朝、目が覚めてもっと寝ていたくて。
それでも仕事に渋々起きた。
先生のぬくもりが恋しいまま支度して出勤する。
やる気なく暇な仕事を終え、帰宅。
「お帰りなさい、早かったわねぇ」
「うん、ただいま。暇だった」
「ご飯まだ作ってないのよ」
「どこか行きますか?」
「買物してあるから。今から作るわ、待っててくれる?」
「はい」
風呂に入って温まる。
少し長めに入った。
上がると脱衣所にちゃんと用意してくれてあって嬉しくなる。
着替えてご飯を食べてゆったりしてると痛くなってきた。
ベッドに追い立てられて寝ているが寒い。
先生をベッドに引き込むことにした。
帯だけ解いて俺を抱きかかえて寝てくれる。
多分、子供みたい。そう思っているはず。
小一時間くらいして先生が音を上げた。
「暑~い…」
「あ、風呂入ってきていいですよ」
「大丈夫?」
「うん、そろそろ大丈夫」
「おとなしくしてなさいよ?」
俺の頭をなでて先生が部屋を出て行く。
浴衣が皺になって背中に汗染み。
よっぽど我慢してくれてたようだ。
暫くして上がってきた気配がして冷房の風が感じられる。
流石に暑いらしい。
俺も落ち着いたからもう一度入ろう。
起き上がって先生にそう言うと、その間に少し布団を干すといわれた。
布団乾燥機で良いと言って出せば変な顔をする。
「マットついてないじゃないの」
「あー…これは無しでできるやつですよ。こうやって…」
セットしてスイッチ入れといた。
シャワーに入って出てくると先生がその様子を観察している。
「何やってんですか」
「本当に乾燥できるのか気になって」
冬場、頭のほうから差し込むと足元が暖かくないことならある。
「一時間くらいかかるから。そんなとこにいないでこっち来ませんか」
「あら、やっぱり時間かかるのは一緒なのね」
「だけど手軽で無精者にはぴったりでしょう?」
「やぁね」
あはは、と笑って先生はおやつを用意してくれた。
先生は羊羹、俺には求肥。
甘くてうまい。
お茶を頂いてゆったりとする。
あくび、つられた様に先生もあくびをした。
手招いて床にごろ寝をする。
笑って横に添ってくれた。
うつらうつらして途中で目が冷め、乾燥機を送風にしてトイレへ行く。
また先生を抱っこして寝ていると先生のお腹の音が聞こえる。
…何時だ今。
時計を見れば5時過ぎ、そろそろ飯の支度をすべき時間だ。
そっと寝かせたまま台所に行き冷蔵庫を確認する。
朝の買物で夜の分は買ってあるのかな。
うーん、微妙?
何を作るつもりだったのかがわからない。
一応炊飯器を見るとご飯はある。
取敢えず肉が食いたい。肉。
起こすのもなんだからさっと着替えて肉屋に走った。
ヒレ肉3枚を買い、サラダになりそうな野菜をついでに八百屋で買う。
急ぎ戻ってそっと玄関を開けるとまだ寝ている。
よしよし。
できるだけ静かに支度をして肉を焼いていると匂いで起きたようだ。
「んー…いつのまに起きたのー?」
「さっきの間ですよ。と言うことでステーキとサラダです」
3枚焼いてサラダもたっぷり。
あとはスープ。
定番定番。
机を拭いて配膳し、先生を座らせた。
「おいしそうね、いただきます」
「いただきます」
サラダから食べるから先生は太りにくいんだろう。
んー、うまい。
俺は勿論、肉から。
途中先生がお箸を置いた。
どうしたんだろうと思うと冷蔵庫から何かを出して温めている。
「はい、これ。食べなさい。サラダじゃ体冷えるわよ」
南瓜と大根の炊いたん。
いつのまに作ってたのだろう。
「お昼に間に合わなかったから出さなかったの」
「でも肉と合わな」
「黙って食べなさい」
「…はい」
好き嫌いは許しません、のお母さんモードだ。
サラダも煮物も食べて肉も食べる。すっかり満腹。
煮物がないつもりだったからちょっと多かった。
洗い物を先生がしてくれてしばしくつろぐ。
水仕事を終えて懐に来た。
「ねぇ…していいわよ」
「終った?」
「多分…」
キスして、といわれて軽く。
それからしっかりと。
ゆっくりと脱がせて抱く。
今日はそんなに疲れさせてはいけない。
明日、お稽古だからね。
「一週間くらいうちに居て欲しいなぁ。たっぷりかわいがってあげるのに」
「そんなの、無理よ…死んじゃいそう」
「大丈夫。あなたの限界、もうわかってるから」
ほんの少し超えさせるけどね。
「さてと。そろそろ寝ましょうか」
トイレに行ったり寝床の支度をしたり。
布団乾燥機を仕舞って寝巻きを着た。
ベッドに二人、潜り込む。
「乾燥、ちゃんとしてるのねぇ」
「いいでしょう? 簡単で」
肌掛けにケットを足して寝る。
そろそろ朝方は肌掛けだけでは冷えるだろう。
ワッフルケットが好きだけど、先生は顔に跡がつく、と言う。
年々跡が残り易くなっているとは言うが…。
どうせつけるなら縄の痕を付けてあげる、と言うと困った顔をしている。
「お母さんに見えないようにするの、大変なのよ?」
「見えても良いじゃないか」
「いやよ恥ずかしい」
「可愛いな」
沢山キスをして愛してると言うと嬉しそうだ。
「好きだよ。このまま閉じ込めておきたいほどにね」
頬を赤らめているのがまた可愛らしくて、良い。
でも実際閉じ込めて置いたら先生、壊れる。壊しちゃうからやめておこう。
壊すより清楚なままがいい。
そのまま寝かしつけて一緒に寝た。