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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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384

翌朝。
先生からメールが来ていた。
今日は先生はお出かけするらしい。
うちに来ても八重子先生しかいない、と書いて寄越した。
誰と?とメールを返して出勤。
仕事は少し荷物が動いてやや忙しくメールが返ってきてるのにに気づくのが遅れた。
お茶仲間の女性とのこと。
んん、ならいいか。
楽しんできて、とメールを返して仕事仕事。
仕事を終え帰宅途次。
先生から相手の方と撮った写メが来た。
良い人が出来たのか、と責めたからかな…。
その後は特段メールも来ず夕方までジムへ行ったり夕飯の買出しに出たり。
家で野菜炒めを作って食い始めると電話がかかってきた。
ご飯食べた?と聞かれていま食ってるというと残念そうな声だ。
「お友達と食べに行かないんですか」
『だってあちらも家庭あるもの』
「いまどこです?」
『代々木よ』
「んー…和食?」
『どちらでも良いわよ』
「電話返します、一旦切らせてください」
『はーい』
電話を切っていくつか心当たりにかける。
予約が取れた。和食。
先生に掛けなおしてどこかそのあたりの喫茶店で待っててもらうことにした。
二口食べた炒め物は冷蔵庫へ戻して、着替えて身なりを整えた。
急いで向かう。
到着すると先生はついでに買物をしたと言う。
「待たせちゃいましたね、すいません」
「いいわよ、急に呼んだんだもの」
「こっちです」
先導して連れて行く。
「予約した山沢です」
「いらっしゃいませ。どうぞこちらです」
ご予約のお二人様、と通されて食事にありつく。
ああ腹減った。
食前に梅酒をいただいた。
「あら、おいしい」
にこっと先生が笑ってつい見とれる。
次々と運ばれる料理に先生は嬉しそうだ。
飯食いに連れて行くの、これだから好きなんだよな。
おいしくいただいて、先生にちょっとだけお酒も飲ませて。
店を出た。
駅まで歩く。
「ねぇ…帰りたくないわ」
「お稽古がなかったらね、明日。帰さないって言うんだけど。八重子先生に叱られる」
「すぐそう言うのね。私よりお母さんに叱られる方が嫌なの?」
きゅ、とつねられた。
「わかってる癖に。あなたが叱られるのがいやなんですよ、俺はね」
「そんなのでお母さんは叱らないわよ…」
「ほんっと甘やかされてますよね。まぁでもね、明日も会えますから我慢してください」
「しょうがないわねぇ」
先生がやっと諦めてくれて別れた。
電車に揺られて帰宅する。
可愛いよなぁ、帰りたくないなんて。
帰宅後暫くして先生から帰着メールを貰った。
おやすみ、と返事をして寝る。

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383

朝が来て起床。
出勤。
仕事を適当に終わらせお稽古へ。
到着して居間に顔を出す。
「いらっしゃい」
「こんにちは」
「ちょっとこっち座って」
「はい?」
どうやら八重子先生に夏の間のお泊りについて話してたらしい。
「昨日ほら、虫の話したでしょ。そういえば前にもそういう話してたわよね」
「あ、やっぱり俺してましたよね」
「何か聞いたような気はしてたのよ。それでね」
暫く対策を話して、7月からあちらの家に泊まるかこっちにクーラーか考えることに。
先生はクーラー設置に乗り気だ。
まぁ確かにわざわざと言うのは気術ないのはわかる。
だけどそろそろお稽古の支度をしないといけない。
話の途中だが後の話しは夜と言うことで水屋へ。
用意中に生徒さんの声、先生もあわてて出てきた。
高速で用意する。
うまく先生が場を繋いでくれて間に合った。
後はいつものように生徒さんのお稽古の間に次の生徒さんの用意をする。
何人かのお稽古が終って一息。
「さてと。あんたのお稽古ね…んー、お台子しましょうか。最近してなかったわよね」
「はい。じゃ用意します」
時間に余裕もあるのでセッティングしてお稽古開始。
あれ? 今日はそんなに厳しくない。
こりゃ俺の機嫌を見てるかな。
それなりに手を抜いてもらってお稽古終了。お片付け。
ご飯をいただく。
食事もそこそこに先生が広告を持ってきた。
エアコン、どれが良いかしら、と。
「日曜に電気屋行きましょうよ。現物見たくないですか?」
「ん、そうねえ」
「エアコンつけるの?」
「山沢さん、虫が嫌いなんですってよ」
「蚊帳吊らないの?」
「吊っても虫の気配あるじゃないか。いやなんだよね…」
「へぇ、意外だな」
「あっちの家にっていったら先生がわざわざ行くの嫌だって言うんでね」
「一人で寝るのもいやで虫もいやなんてワガママよねえ」
ほほほ、と笑ってる。
「と言うことで折衷案でね。クーラーつけさせてもらうことにしたんだ」
「障子あけたら十分涼しいのに、夜」
「こればっかりは仕方ないわねぇ」
話を纏めて日曜に家電量販店へ下見することに決めた。
帰宅、部屋が暑い。
クーラーを入れてよく冷えるまで置いて止めた。
おやすみなさい。

