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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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50

翌日の仕事は台風が近いこともあり、入荷量整わず暇で。
天気予報やニュースを見るとやはり明日直撃の予報である。
うーん、本当に明日、いけるのだろうか。
帰宅後、雨ゴートの用意などをする。
傘は絶対役に立たない。むしろ危険だ。
今日は早めに寝ておこう。

さても夜中から結構な雨である。
出勤しても客が来ないほどの有様だがとりあえず仕事を終えて帰宅する。
軽く食事を取り、風呂に入る。
着替えて雨ゴートを纏い、首元を防水布で覆ってレインキャップ。
後頭部から背中まで被う防水布が付いており、前は透明シールドになっているものだ。
普段、雨降りに自転車に乗るときに使っているものだが着物の時には結構役に立つ。
足元は防水脚絆。雨ごしらえをしっかりとしてさあ行こう。
…洋服で行けばいいのでは、という突っ込みはなしで!
結構な雨の中、電車は動いていて順調にたどり着く。
「こんにちはー」
「よく来たねえ、こんな雨なのに」
軒先で雨コートや帽子などを吊るして、脚絆も取る。
足洗にと桶に湯を持ってきてくれた。ありがたい。
洗ってくれようとするが流石にそれは断って自分で濯いだ。
からげていた袴も下ろして家にあがる。
お稽古は?と聞くとやはり今日は皆さんお休みとか。
「お稽古お願いしていいですか?」
と聞くとかまわないと仰る。
いそいそと用意をしてお稽古すること4時間、外は風が強くなってきた。
そろそろお仕舞いにして、ということで水屋を片付けていると近くに雷が落ちた。
絹先生が思わず私に飛びつくほど地響き。
耳を済ませて火事になってないか探る。大丈夫そうだ。
今の今まで先生として厳しく稽古つけてらしたのに、この可愛さ。
思わず水屋だということをわかっていながらキスしてしまった。
「駄目…ここじゃ…」
うぅ…わかってますよ、わかってますって。
深呼吸して落ち着く。ふぅ。
「さっさと片付けちまいましょう」
片付けを済ませ、居間に戻った。
ご飯の用意できてるから、と八重子先生。
孝弘さんを呼びに行く。
律君は司ちゃんの家に泊まることにしたらしい。
家まで送っていったが電車が止まったとのことだ。
司ちゃんを律君のお嫁さんに~と先生方がニコニコしている。
いい加減それはないと思うぞ、司ちゃんには星野君という彼氏いるし。
しかし孝弘さんは外の嵐を見て楽しそうだな。
食事も終わり、テレビの台風情報を見ると今夜半から朝方がきつそうだ。
八重子先生は早く寝るといって部屋に退けて行かれた。
残るは絹先生と私だけである。
…とりあえず戸締りと火の始末、しましょうということになり動く。
確かめて、私のいつもの部屋に先生を連れ込む。
「ああ、そうだ。アレ、終わりました?」
「…ええ、この間は八つ当たりしてごめんなさい」
え?八つ当たりされたっけ?
あれか、気づかなかっただけで八つ当たりされてたのか。
会話しつつ布団を敷く。
先日、そろそろ客じゃないので自前の布団、ダブルを持ち込んでいた。
寝相が悪いからシングルだと寒い、とかなんとか言って。
八重子先生はわかってるだろうけど。
ちょっと高いが綿をシンサレートにした。厚手で軽く温い。
さてと。
座ってる先生の前に膝を突いて、まずはキスを。
「ここならいいでしょう?」
先生は頬を染めてうなづいた。
キスをしつつ、帯締めに手を掛け。帯揚げ帯枕をほどき、帯を解く。
脱ぐから待って、というので一度離れる。
着物ハンガーを持ってきて帯を掛け脱いだ着物をかけている。
AVなんかだと脱ぎ散らしてヤってたりするが。
どうしても着物を掛けたくなる。貧乏性なのだろうか?
まあ、その間に私も脱いで着物と襦袢を衣桁にかけた。
うっ寒。秋の夜はひんやりとしているな。
まだ長襦袢の先生を布団に引きずりこんだ。
しばらく抱き合っている。うう、ぬくい。
布団の中で長襦袢と肌襦袢まとめて脱がせ、胸を弄りはじめた。
先生の荒い息が耳に心地よい。
あまり声が出ない程度にあちらこちらを弄り、煽る。
逝かさず逸らさず、楽しむ。もう少し焦らすか、それとも…。
ああでもせつなそうだ。
いいところを探そうとして腰が動いている。
それを敢えて外して楽しんでいると、お願い、と辛そうに言われた。
可愛いなあ。
そろそろ、いいか。
さっきまで外していたスポットを重点的に刺激する。
私の肩を噛んで声を潰し、しがみついて逝った。
荒い息。
背を撫でる。
うちだったらなあ、声出してもいいんだけどな。防音だし。
さすがにこの家で声を立てられると困るんだが噛まれるの痛い…。
先生が噛み痕を舐め、くすぐったくて驚いた。
なんだ、もう落ち着いたのか。
「ねえ、山沢さん…私にされるのは無理ってお母さんに言ってたみたいだけど…」
はいはい、いいました。
って俺の乳を揉むんじゃありません。
「イタズラするなら腕縛っちゃいますよ?」
と言ってるのに先生の手が下腹に伸びる。
その手首を握り少し力を入れ、耳朶を噛む。
「駄目と言ってるでしょう?」
「どうして?」
どうしても、ですよと言いつつ先生の乳首を摘む。
ビクッとして楽しい。
布団の中にもぐりこんで濡れているそこを舐めると好い声が漏れる。
「罰として声は自分で我慢してください」
先生は枕に顔を押し付けて声が漏れないようにしている。
指を入れ、まさぐると我慢するのがつらそうだ。
いいスポットに当たったらしく枕の下からくぐもった声が聞こえる。
楽しい楽しい楽しい。至福。
ぎゅうっと指が締め付けられて、足が痙攣して。
私を掴む手が強く握られて。
感じてくれて逝ってくれるのは嬉しいなあ。
涙目になってるその瞼にキスをして。
唇にも、首筋にも、鎖骨にもキスを落とす。
そのままゆっくり背中や腕を撫でていると先生の荒い息は寝息に変わっていた。
ふぅ。
しかし先生は何をしようとしていた?まさか、な。
…一応ちゃんと浴衣着て寝るか。

