忍者ブログ
百鬼夜行抄 二次創作

let

伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

319

翌朝食事を取り、律君を送り出してからのことだ。
昨日は危ないところだったのよ、と八重子先生に話を先生が振った。
「やっぱり家でするのはよした方がいいんでしょうけど、その、つい」
あんまり八重子先生にこういうこと言わないでほしいなぁ…。
「あんたら夜はあっちの家行ったらいいじゃないか」
「毎回ってわけには…どうかと思いますし…」
それに歯止めが利かなくなるから壊しちゃいそうで。
「ま、その辺は適当にしなさいよ」
「はあ…」
「さてと、そろそろお稽古の準備するよ」
炭の用意や釜のかけ方なども一緒に教えていただきながらの準備。
これもいい勉強だ。
八重子先生は俺のギリギリを見ているようで、嫌にならないところまで詰めて下さる。
先生は多少俺に対する甘えも有るとかでギリギリアウトまで責めてこられる。
俺がMならば先生のやり方でも嬉しいんだろうけれど。
一旦お昼ご飯の休憩を挟み、午後もお稽古。
おおよその流れはつかめそうだ。
3時半過ぎ、大学から律君が帰ってきた。早いな。
「じゃそろそろ終ろうかね」
と八重子先生が仰って片付けへ。
「あんたも羊羹食べる? 山沢さんにいただいたんだけど」
「うん、あ、お父さんの分もある?」
「あるわよー」
律君と先生の会話がほほえましい。
俺も心を切り替えないといけないなぁ。
すっかり落ち込んでいるから。
ん?甘い匂い。
水屋を片付け終えて居間へ行くと台所から先生に呼び止められた。
「これ、あなたの分」
ホットケーキだ。なんでだ?
首を捻ってると頭を撫でられた。
「羊羹食べないんでしょ? 甘いものこれしかないのよね、今」
「食べた後のあなたの口は甘いんじゃないですかね」
ついニヤッと笑って言ってしまったらつねられた。
「さっきまで涙目になってたくせに…そういうこと言うのね。
 明日もっと厳しくしちゃおうかしら」
「勘弁してくださいよ」
ホットケーキと切り分けられた羊羹を持って居間に行く。
八重子先生がお茶を入れてくれていて、俺はぬるいお茶にありつけた。
メープルシロップは切らしていて蜂蜜とバターでいただく。
コーヒーや紅茶ではなく緑茶なのが難だがおいしい。
「ん? この渋味は?」
「あぁ蜂蜜、こしあぶらなのよ」
「それでですか。道理で」
あ、孝弘さんに狙われてる。
それに気づいた先生が笑って更にもう2枚焼きに立った。
が、焼いてる間に1枚は孝弘さんのお腹に納まってしまった。
「あらあら、お父さん、山沢さんの食べちゃったんですか?」
じゃあ、と一枚ずつ配分してくださった。
んーうまい。
孝弘さんもおいしそうに食べていて、それも見ている先生も幸せそう。
律君だけが微妙な顔をしている。
昨日のマッサージ、と言うのが納得いかないのかなあ。

拍手[1回]