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382

風呂から上がってすぐにトイレへ。
始末をして床に寝転んだ。
「浴衣着なさいって言ってるでしょ」
「暑い…」
「冷えたら痛くなるわよ」
「抱いたらあったまる」
「バカなこと言ってないで早く着なさいよ」
そう言われつつも暫く転がってると先生が干し終わった。
「ん、冷えてきた。おいで」
苦笑してる。やっぱり朝だから嫌っぽい。
「それよりお昼のお買物行かない? 今のうちなら暑くないし」
紫外線か。
諦めてむくりと起き、着替えた。
ほっとした顔をしている。
「何食べたいんです?」
「なにしようかしらねぇ」
「晩飯、あなたが煮物作ってくれるなら昼はハンバーガーでも良いんだけどな」
「そんなのでいいの?」
「うん。どこ行きます?」
「作るわよ。外でなんて食べられないでしょ、こぼしちゃうわよ」
「買ってきてうちで食べれば良いじゃないですか」
「冷めちゃうじゃない」
「強情だな」
「そんなこと…」
「買物、行ってくる」
いらっとしてしまった。ちょっと冷まさなきゃいけない。
先生を置いて雨の中スーパーへ行く。
バンズ用パンと玉葱、トマト、牛ひき肉。チーズ。マッシュルーム。レタスにポテト。
それから夕飯の材料。
先生も腹を立てていたら帰っちまってるかもしれないから日持ちするものを。
買い終えて帰宅する。
あ、帰ってはいないようだ。
「おかえりなさい…ごめんね」
抱きついてくる。
しかし両手に物を持ってるからどうすることも出来ないでいると気づいてくれた。
慌てて荷物を一つ受け取って台所へ。
冷蔵庫にすべて食材を仕舞い終えてから先生にキスした。
「ごめん。いらいらしてた」
「ん…」
「お昼、作る? それとも」
先生が自分から脱ぎ始めた。
いや俺が作ろうか、と続けるつもりだったんだが。
まぁでも思い切りが出来ないと脱げないだろうからここで止めるのは恥をかかせるかな。
でも台所では先生とて本意ではなかろう。
せめてベッドに連れて行くことにして。
先生は肌襦袢に手を掛けて少し止まった。
いまかな。
その手を掴んでベッドへいざなう。
恥ずかしげにしていて可愛い。
思わず抱え上げてしまった。
ベッドに下ろしてキス。
追い詰めないように優しく、優しく抱いた。
少し落ち着いてお昼を作る気になった。
先生をそのままに台所をする。
買ってきた玉葱とマッシュルームをいため、挽肉は焼き、チーズを載せた。
ポテトはオーブンの中だ。
バンズも焼いてそろそろ先生を呼ぼう。
と思ってたら出てきた。
「良い匂い。おなかすいてたみたいだわ」
「もう出来ますよ。一つでいいのかな。二つ?」
「一つで良いわ」
ポテトもそろそろ良さそうだ。
塩を振って温かいハンバーガーとともに出す。
「どうぞ」
「おいしそうね」
俺のは更に朝の残りのベーコンも足した。
「こんなの久しぶりに食べるわねえ」
「でしょうね」
二人でぱくぱくと食べる。
「うっ…塩噛んだ」
ポテトの振った塩がだまになってた。くそう、しょっぱい。
先生がくすくす笑ってる。
食べ終わって一服。
先生を懐に抱いてお座部枕。
「ねぇ久さん。さっきのえっち…」
「んー?」
「優しくて驚いちゃったわ。酷いことされるんじゃないかしらって思ってたから」
「あぁ。だからされたくなさそうだったのかな」
「そうなの。怖くて」
苦笑する。
「そうしたかったけどね。怖がってるような感じだったから。無理だろうと」
緩くなでる。
あふ、と先生があくびをした。
「ご飯食べたら眠くなっちゃったわ」
「一緒に寝ましょうか。4時くらいに起きたら良いんだから」
「そうね」
そのまま寝ようとしたら叱られた。
ベッドに入るのね、了解。
トイレに行ってから潜り込む。
だけどなぁ、ベッドだとしたくなっちゃうんだよね、色々と。
ま、眠いようだし我慢して俺も一旦寝るとしよう。
寝ていると先生に蹴られて目が覚めた。
暑かったようで布団と一緒に俺を蹴飛ばしたのかな。
クーラーをつけて時計を見る。
そろそろ起きてご飯の支度をしようか。
下拵えをして少しテレビを見た。
かすかに音うるさいと聞こえた気がして音量を下げた。
先生の寝息が聞こえる。
さてこのまま寝かせるか飯の時には起こすべきか。
寝息がやんだ。
キシッと音がして起きたようだ。
そのまま俺にもたれかかる。
「何で一緒に寝てくれないの…」
「いやそろそろ飯の支度をと」
「もうそんな時間…?」
テレビが丁度良いタイミングでニュースに切り替わった。
5時半のニュース。
「もうちょっと、だめ?」
「布団だとそのまま朝まで寝ちゃうんじゃないかな」
「ここでいいわよ」
「最近本当に甘えただなぁ。どうした?」
「甘えたいんだもの…」
なんか理由になってない気がするがなでていたら寝てしまった。
しょうがないなぁ。
懐に抱いたままテレビを眺める。
ニュース、エンタメ、スポーツとニュース番組が終わり、チャンネルを変えた。
1時間半。
夕飯どうしよう。
腹減ってきたなぁ…。
と思ったら先生もやっと目が覚めたようだ。
「ん、よく寝たわぁ…あらぁ? どうしてここで寝てるの?」
「あー覚えてませんか。いいですけどね。腹減った…」
「あら」
くーぅ、と先生のおなかも鳴った。
「下拵えはしたんですけどね、後は味付けだけ」
「はいはい、じゃそれはするから食卓片付けて頂戴」
よっこらしょと起きて先生は台所を。
10分ほどで配膳となった。
「おいしいわねぇ」
「うまいです」
食事を取って、暫くして先生が着替え始めた。
帰る準備だ。
「帰したくないなぁ。このままうちにいて欲しい気分です」
「私だって…そういうわけにいかないでしょ、明日お稽古だもの」
「そうなんですよねえ」
なんだかんだてきぱきと着替えて。
さっさと帰っていかれた。
さびしいなあ。
明日お稽古ちゃんと行こう…。
こういう日は寝が足りてようと寝るべきだ。
おやすみなさい。

