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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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料理が来たので半分ずつ食べながら会話を続ける。
「まぁ昨日は腹も立ちましたが。会えた事自体は嬉しいと思ってます」
「あら、本当?」
「好きな人が4時間近くもかかるのに、疲れてるのに来てくれたんですからね、
 嬉しくないわけないでしょう」
「昨日は本当にあなた怖かったわよ、首絞められるかと思ったもの」
「怖くしたんですもん。怖がってくれないと困りますよ」
「…怖がってるのがいいの?」
「えぇと、そういうときもあるかも」
腕をつねられた。
「怒ってます?」
「ちょっとだけね」
「可愛いな、そういうところも好きですよ」
「もうっ」
額を叩かれて。
「でも先生、私のためにお家の事や仕事をおろそかにはしないで下さい」
「してるかしら…?」
「お稽古休んだりとか…こんな風に来てしまうのは良くないことです」
「でも…あのまま木曜日までなんて待てないわよ」
「そういう時は一言、釈明しに来いと仰ってくださいよ。なんとかしますから」
「今度からそうするわ」
ケーキとコーヒーをいただいて。
「あ、そうそう。お釣。7万と4800円」
「あれ?化粧品そんなに安かったんですか?」
「いつものなくて。キュレルのトライアルキットお勧めされたの」
「ああ、あれは割りと合う人が多いそうですね」
「それと下地とファンデとアイブロウとリップと買ったけど良かった?」
「それはいつものあったんですか?」
「うん、そうなの」
「そりゃ良かった、合わないの買ってもしょうがないですもんね」
「ちょうどそろそろ買わなきゃと思ってたの。戻ったらお金返すわね」
「返さなくていいですよ」
「あら、だめよ」
「いいんですよ、それくらい払わせてください」
「ありがとう。そろそろお部屋戻る?」
「そうですね、一度戻りますか」
戻る道に3階へ連れて行く。
大量の酒に驚いたようだ。
「後で飲みに来ませんか?先生の好きそうなのもありますよ」
「あらー、楽しみね」
とりあえず一度部屋に戻って腹ごなしに…。
「抱いていいですか?」
くすくす笑いながら着物を脱いでくれた。
その間に手を洗って、自分も脱いだ。

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「あれ、そういえば鞄それだけですか?」
ハンドバッグしか持ってないじゃないか、泊まるつもりなら着替えは?
「慌てたから、お財布しか持ってないの…どうしよう」
うーん、この時間じゃどこも開いてないな。
とりあえずパジャマだパジャマ、俺の予備着せるか。
「あーパンツいりますか? 洗顔料とかもいりますよね」
戻る前に気がつけばよかった。
コンビニがあったはずだからそこで調達しよう。
明日ドラッグストアなりデパートなり行って買えばいいし。
一回分セットのお泊りセットとショーツ、ヘアバンドを購入。
部屋でパジャマに着替えさせて洗顔させる。
脱いだ着物は衣桁も着物ハンガーもないのでベッドの上で着物を畳み、
私のジャケットの中に入れておいた。
あとは寝るだけだ。
先生が髪を解いて戻ってきた。
ベッドに腰掛けて気恥ずかしそうだ。
パジャマ姿は見慣れないな。
「さてと、早いけど寝ますよ。入って」
ベッドの布団の中に連れ込んで懐に抱く。
少し身を硬くしているようだ。
「このまま寝るか、気絶するまでかどちらが良いですか?今日は選ばせてあげますよ」
顔を赤らめて迷いを見せる。
「あの、このままで…いいわ」
まあ疲れてるわな、茶事のあと電車でここまでだ。
しかも怯えてたし。
頭を撫でて、おやすみなさい、と声をかけて。
駄目だ、先に寝ちまう。
翌朝暗いうちに起き出して移動。
10万を渡して着替えを買うなり化粧品買うなりして待つように言う。
帰りたければ帰ってもいい。
気がかりだが仕事仕事、漁港へ足を伸ばして挨拶回り。
昼前、交渉も終わりホテルに戻る。
先生がいてほっとした。
「ただいま。買物してきました?」
「おかえりなさい、お化粧品とパジャマと下着だけ…」
「朝はどこかで食いました?」
「駅にあるカフェで食べたわ。モーニングセット。おいしかったわよ」
「そりゃ良かった、まだ腹は減りませんか?」
「んー、そろそろ空いたかも?」
「じゃなんか食いに行きましょう。何が良いですか?」
「ここの1階のレストラン行ってみたいわ」
はいはい。
先生は和食のイメージだけどイタリアンでもいいのか。
「あ。3階行ってみました?」
「ううん、行ってないわよ、どうして?」
「行ってないならメシの後いきましょうね」
店に入ってメニューを開く。
俺はステーキにしようか。腹減った。
と思ったら本日のピザとパスタが美味しそうだというのでペアセットに決定。
料理が来る間、昨日の茶事の次第について聞く。
なんとかの理由は糊か。糊が緩かったらしい。
乾いてたから緩めたら緩くなりすぎた、そういうことだな。
少し拗ねた顔つきで、そういう失敗もすべて俺の所為だという。
「帰って来いって言やぁ良かったんですよ。
 あの時間からなら夜中になりますがたどりつけてましたよ。
 あなたも怯えずに済んだんだ」
「今思うとそうよね、来てって言ったらよかったわよ」

