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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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11

それから何回か稽古日が過ぎていった。
男の点前と女の点前がごっちゃになりそうだが、なんとかついていっている。
どうせなので男の単衣を何枚か作ろう。
八重子先生に相談したら、自分で着る分くらいは縫えるようになると良いと言われた。
お稽古のない水曜日に教えてくださるというので通うことにした。
売り物のような手の込んだことは教えられないけど、と。
まずは単衣から。
水曜が会社休みのときはお茶のお稽古の後泊り込むことが出てきた。
お茶の稽古に男着物を着て行くことも増え、
絹先生が男を引っ張りこんでいるなんて野暮な噂は消えたようだ。
あの旅行の後、二人になったときにキスくらいはするが手を出していない。
そんなとき、八重子先生がチケットをくれた。
熱海で開催される茶道具展だ。絹先生といって来いという。
一泊でも二泊でも良い、と。
ゆっくり見るんなら二泊だろうという話になった。
ちょうど暇な時期、会社も休みを取れるはずだ。
一応会社に確認したがかまわないと言われた。有休は売るほど残っている。
宿は熱海だし温泉宿だよな、やっぱり。
ここはやはり部屋露天のある離れだろう。たしかあそこ…。
ササッと調べると平日ということもあり空室、ラッキー。
稽古の後そのまま行けば良い。
絹先生が買い物から戻ってきたので告げると、身を堅くしている。
可愛いなぁちくしょう。
「楽しみですね」
と微笑んだところ、ぺちっと叩かれた。
「展示物が、ですよ」
頬を染めて、知らない、と庭に行ってしまった。
しかし八重子先生はどういうつもりなのだろう。
絹先生と年の近い気の合う弟子扱いなのか、はたまた知ってて知らぬ振りか。
前者のつもりで気をつけないとな。

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10

翌々日。
お稽古に伺った。
今日から男の点前もするのだが、紫の袱紗と大きい懐紙もいるかと聞いたら
着物を着てるときは必要だけど今はいらないとのこと。
いつもの袱紗で男の点前でお稽古していただく。
お稽古の後、八重子先生からお呼び出し。
バレたような感じはない。なんじゃらほい。
小間に行くとこないだの人だ。絹先生と男がホテルに行ったと注進しに来た人。
どうやら旅行帰りのときも見たらしい。
そういやぁ手を握ってしまってた気もしなくもない。
「悪いけどシャツ脱いでくれないかい?」
はいはい、信じてくれないってやつですね。
ひょいひょいとワイシャツを脱ぎ、インナーのシャツを脱ぎ、さらしをはずす。
「と、いうわけで、なんなら下も脱ぎましょうか?」
納得してもらえたらしい、下は脱がなくて良さそうだ。
何でそんなややこしいとかぶつくさ聞こえる。
「私は女性の服装が苦手なので男性の格好をしているのです。
まあ、結婚式なんかだと色無地も着ますよ。男着物は一種の洒落ですね」
帯結びも楽だし。
多分この人スピーカーだろうなあ。
「有名ホテルのランチってあまりハズレがないんで結構利用するんですよね。
 それに気分が悪くなっても部屋取れたりできるんで具合が悪いままに
 無理して帰宅しなくて良いので使い勝手が良くて。」
よしこれでどうだ。
「そういうこと、あるのかい?」
「昔はよく疝気やら貧血で気分悪くなってたんでそういう使い方してましたよ。
 今もたまに疝気はありますけどね」
これで"ご休憩"くらいの申し訳が立つかな。
新しいネタ獲ったどー!みたいな顔してるぜ、スピーカー。
ところでいい加減服着て良いだろうか。
「お母さん、ちょっと…あら。」
だあぁ、絹先生に乳見られたじゃないかっ。
八重子先生に来客とのことだ。
じゃあこのへんで、とかなんとかいってスピーカー帰ってっちゃったよ。
その間にササッとさらし巻いてシャツを着た。
「意外と大きいのね」
しっかり見られていた。
「ははは…私もそろそろ帰りますね…」
先生は、ふふって笑っている。