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49

翌朝。
朝食をいただいていると律君が帰ってきた。
昨日お友達がべろべろに酔って介抱してたら終電を逃したらしい。
合コンで男友達にお持ち帰りされてどうする。
一緒に朝飯を食って、そのまま寝てくる、と部屋に戻ってしまった。
絹先生も眠そうだ。寝てきたら?という勧めに従って部屋に戻られる。
八重子先生と二人きりだ。
「……あんた、する方なんだって?」
へっ?何を?
「されるのは苦手なのかい?」
「えーと?何をでしょう」
「あぁ。絹とするときの話だよ」
「絹先生から聞かれたんですか?参ったな」
そんなことを親に話さなくてもいいのに…。
「んー…絹先生にはされたくないというかどう言ったらいいんでしょうか。
 他の人やそれこそ男となら受けるほうは可能ですが」
「複雑なもんだねえ。というか男とできるんだね、あんた」
「可能か可能じゃないかという意味ではですよ」
やりたくはない。
「たとえば私があんたにする、とかだったら出来るのかい?」
「できるんじゃないでしょうかねえ」
「でも絹からはされたくないと」
そういうことですな。
八重子先生はよくわからないというような顔をしている。
さて、そろそろ掃除をしよう。
風が結構ある中、庭を掃除する。枯葉多いな。
庭掃除を終えて戻る。
お昼ご飯の用意をそろそろしないと。
絹先生は寝てるから八重子先生と作る。
主婦って大変だよなあ、毎食違うもの作るんだから。
俺なんか…。
と思ってたら八重子先生も自分だけならあるもの食べて済ますそうだ。
孝弘さんの分があるから作るらしい。
そんなもんか。
しかし毎回炊くご飯の量がすごい。エンゲル係数すごいんだろうな。
お昼の支度も出来たので絹先生を呼びに行く。
ぼんやりしているのでキスしてみた。
…駄目だ、ヤりたくなる。慌てて離れた。
孝弘さんと律君も呼んで昼飯。
団欒。いいね。
お昼を食べ終わり片付けていると八重子先生にお客様だ。
絹先生はお茶を出して戻ってこない。
私は部屋に戻って縫い物の残りを少しやることにした。
しばらくして絹先生が来た。
ほっといてごめんなさいね、と言うが客じゃなし、別にいい。
と言うと拗ねてると思ったのか身を寄せてくれた。
針などを除けて、先生を引き寄せる。
可愛くて。したくなって困る。
中学生かっ。
キスをしたいが、したら止まりそうにない。
そう思っているのに先生からキスをしてきた。
たまにイタズラしたくなるようだ。
「いけません、今日はしませんよ」
律君もお客様も居るのに。
でも離れるのは嫌だな。
人が来ない間は抱きしめておきたい。
ぬくもりが手放し難い。
1時間くらいそうしていただろうか、八重子先生の呼ぶ声で我に帰った。
絹先生が慌てて離れる。
部屋を出て呼び声に答えると、律君と八重子先生は出かけるとのこと。
帰りは夜なので待たなくて良いとのことだ。
お見送りをして絹先生と居間に戻る。
普段ならなんという好機!だがそうもいかない。
というかむしろしてはいけない理由が一つだけというのは却ってきついかもしれない。
参ったな。
「今日は早く帰ろうかと思うのですが…」
「…アレでできないから帰るの?」
ああ、むっとしてる。
どうしよう。
いい事思いついた。
「そうだ、お稽古つけてもらえませんか?」
これなら時間潰せて更に一緒に居れてしたいしたい思わなくて済む!
ため息一つ落とされて、お稽古つけてあげると仰っていただいた。
水屋の用意をして、お稽古をお願いし行之行を3度ほどやると良い時間になった。
そして水屋を片付け晩御飯の支度を手伝い、名残を惜しみつつ辞去した。

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48

翌日の仕事は流石に気を抜くわけにもいかず疲れて帰宅。
買物に行き、下ごしらえのみして寝る。
明日のために疲れを取っておくべきだからな。
流石に明日の夜は淫らな事はできないだろうけどね。
夕刻、電話があり起きる。
何かと思ったら仕事の電話だ。
目が覚めたら腹が減った。何ぞ食って寝よう。
昨日、作ってってくれた残りで食らう。
うーん、うまい。幸せだ。
少し晩酌して寝直す。
明日は稽古だ。