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と、思ったら…。
フロントから電話。
飯嶋八重子様からお電話がかかっております、だとさ。
繋いでもらって電話を受ける。
絹先生が今さっきこちらに向いて発ったそうだ。
受け入れて泊めてやってくれと。
「火曜日までにお帰し出来ないかもしれませんがその点は…」
『それはいいけどあまり酷いことはしないでやってくれないかい」
「出来る限りは」
電話を切ってフロントにダブルの部屋にチェンジしてもらうことにする。
スーペリアしか空いてなかった、しかたない。
移動し、21時前後に人が来るかもしれないので、来たら通してくれとお願いする。
それまでは少しでも寝よう。つらい。
21時を少し回った頃先生が来た。
起きてドアを開ける。
ソファに座るよう言い、手を洗うことにした。眠い。
先生は怒気を感じて少し怯えているようだ。
座っている後ろから首に手を回す。
喉に触れると息を呑んだのがわかった。
「来るなと言いませんでしたか?」
「ごめんなさい…でも…」
「なんですか?浮気なんかしていませんよ、わからない?」
「だって…」
深呼吸、落ち着こう。
携帯をとり、昨日の座敷の写真を見せる。
年寄芸妓数人と私の写真。
「これでわかりますか、浮気なんざしていません」
「でも若い女の子の声がしたわ、それは?」
「仲居さんです」
「そう、そうだったの。ごめんなさい」
「メシ食いましたか?」
「えっ? あぁ、まだよ」
「食いに行きますか、俺も腹が減った。腹が立ったからですけどね。それとも」
再度、喉に触れる。
「あなたを食べてもいいんですが、ね」
先生は怯えて身を縮めている。
「あの、ご飯、食べに行きたい、です…、山沢さん…怖い…から、よして」
「ちょっと待っててください、着替えます」
さっと着替えて先生の手を取る。
「メシ、行きましょう。和食か洋食かどちらが良いですか」
「和食でいいわ」
「居酒屋ですがいいですか」
「はい…」
食事処に連れて行き、先生が好みそうな酒を注文する。
いくつかの料理とご飯。
酒とメシのうまさに少し気分がほぐれて。
先生はほろ酔い、俺は満腹で部屋に戻った。

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92

それなりに楽しく遊ばせて貰ってホテルに戻れば23時半。
うーん、明日朝イチに電話を入れるか。
八重子先生が出てくれるだろ。
なんだったら茶事が終わった頃に顔を出そう。
終電で戻って来れそうならそうしてもいい。
21時までならあちらにいられるだろう。
ま、4時間あれば高速でつくから0時までいてもいいが。
その場合一駅手前で降りてレンタカーを借りておいて、それから先生宅だな。
夜中は借りれんだろうし。
算段をして、寝る。
翌朝、6時半、電話をする。
八重子先生が出てくれた。
昼までに電話いただければ夕方には行ける旨、絹先生へお伝えして欲しい。
そうお願いした。
さて、電話はくるかなぁ。
風呂に入って、今頃用意で大変だろうと思いを馳せて。
少し飲んでいると電話がかかってきた。
取ると八重子先生、来なくていいといってるとのことだ。
様子を聞くにいらだってる模様。
うーん困った。
八重子先生はほっときなさいというが。
取敢えずはこちらはこちらで時間潰すかね。
観光でもするか。
もういっそ何だ、キャバクラにでも行こうか。
更に怒らせてどうする。
やっぱり観光だ観光!
いや、飲むか!
幸い飲みつくせない酒がここには商われているからな!
15杯を飲んだ頃、電話が鳴った。
先生からだ。はや夕刻か。
「茶事、無事に終わりましたか?」
『なんとか終ったわ…だから…今から行くわね』
「えっちょっと待ってください、何で今から?来るんですか?」
『なんでそんなに慌てるの。女の人を呼ぶ予定でもあったのかしら』
「有りません!いやそうじゃなくて…」
『お母さんは行ったらいいって言ってくれたわよ』
「駄目です無理です」
『後ろ暗いことがあるんでしょう?』
「ちがいます、もうかなり酒飲んでて寝そうで無理です」
電話の向こうでため息一つ。
『じゃ明日行くから』
「帰ってからという選択肢はないんですか」
『それまでに夜遊びするつもりでしょ』
「ああ、信じていただけない?そうですか、そうですか。おやすみなさい」
電話を切る。電源も切る。
部屋帰って寝てやる。
さすがにあそこから3時間半かかるここまでは突撃してくるはずはない。
熟睡。