PR

318

「こんにちは」
「いらっしゃい」
「これお土産です、羊羹」
「あらありがと。後でいただくわね」
「いい匂いですね、何食べてるんですか?」
「焼きそばよ~」
「お稽古前にしっかり歯を磨かないといけませんね。青海苔」
「そうなのよねぇ、お好み焼きも焼きそばもついちゃうのよね」
軽く歯磨きするだけじゃたまに残ってるんだよな。
ま、とりあえず水屋の準備をしてこようか。
今日は天気も上々で暖かくゆったりと楽しげに皆さんお稽古されている。
ほほえましい。
俺も自分の稽古がなければそういう気分だ。
皆さん帰られたので手・口を清めて俺のお稽古。
先生が怖い…。厳しいし。
涙目になる程度にきつくお稽古されて八重子先生が見かねてストップかけてくれた。
先日いじめたから仕返しかな…。
「半年で仕上げたいのよ? 今厳しくしないとだめよ」
「そんなこと言ったってあんまりにもかわいそうだろ。手加減してやんなさいよ」
「仕方ないわねぇ…その代わり明日もお稽古しますからね!」
「うぅ…はい」
まったりした春の日差しの中でゆったり二人で、とか思ってたのになぁ。
台子などを片付けて、水屋をしまう。
八重子先生が入ってくれた。
頭をなでられて、悪気はないんだよとなぐさめてくれた。
悪気があるんなら夜に声ださせてしまいそうだ。
夕飯をいただく。
既にお稽古モードから切り替えできている先生が優しい。
ほっとして、ご飯の後の食器を洗う。
居間で先生と八重子先生が何か話しているのがかすかに聞こえる。
片付け終わって戻る。
「ね、山沢さん。明日もお稽古するけど…今日ほどは厳しくしないから」
「お稽古するの嫌になるだろ、流石にあれじゃ」
「えぇと、あー…はい」
昨日とかその前くらいのなら耐えれる、かな。
その後は普通に会話して、今日は早めに寝ようということになった。
先生と布団に入る。
するりと俺の懐に先生がきたが…なんとなく気が乗らない。
先生からキスされて、胸に手を持っていかれた。
「どうしたの?」
なんとなく先生の乳首を弄って立たせてみる。
…気が乗らない。
先生の寝巻をひんむいて伏せさせた。
「え、ちょっと…」
マッサージに変更しよう。
黙々と先生の背中を揉み解す。
結構凝ってるなぁ…。
少し声が出てるが構わずに揉んでいると部屋の外に人の気配。
…律君かな。
背中から尻へと揉み進めて太股はリンパを流すように。
足首まで終えて先生に仰向けになるように言う。
少し恥ずかしそうに寝返りを打ったところで部屋の外の人影に気づいたようだ。
焦った顔でこれまでに変な事言ってないか考え出してる先生を楽しむ。
さっと立ち、障子を開けた。
「律君、どうしたのかな? 眠れない? 寝かしつけてあげようか?」
「い、いや結構です。って何してたんですか?」
「マッサージ。結構肩こり酷いね。君は…凝ってなさそうだけど」
「あぁ気持ちよかった。律、あんたもしてもらう?」
あ、先生が復活した。
「いいよ凝ってないし!」
反応がうぶで可愛いね。
「あらそう?」
「じゃ続きしましょうかね。おやすみ、律君」
にっこり笑って追い払って横に戻る。
先生と顔見合わせて笑った。
「あぁ吃驚したわぁ…いつからかしら」
「腰の辺りかな。くすぐったがってた頃」
そのまま胸に手を這わせる。
「こうしてる時じゃなくてよかったですね」
「ばか…」
「もう少し、マッサージしましょうね」
愛撫込みのマッサージをして行く。
足の指の先までして、あとは中のマッサージ。
つぷり、と中指を入れてゆっくりほぐして行く。
気持ちよさげだ。
先生を楽しませて俺も楽しんで夜が更けた。

拍手[1回]

317

翌日は月曜とはいえど暇で。
これはお稽古行ってもよさそうな気がする。
やはり早い目に仕事が終わり帰宅できた。
風呂に入って着替え、移動する。
「こんにちは」
勝手知ったる、で部屋に鞄を置き支度して茶室へ行く。
「あらいらっしゃい。とりあえずお客さましてて頂戴」
4客で真の行を見せていただく。
優しく八重子先生がお稽古されていてうらやましいの半分。
「じゃ山沢さん。支度して。次あんただよ」
「あっはい」
水屋で息を整えて返ってきた道具を整え、さあ行くぞ。
何度も詰る毎に叱責を受けつつ厳しいお稽古を先生から受ける。
「次の方まだいらっしゃってないから…もう一度やりなさい」
「はい」
水屋に戻ると姉弟子さん方に心配された。
絹先生のあんなに厳しいのは初めて見たとか。
だろうなぁ。
でも何かお考えのあってのことだろうから、と再度点前へ立つ。
やはり何度か叱られて終了。
水屋へ戻って次の方のために調えて客の席に戻る。
正客に座らされ拝見の稽古。
間違って叱られた。
他の生徒さんがそわそわしてる。
点前の方が水屋に戻られたのでこの辺で失礼します、と挨拶した。
「はい、また明日ね」
茶室から出て部屋に戻り鞄に道具をしまい、帰宅した。
夕方前に帰宅するのは久しぶりだ。
部屋着に着替えて途中で購入した弁当を食べる。
おいしくないなぁ。
少し気落ちしたまま食べ終わり、寝る用意をした。
ベッドに入って暫くすると先生からメールだ。
美味しそうな夕飯。
食べ物もメールで転送できたらいいのに。
いやこの場合ほしいのはどこでもドアだな。
返事を半分ほど書いているうちに寝てしまったようだ。
夜中だが続きを打って送った。
きっと朝に見るだろう。
もう少し寝て出勤。
…暇だ。
火曜日は仕方ないなぁ。
仕事を終えて帰宅。シャワーを浴び着替えて先生のお宅へ。
少し早いから寄り道して羊羹買って行こうかな。
ああ暖かいなぁ乗り過ごしそうだ。
ゆったりした気分で先生のお宅に着いた。