さて週末とも有り仕事は忙しく、怒濤のように時間は過ぎた。
急いで帰宅しシャワーを浴び、着物に着替えて飛んで出て行く。
慌てて水屋に顔を出す、セーフ!よし!
居間に顔を出して挨拶をすると今日は花月だからということで、
風炉の準備や折据を用意する。壷が出てるからこいつもか。
そろそろ口切だなあ。
炉開きの日は会社休みだといいな。去年は仕事だった。
そうこうしていると何人か集まってきた。
壷?という顔をしている。
絹先生が来て、壷はやらないからしまっていいといわれた。
どうやら朝の方々のお稽古で使っただけのようだ。
花月は見ているだけでも楽しい。
4回ほどまわしてお稽古終了。
水屋を片付け、お台所を手伝う。
今日もうまそうだ。
お父さん呼んできてくれる?と言われ孝弘さんを呼びに行く。
食卓について晩飯をいただいて。
律君は今日は合コンらしい。青春だな。
孝弘さんにご飯のお代わりを勧めてる絹先生が微笑ましく可愛らしくて良い。
八重子先生は微妙な顔をしているが。
食事を終え片付けを手伝ったら居間へ。先生方とお茶をいただく。
「台風来るのかしらねえ」
「どうなのかねえ」
「明後日昼以降から酷いらしいですね」
「山沢さんうちに来れるのかい?」
「多分大丈夫だと思います。泊めて頂けるのなら」
今更だけど。
絹先生は照れくさそうだ。
「台風のさなかに帰れだなんていわないよ」
微妙な顔のまま八重子先生に言われてもなあ。
「あ、そうだ。行之行のここの手なんですが…」
お稽古のときに引っかかったところを聞いておく。
色々お話している間に夜は更けて行く。
部屋に戻ると絹先生が来た。
「あの、山沢さん…今日ね、アレなの…だから」
ああ、月の物ね、今日稽古中も席立ってたもんなあ。
「冷えとか、大丈夫ですか?だるいとか」
「あ、それは大丈夫よ」
「どうしたんです?」
「…したいんじゃないかって思って」
ああ!そういうことか。
「したいっちゃあしたいですが、生理中にまで押してするほどではないですよ。
 この間十分楽しみましたしねえ。ああ、でも」
頬に手をかけて深くしっかりとキスをする。
「これくらいはいいでしょう?」
「…もう」
「ふふ、おやすみなさい。温かくしないと駄目ですよ。それとも一緒に寝ますか?」
「山沢さんがしたくなるでしょ?駄目よ」
おやすみなさい、といって戻って行かれた。
ちょっとしたくなったのは事実だ。
着替えて布団に転がる。
あっという間に眠気がきた。

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47

翌朝、まだ寝ている先生をそのままに出勤の支度をする。
幸せそうな寝息にこのまま一緒に寝て居たくなる気持ちを振り切って、出勤。
仕事がんばろう!
それなりの忙しさで仕事を終えて、帰宅。
ちゃんと鍵がかかっている。
中に入るとテーブルに書置きが。お昼ごはん冷蔵庫に有る!やった!
お味噌汁もある!食う。うおーうまい!
でも塩が甘い。こればっかりは仕方ないなぁ。
完食してシャワーを浴びる。
あ、ちゃんと先生もシャワー浴びてったようだ。
着物に着替えて、と。
鞄の点検。ヨシ。行こう。八重子先生に叱られに。
