいです」
といったら怒られるのもいつものことだ。
重いものを買っても担いで帰れる私は重宝らしい。
今日は出物があったぞ、オレンジ白菜だ。
これはうまいんだよなあ。
見た瞬間今日のお夕飯は鍋に変更されてしまった。
豚のスライスとお豆腐と~などと鍋材料を買い込んで、
軽いものは先生が、重いものは私が持って帰った。
「お母さん、今日はお鍋にするわね。山沢さん、白菜洗ってくれる?」
水が冷たくて嫌なんだそうだ(笑)
じゃぶじゃぶと冷水で白菜を洗って、まな板に並べる。
先生が切る。
そして壬生菜を洗ってこれも切ってもらう。
こちらではあまり壬生菜を食べないそうだが…。
よし食材の支度は済んだ。
後は食事時間の前に火を入れるだけだ。
先生においでおいでをされて近寄ると軽くキスされた。
「あ、出汁の味。ごちそうさまです」
笑ってぺしっと頭を叩かれた。
「もう、しばらく会えないのにそんなこと言って…可愛くないんだから」
「一週間ですよ。半日でこれない距離じゃなし、いざとなれば、ね?」
「戻ってくれるの?」
「ただまぁ、滞在3時間ってところでしょうけど」
「結構短いのね」
「仕事終わってから、朝までに戻らないとね」
「私が行ったら…もっといられるかしら」
「駄目です、それは」
「だめなの?わかったわ。部屋に女の子呼ぶんでしょ」
「呼びませんよ」
「嘘」
「嘘じゃありませんから、機嫌なおして下さいよ…」
「じゃあどうして?」
「お稽古もありますし、特に今度の日曜は口切でしょう?」
「あ…だからなの…」
「参加できないのは残念ですけどね。炉開きより重要なのに」
「わかったわ…ごめんなさいね」
手の甲にキスを落として。
「嬉しいんですけどね。さ、居間に戻りましょう」

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「山沢さんだっけ?」
「開さん? どうなさいました?」
「君、絹とそういう関係なんだよね?」
「……先生と生徒の関係」
「じゃないよね」
「お友達」
「でもないよね」
「…わかってていってるでしょう、それ」
「まぁね。絹からとは思えないけどどうしてかな?」
「言いません。呪われそう」
「呪われそうなことをしたのか…」
あ、失言。
「…君、男には興味ないの? 見られるの気にしてなかったけど」
「興味はありませんね。出来ないとかではないですよ。見られ慣れはまた別の話です」
「ふぅん、出来ないわけじゃないんだ?」
ずいっと開さんが近寄って肩をつかんできた。
「僕と、してみる?」
そういってキスされてしまった。
「別に構いませんが。今はいやですね」
「どうして?」
「明日から出張でしてね、疲れたくない」
「斬新な断り方だな、それ」
「そうですか?よくありそうな断りでしょう」
くくっと笑っていると、絹先生が来た。
「あら兄さん、来てたの」
「ちょっと蔵にね」
「おいしいお菓子いただいたの、食べない?」
「ああ、もうちょっとしたら行きます、開さんと話したいことがありまして」
「あらそう?じゃ先に食べるわよ?」
「ええ」
さて絹先生は戻った、開さんと二人だ。
「開さんが気づいてるのは知ってましたよ。
 ただそれ、絹先生には言わないほうがいいかと思います」
「気づいてたんだ?」
「まあ一応見えますんで、それ」
「見えるの!?」
「孝弘さんのことも知ってますのでここまで大胆にやってるわけですが…。
 さすがに律君にはご内密に願います」
「あ、ああ、律には、言っちゃ駄目だな、うん」
「ということでよろしく願います。では」
部屋を出て居間へ行く。
「あぁ山沢さん、呼んだのに悪いけど粒餡だったよ、お干菓子いるかい?」
「頂きます頂きます、落雁ですか?」
「鶴宿だとさ」
「へぇ。どなたか京都に行かれたんですかね。あそこの薯蕷うまいそうですよ」
「いやお店が日本橋に有るらしくてね」
「ということは京観世ですか、粒餡。
 日本橋にあるんだったら今度行ってみます、柚餅好きなんですよね」
「求肥好きよねぇ山沢さん」
「昔羽二重餅が食べたくて自作しましたよ。ただ粉200gというレシピだったので」
「すごく沢山出来たんじゃない?」
「ええ、もうバット1個分…でも飽きませんでしたよ」