拍手[1回]

316

台所から戻ればまだ先生はあくびをしてる。
「お母さん、布団で寝なよ」
「本格的に寝ちゃうもの、いいわよ」
「おこたじゃ風邪引きますよ」
「あなた眠くないの?」
「私こそ今寝たら夜中に起きてそのまま出勤ですよ…」
「いいじゃない、そうしなさいよ」
ちょっと迷ったがそういうのも一度くらいはいいか。
「じゃ布団敷きますから。律君、夕方起こしてくれるかな」
「あ、はい」
「晶ちゃん、悪いけどおばさんちょっと寝ちゃうから」
「おやすみなさい」
微妙な顔してるなぁ…。
だけどこうでもしなきゃ布団で寝てくれそうにない。
布団を敷いて着替えて、昼の暖かい日差しの中先生を懐に昼寝。
うん、これも中々にいいな。
気持ち良さそうな寝息。
先生の甘い匂い。カレー臭…は邪魔だけれど。
あ、ダメだ、俺も寝ちゃうなこれは。
ふっと意識が落ちて次に気づけば夜で。先生は懐にいない。
居間に出て行けば先生方がお茶を飲んでた。
「あぁ起きたの? お腹すいてないかい?」
「すいません、夕飯作るつもりだったんですけど」
「いいわよ、お昼作ってもらったもの」
「よく寝てたねぇ。律が呼んでも起きなかったって言ってたよ」
「晶さんは」
「お夕飯食べて帰ったわよ。はい、こんなものしかないけど」
「あ、いただきます」
軽く食事をいただいて食器を洗いに立ち、片付けて戻る。
「ねぇ、もう帰るの? 夜中?」
「どちらでも」
「明日きてくれる?」
ふっと笑ってしまった。なんか可愛い。
「これそうなら」
「来てね」
ふふっと先生も笑って。
「しごいてあげる」
うっ…。
「…来れないかも」
くすくすと先生が笑う。
遊ばれてるなぁ。
八重子先生は微笑んでこちらを見守っている。
先生に頭を撫でられた。
「月曜、来るならあなたのお稽古の時間だけでもいいわ。水屋しなくていいから」
「わかりました」
キスしたいな。無理だけど。
だから、帰ることにした。
「じゃそろそろ帰ります」
「どうして?」
八重子先生がいるのに言える訳がない。
苦笑しつつ玄関まで送っていただく。
八重子先生はついてこない。
「このままいたらあなたを抱きたくなるから」
耳元に囁いて掠めるようなキスをした。
ぽっと頬染めて可愛らしい。
「じゃ、また来ます」
「待ってるわ…」
別れて車を運転して帰宅。
結構しっかり寝たから食後でもそう眠気は来ない。
急ぐこともなし、ゆっくりと注意して運転して帰宅する。
さてと。
束の間だけれど寝るとしよう。
おやすみなさい。

拍手[1回]