でも幸せだな。
電車に揺られてバスに乗って到着。
直接居間へ。
「こんにちは、八重子先生。すいませんでした」
「はいはい、こんにちは」
あれ?人が多い。
「ちょうどいいわ。これが覚、こっちが開。覚えといてちょうだい」
「あ、山沢と申します、よろしくお願いします」
ん?今日平日…だったよな。
どうやら覚さんは休出の代休、開さんは無職らしい。
…不動産屋はやめてたのか。
「あとうちに出入りするのは潮くらいかねえ」
ああ。今回みたいにならないための引き合わせでしたか。
「潮さんというと晶さんのお兄さんでしたっけ」
「あら、あんた会ってたかねえ?」
ええとたしかチャラいあんちゃんだった気が。
「母さん、こちらは?」
「ああ、この子は絹の友達みたいなもんでね。生徒さんなんだけど。
 最近うちによく泊まったり、絹がこの子の家に泊まったりしてるんだよ」
「絹が?」
おっと朝のお稽古終わったようだ。
絹先生が戻ってきた。
「こんにちは、絹先生」
「はい、こんにちは。あら兄さんたち来てたの? 山沢さん水屋頼むわね」
「午後はどなたでしたっけ?」
「安藤さん、平野さん、原田さん、大村さん、西尾さん、斉藤さんよ」
お稽古手帳を繰る。
「斉藤さんは竹の台子で他の方は中置の風炉でよかったですか?」
「お母さん、それでいいかしら?」
「それでいいと思うよ」
んじゃ準備してきましょう。
茶室へ行って朝の人たちの後片付けをしてざっと掃除。
台子を出して組み立てて設置し、電熱風炉を置く。
皆具をセット。湯はまだ沸かさない。
対角に中置きの位置に風炉をセッティングする。
こっちは炭だ。安藤さんは初炭手前してもらおう。
まあ半分は嫌がらせだけど。中置の炭手前。
用意が終わったので台子の前でイメトレ。
いくつか引っ掛かりがある。
やっぱりここしばらく稽古できてないからなあ。
後半月も稽古できないのか。
ここは一つお願いして稽古日以外にお稽古つけてもらおう。
しばらくして安藤さんが来られた。
炭手前の用意を見て顔を曇らせている。
苦手なことほど沢山やるほうがいいんだよ、と思いつつ内心悪い笑み。
と、絹先生が戻ってきた。
「今日は、お稽古よろしくお願いします」
「はい、よろしく」
うーん、この人は嫌いだけど流れるような点前で綺麗なんだよなあ。
とはいえさすがに中置だと一瞬流れがよどむけど。
その後は平野さん、原田さん、大村さん、西尾さんと次々にお稽古がすすむ。
沸いた湯を台子のお釜に指して電熱器のスイッチを入れて待つ。
斉藤さんが来た。
濃茶だから次客に座ってといわれて久々のお客様をする。
お茶をいただく。うん、うまい。
綺麗にお点前を終えられた。
炉のお点前もこれくらいできるようになったら次だな。
お稽古も終わり、水屋を片付けてから台所へ顔を出すと夕飯の支度をされていた。
「今日は食べてくかい?」
「いや明日も仕事なんで今日のところはこの辺でと」
「あらぁ。そうそう、鍵。返すわね」
「鍵?」
「私、仕事の時間早いので合鍵を置いていったんですよ。
 ああ、絹先生、昼飯うまかったです。ありがとうございました。鍵はいいです」
八重子先生にも挨拶して今日のところは退散、叱られずに済んだな。