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381

翌朝起きてトイレへ行き、また布団に戻る。
まだ気持ち良さそうに寝ている。
朝は涼しくて心地よい。
起こすのは忍びない、と眺めていたのに起きてしまった。
あふ、とあくび。
「何時?」
枕もとの時計を見る。
「7時半ですね」
「あらいけない、朝御飯作らなくっちゃ」
「腹減ってないならもっと後で良いよ」
「それからじゃご飯炊けないわよ」
ぽんぽん、と腕を叩かれてあきらめて開放した。
もうちょっと抱いてたかったなぁ。
先生がトイレへ行って身づくろいしている間にご飯を炊く。
暫くして台所に来たので交代して洗面所を使う。
あれ? 朝飯になるようなもん冷蔵庫にないんだけどな。
ベーコン焼く匂いがする。
台所に戻るとほうれん草をいためているところだった。
「あ。昨日買物してからうちに来た?」
「そうよ、朝御飯作るつもりだったもの」
人参もいためてたようだ。
「トマト切って頂戴」
「はい」
…これは桃太郎ゴールド?
珍しいものを買ってきたんだなぁ。
「スライスにします?」
「何でも良いわよ」
赤いトマトも有った。
同じサイズ。
スライスして交互に盛り付けようか。
そうしよう。
夏用の皿に盛り付けて涼しげにしてみた。
小細工をしてるうちに出来た様で、洗い物もお願いーと菜箸などを渡された。
早炊きモードだがまだ少しかかりそうだ。
先生がお味噌汁を作る。
具は麩。
「あ、そうだ。これからずっと俺が泊まるときあっちの家で寝てくれません?」
「どうして?」
「前も言いましたが虫が苦手で。あちらは入ってこないから」
「でも…」
「一人で寝るのは嫌です。律君にも私から言いますから。
 なんだったら八重子先生と一緒に寝てもいいです」
「そんなに苦手なの?」
「虫が身近じゃなかったからでしょうかね」
「酷く暑い時はお母さんと寝て欲しいわ」
「うん?」
「お母さんも年だから…寝不足って言ってるときあったのよね、去年」
「ああ、そういうことですか。布団一組増やしましょう」
上は肌掛とタオルケットで良いだろう。
押入れはまだ余裕あったし入る入る。
あ、飯が炊けた。
「お味噌汁注いで頂戴」
先生がご飯をひっくり返して蒸らしにかかろうとする。
「先生、それ蒸らしもできてるやつですから」
「あ、そうだったわね、つい」
ワンプレートにオムレツ、ベーコン、人参とほうれん草を盛り付けて食卓へ。
パンとスープではなく、ご飯とお味噌汁。
「いただきます」
一人でだったらこんな朝御飯は絶対に作らん。
等量に盛り付けたのだが、先生がベーコン一枚こっちにくれた。
食べ終わって洗い物を終えると洗面所から先生が呼ぶ。
「脱いで頂戴」
「へ?」
「洗うから」
「あぁ…何かと思った」
脱がされてついでだから風呂入れといわれてシャワーを浴びる。

