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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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164

すぐに先生自宅から電話、これは八重子先生だな。
電話を取る。
「あんた今どこにいるんだい?絹が行ったけどいないって掛けてきたよ」
「京都です、京都の自宅」
「いったい何があったんだい?
 何もされてないって言うけど、またなんか失言したんだろ、絹が」
「うー…恋人っていったら恋人じゃないって言外におっしゃったんで…拗ねました」
電話の向こうに聞こえる溜息。
「土曜は来る?そのときにちゃんと話ししなさい。律はどこか他所に泊めるから」
「はい、おねがいします」
「あ、それと体重計、きたよ」
「ああ、あれ、骨量も量れますから良いですよ」
「それから絹に帯買ってやったんだって?喜んでたよ」
「あー、はい」
「その意味、あの子わかってなかったようだね。高かっただろ」
「まぁ、そういう話には疎いでしょうから気にはしてません。
 それに高くはないです、お茶用の帯でしたし。
 礼装のほうは流石に龍村、いいお値段してましたが」
いいなぁと思ったら30万とかね。普通にしてたな。
「その上ブラとショーツもだろ」
「ははは…」
「サイズ丁度だったみたいだよ」
「そりゃ良かったです」
「ま、とにかく。土曜日来なさい。初釜の話もあるから」
「はい」
電話を終って、空腹に気づいて飯を食いに出る。
居酒屋に入り飲んでいると先生からメール。
電話は出ないとわかったのだろう、こちらのほうが伝えられると踏んでか。
恋人というよりは身内のような気がして、と言うことのようだ。
余計になんだかなぁと言う気がして、困る。
「おい、山沢じゃねえ?久しぶりー、どうしとるん?」
「あ?なんだお前か。ずっと東京で仕事だよ。今日は家に風通しに来ただけだ」
「そうか、お前恋人とか出来たかぁ?」
「んー恋人と思ってるヤツから恋人じゃなく身内のような、と言われたところだ、今」
「なんだそれ、ひっでぇ」
「だろ。参るよ」
「つーかお前めっちゃ標準語になってんぞ」
「しょうがねぇだろ」
「わかった、東京に恋人が居るんやろー」
「ま、そういうこと。一昨日、龍村の帯買ってやった程度の仲のな」
「マジか。それで身内って言われたんか。なぁ笑って良いか?」
「もー笑え笑え、バカだろ俺。安い手だけどよー」
酒をついでやって。
「でもなあ、相手の親はなあ、帯買ってやった意味とかわかってくれてんだよな」
「えっお前相手の親公認なのか?」
「多分旦那も知ってると思う。息子は知らないとは思うけど。怪しんでるとは思うが」
「相手、息子おるんか…相手いくつよ」
「多分43じゃねえかな」
「お前それ年上すぎね?」
「一回りも離れてねえよ」
「どんな人よ?お前のことだから和の女だろ」
「まぁな、茶の先生だ。普段から着物でな。お花も着付けも教えてる」
「パーフェクトだな、お前の理想のドストライクか」
「だなぁ」
「どうやって落としたんだ?」
夏からの件を大雑把に話す。
「やるなぁ、お前。つーかこっち来てたんなら言えよ」
「なんで楽しい恋人との旅行にお前呼ぶんだよ」
ゲラゲラと笑って酒を飲む。
「俺これから雄琴行くけどお前も一緒に行かんかー?」
「ばばあ抱いてもしょうがねえだろ、おりゃ帰って寝る」
「恋人に操立てか~?はっちゃけちまえよ」
「うるせー」
そして別れて帰宅、そのまま熟睡。