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46

まあそういうわけにもいかないわけで。
とりあえず晩飯の支度しないと…って無理、疲れた。
鮨頼もう鮨!
いつものところに電話して持ってきてもらおう。
電話して、先生をベッドに運んで、着物着なおして。
しばらくすると届いた。
先生食えるかな?
お昼も食べずにしてたから腹は減ってるようだけど。
起こしてあげれば食えそう?よしよし。
ベッドの上で裸の先生と鮨を食う。
ちょっかいを出したくなる光景だが、食事中はお行儀が悪い(笑)
「ね、このまま泊まっていきませんか。明日私仕事ですけど」
「そうね…っていいたいけど流石にお母さんに言いにくいわよ」
知らない頃なら言えたかもしれないが知られてからのほうが言いにくいな、確かに。
「でも帰れますか、立てもしないでしょう?」
ぐったりしてるしね。
「疲れさせたのは誰かしらねえ」
私ですな。しょうがない。
「わかりました、私が電話しますよ」
電話を掛ける。
『はい飯嶋です』
「あ、山沢です、こんばんわ。
 すいません、絹先生もう一晩お借りしてもよろしいでしょうか」
『……あんたねえ、山沢さん』
呆れられた。絹先生を見ると恥ずかしげだ。
「いや、あちこち連れ回したら疲れちゃったようでして…その」
『しょうがない子だね、あんた。そういうことにしといてあげるよ。
 明日の稽古までに戻っといで、と言っといてくれるかい?』
「はい、ではそのようにお願いします」
電話を切る。
「お母さん、どうって?」
「御稽古までに戻れって仰ってましたよ。よかった」
「そう…」
なんとなく眠そうだ。
「ちょっと寝ますか?」
背をなでると寝そうになってる。
裸のままだが布団に入れて桶の始末をして寝室に戻ると寝息。
うん、いいね。この無防備さ。
明日の用意をしたら俺も寝よう。
俺の明日着る服一式と、先生の着て帰る着物一式を用意して、
あとはうちの合鍵をテーブルに書置きと共に残すか。
先生が起きる頃には俺はもう仕事だからな。
用意も整った。さあ寝るか。

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