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9

翌朝6時半。
外は良い天気だ、台風一過、だな。
先生が風呂に入っている間に関東方面の状況を確認する。
新幹線も動いてるようだ。
帰りの切符の手続きをする。早朝から昼までは混雑している。
1時半ごろ乗車の切符が取れた。
ここのチェックアウトは11時半、2時間ほど、どう時間をつぶすべきか。
茶道具の展覧会か何かあったかな。
ちょうど国立で良いものがあるようだ。このへんでいいか。
先生が風呂から出たので聞いてみる。展示内容から行きたくなったようだ。
帰りの格好はワイシャツにスラックスのつもりだったが、
先生が羽織に着流しが良いという。確かに先生の格好と釣り合いが取れる。
身づくろいをし朝食を取る。
戻ってきて荷物をまとめ、あらかた宅配便に任せることにした。
常着を脱ぎ、着替える。その脱いだものも荷物に入れる。
これで手荷物のみだ。
地元の人くらいに身軽である。
先生はゆっくり観覧したいというので早めにチェックアウトすることにした。
タクシーを呼んでもらい、チェックアウトの手続きをし、カードで支払う。
支払いも終わった頃タクシーが来た。
国立へやってもらう。
台風の後の国立はさすがに人が少ない。
しかしさすがに良い展示物。
講習会に来ていた人にも再会した。同じく帰宅困難で連泊したそうだ。
観覧を楽しみ、向かいのハイアットでランチをとった。
そろそろ駅へ行かねばならない。
タクシーで八条口まで行く。ちょうど1時だ。
チケットの発券を受けて改札を通る。
ロビー階で土産を買い、ホームに上がった。
自由席はすごい人のようだ。私たちは指定席なので割と空いていた。
東京へ行くまでに満席になるのだろうけれど。
ちゃんと二人席が取れていて、やはり先生を窓側へ。
和服だとやっぱりそれなりに注目されるね。
どう見えているのだろうか。夫婦?コスプレ?
先生は乗車直後から寝てしまった。昨日やりすぎたかな。
寝顔を眺めたり、車窓を眺めたりしているうちに一駅手前だ。
先生を起こして降車。
行きは駅で待ち合わせたが帰りは先生のお宅までご一緒する。
八重子先生に報告だ。
最寄り駅まで乗り継いでいく。
駅からタクシーを使った。快晴で暑いが京都よりはましだな。
「ただいまぁ」
「お邪魔します」
中は涼しいなークーラー入れてないのに。
「おかえり。台風大丈夫だったかい?」
「ええ。」
あれ、今日稽古日じゃなかったか?
先生は着替えてくるわ、と部屋に行ってしまった。
「幸い講習日は宿に戻るまで持ちましたし、その後は中でしたし。
キャンセルが出て部屋もそのまま泊まれました。」
「そりゃよかったねえ、こっちは今日は台風の後始末があるからって
 人が多くてね、お稽古はお休みにしたんだよ」
絹先生が戻ってきた。相変わらず着替えるの早い。
講習会の様子を話したり、今日行った国立の展示物について話したり。
泊まった部屋が茶室だって言うのに八重子先生が驚いている。
さすが京都、というが結構その辺にもあるんだな、これが。
私は東海で温泉探してるときに見つけてスゲーって思ったのが最初だ。
「山沢さん、実技で男点前教えてもらってたのよぉ。男装するならって」
「折衷案といいますか、蓋は袱紗でもほかは男のやり方でと。」
「じゃあ次からのお稽古は男の点前を教えようか。両方覚えると良いよ」
両方かぁ、覚えられるかな…。
そうこうしているうちに夕方だ。辞去することにした。