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163

仕事を終え、食事を取る。
少し飲酒。
夕方、携帯にメール。
先生からか。
昨日あの別れ方をしたのに来いというのか。
少し悩んで、どうせ行かなきゃ突撃されるだけかと思い、行く旨返事する。
着替えて移動。
玄関を開けて声を掛けると律君。
ありゃ?
「あら早かったねえ」
うわっ後ろから八重子先生に肩を叩かれた。
先着してしまったようだ。
「あ、ええと、こんばんは」
上がって着替えを手伝う。
「で、絹先生。お呼びいただいた御用はなんでしょう」
「特に用はないわよ」
「は? 用はない? じゃ帰らせていただきます」
「用がなきゃうちに来てくれないの?」
「あんたら何やってんだい。山沢さんも意地を張らない!」
う…。
「ですが。用もないのに来るなんておかしいでしょう。
 律君だって違和感を感じてますよ。他のお弟子さんにだってどう思われるか」
「それはそうだけど…」
「初釜がどういうものか教えるために呼んだってことでどうだい?」
「…律君へはそういうことで結構です」
「絹。あんたまた何か山沢さんにしたのかい?」
「されてません。特に御用もないようなのでこれで失礼します」
「だからっ」
振り切って先生のお宅を出た。
携帯がなるのを無視しているとメールが入る。
それも無視して。
ふと京都に戻りたくなった。
その足で新幹線に乗り。京都へ。
久々に我が家の鍵を開けて風を通しストーブのスイッチを入れた。
移動に疲れ、うつらうつらとする。
先生より更にメール。
どこにいるの、と。やはり家に突撃されたか。
あなたの知らないところ とだけ返した。
時計を見る。まだ終電はあるだろう。
なければないでうちの鍵を持っているのだから勝手に泊まればいいさ。

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162

なんで、こう、うまく噛み合わないんだ。
とりあえず着替えよう。時計を見る。電車、ラッシュタイムか。
車で行くか。となれば洋服がいい。
服を着て待つ。
あ、出てきた。なんだ、髪も洗ったのか。
ドライヤーしなきゃいかんわけで少し出るのが遅くなるな。
手持ち無沙汰で、ベランダに出て煙草を吸った。
帰さなくて良ければ…いいのに。
少し落ち込んでいると先生が着替え終わったようだ。
吸殻を濡らして始末し、手を洗って口をすすぐ。
さてと、気を入れ替えて運転するか。
先生に車に乗るよう言うと、どうして?と聞かれた。
「この時間帯ラッシュでしょう、電車。痴漢されたらどうします」
「こんなおばさんされないわよ」
「されます。おばさんでもない。いいから早く乗りなさい」
助手席に乗り込もうとする。
「そっちじゃない、後ろ。運転席の後ろに乗って。シートベルトもして」
「後ろだったらいいんじゃないの?」
「以前事故のときあなたしてないからあんな怪我したんですよ」
乗せて走り出す。
1時間半ほどだろう。安全運転を心がけて。
「ねえ…明日の晩、来てくれる?」
「お稽古はしないんでしょう? 行かないほうがいいんじゃないかな」
「どうして?」
「一応、私が泊まるのはお稽古があるからとなってますよね。外聞に悪い」
「駄目なの?」
「やめときなさい」
「でも…」
「土曜は寄せていただきますよ。初釜の用意のお手伝いと言う名目でね」
車内の空気はよろしくないまま車はすいすいと流れて先生のお宅へ。
「上がっていって…ねえ」
「いやこのまま帰ります。明日。夜にメールください」
「…わかったわ。じゃあ…気をつけてね」
「ええ、また。会いに来ますよ」
別れて車を飛ばす。
少し前の車を煽ったり、追越をしたりして1時間で帰宅。
疲れた。
すぐさま寝巻きに着替えて寝た。
朝、起きて自己嫌悪。
せめて週末までには立て直して、電話なりメールなりで関係修復したいものだ。
そう思いつつ仕事をこなす。
とりあえず俺がやるべきことはちゃんと仕事することだ。