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自宅に戻り明日の支度をしてすぐに寝る。
翌朝、出勤して仕事を終え、出張先へ。
新幹線が通るようになって本当にこっち方面への出張が楽になった。
前は半日かかっていたからなあ。
しかし、現地から取って返す、それも新幹線のない時間帯となったら車、
関越自動車道で行くしかないな。まさに3時間程度しかいられないし、徹夜だろうけど。
それでも会いたくなったら行くしかない。
そんなことを考えているうちについた。
まずはホテルにチェックインしなければ。
安かったがそれなりのホテルだ。
食事は別。朝飯は適当な喫茶店行けばいいし。
さて、明日から回る漁港への道路を確認しなければ。
明日はまず北側にある川沿いの漁港に行くことになっている。
まあ、今回の出張で行く漁港へは1時間以内につくところばかりで助かる。
基本的に今回は挨拶回りだから気が楽だ。
ただ、話によっては夜に接待を受けたりがあるから遊びまわるのは無理だが。
まあ今日はメシ食ってごろ寝だな。
疲れた。
先生はどうして居るだろうなぁ。
ってお稽古してるに決まっているよな。
とりあえずメシ食うか。
ホテルの1Fにあるという酒がいい居酒屋を教えてもらった。
こりゃすごい。
メニューが酒だらけだ。
いや今日はそんなに飲んじゃいけないからちょっとだけね。
なに、3階で利き酒できる?
夜9時まで? よしよし、明日にでも行ってやろう。
こりゃあ知らいで決めたホテルだが良いな、良い。
今度先生を連れて来たいなあ、沢山飲ませて…うん、いいね。
とりあえず土産は酒になりそうだ。
おいしくメシをいただいて、酒も入っておやすみなさい。
早朝というか夜も開けきらぬうちに漁港へ。
漁師さんや漁協とのお話をすませる。
それなりにお話がついた。
今晩いかがですか?といわれ一度は断る。
再度すすめられて乗る。
呼びたいなぁと思っていた古町芸妓を呼んでくれたようだ。
うんうん、京都と並び称されただけはある。
さすがに東京の人は慣れておられる、なんて言われたが、
東京でそんなに座敷かけたことはないな。
酒を控えめに接待を受けて、踊りや三味線を楽しむ。
あ。先生を座敷に呼ぶの忘れてた。
帰ったらそうだな、宗直さんたちお姐さんに願って座敷かけるか。
早めのお開き。みんな朝早いからねえ。
俺もホテルに帰ってすぐに寝た。
翌日はお話のみなので昼間っから利き酒エリアを楽しんで。
さすがに3日目は夜の街に繰り出した。
って結局芸妓呼んだだけだったりするが。
置屋の電話番号を教えてもらってあったので直接連絡した。
料亭などの手配もしてもらって車も呼んでもらった。
明日は一応は休み、朝早く起きなくても良いってことで。
楽しく遊んでいると電話。先生から。
『ごめんなさいね、この間の茶碗、明日使おうと思ったのだけど…』
「ああ、仕舞ったところですか。鶴首釜の横の棚だったように思います」
『ありがと…山沢さんあなたどこに居るの。…浮気よね』
ガチャッと電話を切られた。
あ、若い子のくすくす笑い聞こえちゃったな、こりゃ。
リダイヤル2回、あー駄目か。
帰ったら大変なことになるな…乳首取れたらどうしよう。
よその土地のお姐さんたちだからね、ちょいと相談。
こういう嫉妬にはどう対応したらいいんだろうね。
女同士は良くわからない?まぁ通う男性の奥さんの気持ちと考えて。
やっぱり誠意かな。誠意だよね。
沢山愛してあげればいい、なるほど。
愛されてる自信を持たせる、なるほど。
夜遊び・芸者遊びをしない。うっそいつぁ難しいな。
こっちの遊びが好きだからねえ。
新潟に来たならば古町芸妓、と思ってきたんだよ。
そういうと嬉しいといわれた。
十日町芸妓連とかね、あそこは十日町小唄で有名だけども。
古町は京都と並ぶ良い芸妓だと聞いているからね。
「こちらは市川と市山さんと聞いてますがね」
「いやぁ今は市山だけらてー。わっては市川、踊れますいねよ」
古株さんか。
市川と市山、二人で踊り比べてもらう。
なるほど違う。ここまで違うとは

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