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380 火曜日

翌朝、少し辛いまま仕事をして疲れて帰る。
明日は休みだからなんとかなるだろう。
すぐに布団に入った。身体が冷えている。
そういえば昨日もメールはなかったな。
明日、問い詰めようか。他に良い人でも出来たのかもしれない。
ぼんやりと考えているうちに眠気が下りてきた。
そのまま寝る。
寝汗が酷く、自分の声で目が覚めた。
「大丈夫?」
「うぅ…う? …なんで、お稽古は?」
「もう7時半よ?」
「いやそれより何で来たんですか」
「お母さんがお夕飯差し入れたらって言うから」
「あー…」
「食べるでしょ?」
とりあえず起きてトイレに立ち、食卓についてご飯を食べる。
「掃除したのね」
「ええ、昨日」
黙々と食べ終わって、食器を台所へ返す。
「洗い物はしてあげるから布団入ってなさい」
ベッドに入らされた。
暫くして先生が着替えて布団に入ってきたからキスをする。
「ダメよ」
「どうして。他に良い人でも出来たのか」
先生を下にして押さえ込む。
「え、ちょっと、何でそういうこと言うのよ」
「この間からずっとさせてくれないじゃないか。したくないわけが有るんだろ」
「えっ…、痛っ、ちょっと、ね、離して…怖い…」
睨め付ける。
「言えよ、理由あるんなら」
目を伏せて黙る。
「早く。言わないならケツにぶち込む」
「待って、それだけは…。お願い…」
「じゃあ言え」
「…暑くて」
「クーラーつける」
起きてクーラーつけた。24度に設定した。
「で?これだけか?」
「先週の頭は疲れてただけなのよ…。
 ここ数日は暑いから…したくなくなっちゃっただけで」
他意はなかったらしい。なんなんだよ。
「それならそれで暑いから嫌だとはっきり言やぁいいのに」
「だってあっちの家でってことになるでしょ、恥ずかしくて」
「今更。うちに来るのもあちらも変わらんでしょう」
「あなたの家ならご飯食べたりお出かけしたりもするじゃない。
 あっちはその…えっちのためだけだから…」
息をついた。
「あなたの家の俺の部屋、クーラーつけますよ? いいですね?」
「は、はい」
ひんやりした空気に包まれだして先生が身を添わせてきた。
「あの…する?」
「したくないなら今日はもう良い、寝なさい」
「ごめんなさい」
トイレへ行って布団に潜り込む。
クーラーの温度設定が28度に戻っていた。
「あなた、寒いと思って」
「抱いてればあったかいから平気。それよりキスくらいはいいでしょう?」
「したくなっちゃうからだめ…」
「なったらクーラー強めて抱かれたらいい」
そっと唇をなでる。
それだけで体温が上がったようだ。
どきどきしてるようだが、困った顔もしているのでそのまま懐に抱きこんだ。
「寝ましょう」
「いいの?」
「今日のところは。明日、クーラー効かせてしましょうね」
先生から軽くキスしてきた。
「あの、あまり酷くしないでね…」
「さぁね。寝るよ」
電気を消した。
いらいらしたままではあるものの、先生の体臭が心を穏やかにする。
腕を掴む先生の手が緩んできた。
暫くして寝息。
暗いとすぐ寝れるのはうらやましい。
おやすみなさい。

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