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87

女性らしく細いのに丸くて、やわらかくて。
しっとりなめらかな肌。
一週間も手放すのかと思うと惜しい。
だけど…このままの関係で死ぬまでいられるわけじゃない。
いつか別れがくるんだから、心積もりは必要だよな。
考えたくないなぁ…。
寝顔を見つつ、いつしか寝てしまった。
翌朝、二人とも定時に起きて朝御飯の支度を整える。
朝食後律君を送り出しひと段落。
主婦って忙しいんだなあと思うね、なんだかんだ。
八重子先生がお茶を入れて下さりありがたくいただく。
明日から一週間出張の話をするとやっぱり心配されてしまった。
そんなにしそうですか、浮気。
というか娘が心配というやつだな。
「せめて一ヶ月あたりからその心配してくださいよ…
 さすがに一週間くらい大丈夫です。それに…防止対策されましたから」
「また噛まれたのかい? 絹…あんた噛むのはどうかと思うよ」
「いや、いいんです、したいようにして貰って」
「あんたマゾじゃあるまいし」
「ないですけど…気が済むなら。
 ところで勤労感謝の日、土曜日ですがお稽古はありますか?
 なければ絹先生と根津行きたいと思ってますが…どうでしょうか」
「根津?」
「井戸茶碗の展示ですって。行きたいの、いいでしょ?お母さん」
「まあどうせ連休だと生徒さんもお休みの方が多いからね、行っといで」
「ありがとうございます」
さてお話が終わったので絹先生はお洗濯、私は掃除と分業だ。
各々の部屋には立ち入らないことにしているのでメインは廊下や庭掃除だけど。
家が広いというのは掃除が大変である。
いつも先生方で手入れされてるというのが凄いよな。
早よ嫁さん貰え律君。
茶室の畳の拭き掃除も終えて、お昼ご飯。
孝弘さんが昼前から外へ行ってるので簡単に丼、他人丼うまい。
こういうのが出てくるのがお客様扱いされてない感じで何か嬉しい。
「山沢さんって結構食べるわよねえ」
「あぁ、うまいからですね。
 一人で家で食ってるとうまくないもので。お造りと酒で終わったりしますよ」
「なんだい、その酒飲みみたいなの。体壊すよ」
「やっぱり日本酒なの?」
「んー、ブランデーも飲みますが。大体京都は伏見の酒飲んでます」
「お取り寄せしてるのねー」
「ま、そんなには飲みませんけどね」
一服して掃除再開、指示貰ってあちこちと。
八重子先生はお友達が来ているらしく絹先生がお茶を出したりしている。
戻ってきてごめんね、という。
「そんなに困った顔しなくてもいいですよ、怪しまれるよりはいいです」
「そう?」
「そのかわり出張から帰ったときにね?」
「あら、もぅやあねえ」
「もう少ししたら俺も居間へ戻りますから、どうぞ」
頭を撫でられてしまった。
掃除を終えて一旦部屋に戻り、着物を調えた。

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首筋を舐めて。思い出した。
「ああ、そうだ。今度うち来た時は根津行きませんか?」
「なぁに?今回は」
「井戸茶碗らしいですよ、月初めからみたいで見落としていました。
 例の喜左衛門井戸が出てるとか」
「あら。見たいわ」
「ここからだとうちに来るほどの時間かかりますからね。今月中にでもと」
「今月もう連休はなかったわよね?」
「ありますよ、勤労感謝の日」
「じゃそのときに行こうかしら」
「そうしましょう。それから。明後日から一週間出張で東京を離れます。
 浮気しないで下さいよ?」
「私がするわけないじゃないの。山沢さんこそ心配だわ…してきそうよね」
「しません。気になるならまた噛みます?どれだけ痕つけても構いませんよ」
「沢山つけてあげる…ね、今日はしないの?」
「腫れてるの、知ってますからね」
すっと太腿のあわいに手を触れる。
「うん、そうだけど…」
「一週間です、帰ったらすぐここに来ますからさせてください」
「飢えちゃうの?」
「とってもね。ガツガツしちゃうかもしれません」
「痛くないようにしてね?」
「…痛くしたらごめんなさい、先に謝っときますね」
「駄目よ、激しいのは仕方ないけど痛くしないで」
「気をつけます」
先生はくすくすと笑って、胸に触れて。ここ、噛むわよ?と言う。
「どうぞ」
宣言されてからだと身を硬くしてしまうな、さすがに。
「って乳首は反則です、そこはやめて下さい、すっげー痛いです」
「い・や♪ 大丈夫、簡単には千切れないから」
「本気で痛いのわかっててやってますよね、うー」
乳首も血が出るほどに噛まれて、噛み痕を5つほど新たにつけられて。
「これだけつけて浮気はできないわよね、うふふっ」
「そこまで信用ないですかー?痛たた…実はSですかっ」
「そうかも?なにか楽しいもの~」
仕方ない、独占欲と思えば可愛いものだ…マジ痛いけど。
私の涙目になっている瞼にキスをして楽しげだ。
「さ、寝ましょ? ちょっと寝不足なのよ」
「そりゃまあ…そうでしょうね」
「山沢さんの所為なの、わかってるわよね?」
「わかってますよ、わかってます」
「明日夜まで一緒に居てあげるから」
「お願いします」
軽くキスをされて、先生を懐に抱いて背を撫でる。
いつも思うが寝つきがいい。すぐに寝息に変わった。
ずっとこうしていられればいいのに。

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