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161

「なにかねえ、食べられるような気がするわ」
「食欲、確かに近いかもしれませんね」
そういいつつ撫でまわす。
うう、先生の素肌気持ち良い。
「かさぶたを…」
「ん?どうしました?」
「無理やりめくられるような気分がするの」
うん?どういうことだ?
聞いてみると私の手の内に居るといつもは封じている女の部分を
無理やり解放させられるような、そんな何か怖い気分がするらしい。
「孝弘さんは…ああなってからは一度も?」
「ええ。お医者様にも相談したのよ」
「…したいのに勃たないと?」
「ばか、そんなこと言ってないわよ…もう一人律の下に欲しいって相談したの」
「人工授精とか言われませんでした?」
「うん、それしかないって」
「まぁ…お尻の中に指突っ込んで刺激してなんてあなたじゃ無理でしょうし」
「なんなの、それ」
「男性を無理やり勃起させたり射精させたりする方法」
「知ってても出来なかったと思うわ、それは」
「今でも無理でしょ(笑)」
「無理よ」
「ですよね」
「だから…ずっと、だったのよ。あなたがするまでは」
「だったらあなたのその女の部分、俺にもっと見せて。嫉妬も、性欲もすべて」
「性欲だなんて」
「あるでしょう?
 孝弘さんや私にして欲しいと思ったこと、一度もないわけじゃないでしょう?」
「そうね…」
「だから全部俺に下さい。あなたの思い。したくなったらしたいって言ってください」
「そんなの。いえないわ」
「言うのは淫乱だとか思ってますか?」
軽くうなづいた。
「だれかれなしに、なんてのは淫乱でしょうが俺に言う分には違います。
 恋人としたくなるのは当たり前のことです」
「そう?恋人…ねえ」
「恋人じゃないんですか、俺」
そういえば好きとか言ってくれない。
「はいはい、あなた一番は孝弘さんですもんね。愛人でいいです」
「あ、違うのよ、そうじゃなくて」
「愛人でも何でも俺と孝弘さんになら求めても淫乱なんかじゃないです。いいですね」
それ以上の会話を封じるように強く激しくして。
終ったころには涙目になっていた。
「今日はこの辺にしてあげます。帰らないといけないでしょう?」
「いやよ、帰らない」
「なぜです?帰りなさい。帰らなきゃいけないでしょう、あなたは」
「いや」
「わがままはいけません」
「わがまま、聞いてくれないの?」
「きけません」
「どうして?」
「明日初釜でしょう、朝から。欠席できないんでしょ?」
「あ…」
「まさか忘れてたんですか…送ってあげますから、ほら、シャワー浴びてきなさい」
慌ててシャワーを浴びに行く先生を見て溜息。

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160

いつもの時間に目が覚めて身づくろいをする。
先生を揺り起こし、寝ぼけている耳に行ってきます、と言う。
正月ボケした頭で仕事を済まし帰宅するとお昼ご飯の用意をしていた。
手を止めてお帰りなさい、とキスされた。
ただいま、と手を洗って着替える。
洗濯物は干されていて先生の機嫌もそれなりに良いようだ。
食卓についてご飯をいただく。
うう、久しぶりに青物が。
おいしい。
やっぱなー正月連休は青物に飢える!
大変おいしゅうございました。
「どうしますー?体重計買いに行きます? こっから近いと言えば新橋ですが」
「そうね。どんなのか見たいわねえ」
んじゃ行きましょ行きましょ。
うちから出てバスに乗って新橋駅へ。降りてすぐの量販店。
いくつか見て、表示の大きいものをセレクト。
いちいち眼鏡は面倒だ、八重子先生が。
購入して先生のお宅へ送ってもらう。
さて今晩、先生はお返しせねばなるまい。
初釜の準備があるからね。
まずは帰宅して先生にどうして欲しいか聞いた。
「どうって…」
「激しくが良いか優しくが良いか酷くが良いか、さぁどうします?」
「優しくが良いの、わかってて聞いてるわよね?」
「まぁわかってますけどね」
一応ね。
「で、激しいのよね?」
「怖いんですか?」
「わかっててしないで頂戴」
「無理ですね」
「じゃ聞く意味ないでしょ」
「ありますよ。あなたとこういう会話するの好きなんです」
「意地悪ね」
拗ねる先生にキスをすると頬を染める。
「あまり意地悪するとさせてあげないわよ?」
「それは困ったな。じゃあ意地悪はなしで優しくして差し上げましょう」
くすくすと笑ってベッドルームに行ってくれる。
そのままベッドに押し倒してキスをすると皺になっちゃうわ、と言う。
「んーでも着たまましてみたいな」
「だめよ」
押し返されて、脱いでいただいた。
「なに見てるのよ、あなたも脱ぎなさい」
「あ、はい」
慌てて脱いで、裸になった先生の側に寄り胸元を舐めた。
「なんでそう落ち着きがないの…」
「すいません、つい。おいしそうで」
あ、先生の体が温かくなってる。
「そういうところ可愛いわよ」
うーむ、格好良くありたいのだがどうしても先生の体を前にするといかん。

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