315

テレビを見て八重子先生とお喋りしてゆったりとした日曜の朝。
10時半ごろそろそろ用意を、と八重子先生は部屋に着替えに行った。
先生はまだすやすやとおやすみだ。
髪が唇にかかっているのをちょいと除ける。
ふと人の気配に後ろを見たら晶ちゃんがいた。
「こんにちは、晶さん」
「あ、こんにちは。え、と律は…」
「部屋でレポート書いてるようだよ」
そうですかとそそくさと行ってしまった。
ぼんやりと先生のお顔を見ていると…耳掻きないかな。
朝あわてて出てきたからチェック忘れたんだろう。
きょろっとしたらピンセットを見つけた。
そぅっと掴んで取る。
見えてるところにはもうないね。
ルーテェ型のピンセットなら奥のほうまでやれるが。
ピンセットを片付け、紙に包んで懐へ。後で捨てよう。
「さて、行ってくるよ」
「いま晶さんいらっしゃいましたよ」
「晶が? ん、じゃ悪いけどお昼あの子の分も頼むよ」
「はい。行ってらっしゃい。お気をつけて」
お早うお帰り、とは流石にこちらの人には通じないのは慣れている。
八重子先生が外出した気配…車、ではないな、良かった。
やはり車を使われるのは不安だからね。
小一時間ほどそのまま膝に乗せて寝かしていたが流石に起きてきた。
「ん…何時?」
「そろそろ11時半ですかね」
「あぁ…お昼の用意しないと…」
「何食べたいですか、俺作りますよ」
気だるげな先生もいいなぁ、うん。
「ピラフ食べたいわ」
「具は何がいいですか」
「カレーピラフ食べたい…」
「あ、やっぱり。においに釣られましたね」
ご近所がカレーを仕込んでいるようでカレーの匂いがさっきからしている。
「カレー粉あるから。よろしくね」
「はいはい、じゃ付け合せはサラダとスープかな」
頭を軽くなでて台所へ。
ピラフと言うかチャーハンと言うかどっちでもいいんだけどカレー粉を捜索しよう。
見つからん。もしかしてルーか。ルーはあるな。
細かく具材を刻んで炒める。
同じく微塵にしたルーを入れて香ばしくなってきたらご飯投入。
炒める。やっぱりガスは良いなぁ。
というかこういう大きいフライパンをちゃんと手入れしてあるのが不思議だ。
八重子先生が振ってたのか? この重いフライパンを。
まずは4人前、横でコンソメでスープを。
冷蔵庫に4半玉残ってたキャベツを具にした。
春キャベツは美味しいし、色が綺麗だ。
芯に近い方は刻んでサラダに。
人参とピーマンも。
「何かお手伝いすることあります?」
晶ちゃんが台所に来た。
「あ、じゃあピラフお皿に取り分けてもらえるかな。孝弘さんの分作るから」
「おじさんさっきお昼要らないってどこか行かれましたよ」
えー…。みじん切りした具をどうしよう。
卵あったっけ?
3つ。オムレツ作ろう。うん。
鮭フレークもあったはず、冷凍庫を探して発見。
炒めて混ぜてオムレツにしてしまった。
サラダの1人前残ってるのは俺が食うか…。
とりあえず配膳するために居間に行くとまた寝息立ててる。
「先生、カレーピラフできましたよ。起きてください」
「んー…」
律君が部屋から出てきた。
「あれ、お母さんまた寝てるの?」
「昨日遅くまで飲ませてたから眠いんだよ」
ピラフもスープも配膳して整ったころやっと目が覚めたようだ。
「あぁよく寝た。あら晶ちゃん。いつきたの?」
「おばあちゃんが出て行く前だから10時半ごろじゃない?」
「あら、そうなの。いらっしゃい」
「あはは、お邪魔してます」
「律、お父さんは?」
「お昼要らないってどっかいった」
「ということでオムレツに化けました。サラダ食っちゃっていいですか?」
「それは食べなさい」
「あ、結構美味しい。ドライカレー?」
「うーん、どうなんだろ。チャーハンとピラフの違いがよくわからないから」
そんな会話をしつつ食べ終わって洗い物に立つ。

拍手[1回]