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8

食事も終わり、お酒だけ置いていってもらう。
布団も敷かれている。一つしか敷いていないのに先生は何も言わない。
…いいのか。それとも俺が敷くから良いのか。
ザッピングしているとドラマっぽいものがあった。
それを見ていると、和服の女性が縄目を受けているシーンが。
ああいうの、したいんですよねぇと呟くと不思議そうだ。
「どうして?」
「逃げたいのに逃げられなくて、良いでしょう?
今朝みたいな腕力でするのも良いんですが、縄のほうが逃げれなさがあって良いですよ」
そっち目的とは思っていなかったようだ。顔を赤くされている。
「ああ、縄は持ってきてないんでご安心を。
それに連休初日ならまだしも今日縛ったら明日帰ったあとも縄の跡残りますよ」
先生は残るタイプと踏んでいる。八重子先生にばれるじゃないか。
ほっとした顔だ。
酒を注ぎ、飲ませる。
「そろそろ脱いで…」
「えっ!?」
あ、言い間違えた。
「もとい、寝巻きに着替えてください」
つい本心が出ちまったじゃないか。
先生は頬を染めて、見られてたら脱げないという。
可愛いなぁうん。そういう恥じらいって大事だよね。
「脱がしてあげましょうか?」
なーんてからかいながら茶室へ移動してあげた。
衣擦れの音がして、しばらく待つと入って良いと声がかかった。
寝巻きの浴衣姿になっている横に座って酒を注ぐ。
「布団、一組でいいんですか」
を、一気に赤くなった。
「だって…したいんでしょう…?」
わかってるじゃないか。
ってか結構酔っ払ってるな、これは。
そっと手を差し入れ、胸を触る。
「もう少し飲みますか?」
こくりとうなづいた。もうちょっと酒の助けが必要か。
胸を揉んだまま何度かついで飲ませた後、口移しに飲ませてみた。
そろそろいい頃合だろう。
寝巻きの帯を解くと湯文字をつけていなかった。
先ほど一緒に脱いだようだ。
恥ずかしがっているのが大変に良い。
まだまだ女ざかり、きれいな体だ。
いつか縛ってみたいなぁ。
どこまで受け入れられるだろう。
声も抑えて、快感を我慢する姿は美しい。
離れなんだから大声出しても良いのに。
良いスポットもわかってきたが責めると腰が逃げる。
どうやらいろいろと未開発だなぁ。勿体無い。
先生もぐったりしてきたことだしここらでやめておくか。
やわらかく抱きしめて寝かしつける。
しばらくして荒い息が寝息に変わった。
ちょっとシャワー浴びてこよう。汗かいた。
風呂で一発抜いて自分も治まったので寝巻きを着て先生の横で寝た。

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7

フと見ると少し眠そうだ。
「ちょっと寝ますか?疲れてるんでしょう」
先生は恨めしげにこちらを見る。
机を端によけて布団を敷くと、あなたは?と聞かれる。
私はもともと5時間半寝れば何とかなるタイプだ。
気づいたら横で寝てるかもしれないが今は眠気は降りてこない。
そういって先生を寝かせた。
寝顔も可愛いなあ。
……落ち着こう。
テレビをつけ、音量を絞り台風情報を見る。
今晩遅くまでは無理そうだ。
今夜も抱けるかな…。
いやいやいや、そういう意図で旅行に来たわけじゃないんだから落ち着けよ自分。
昼前になったら下火を熾して昨日のおさらいをしよう。
雑念消えろ!
お稽古したいが私では炭をつげないからなあ。
寝言が。ぃゃって聞こえる。
茶室に移ろう…。
座禅でも…無理だな、妄念の塊だ。
タブレットでなんぞ読むか。あ、会社にも帰れない旨メールしよう。
昼前になって先生が起きてきた。常着に着替えている。
先生の身づくろいの間に下火を熾すことにする。
熾きたところでお昼ご飯を食べに行く。
有りものでしている割にはしっかりしたご飯だった。

午後、先生に炭を次いでもらってお稽古をする。
昨日のおさらい。
雨音が強い中、みっちりと4時間ほどやった。
稽古中は妄想も浮かばん。
水屋の始末をする頃、腹が減った。そろそろメシか。
宿の人が晩御飯を持ってきた。
始末を終えて部屋に戻り、酒を頼んだ。
英勲の大鷹があった。これは少し辛口でうまい。
それでも先生には甘口のようだ。これだから関東人は…。

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