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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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184

「で、おばあちゃんに何か用だったの?」
「そうだけど…二人とも今寝たところなの?」
「ええ、つい先ほど。お言付があるなら承りますが」
「…税金のことだから他人様に言付けするのもね。かといって律じゃわからないでしょ」
「あ~…それはたしかに」
「いいわ、日を改めるから」
「食事どうされます?今から作ろうと思ってますが」
「開の分作らなきゃいけないから帰るわよ」
「そうですか、お気をつけて」
送り出して、台所へ行く前に聞かねば。
「律君は食べるね? お父さんはどうか聞いてきてくれないかな」
「あ、はい」
さてと何作るべきか。
とりあえず鍋に昆布入れておこう。
棚の上で使われず袋に入ったままになっていた昆布だ。
先日使ったけどどうも10年は放置されてたらしい。
冷蔵庫と冷凍庫を確認。あ、味噌漬けが底の方にたまってた。
メインこいつだな、決定。
大根がある。風呂吹きにしてしまうか。
あ、エリンギがあるじゃないか。
ピーマンもある。
炒めてしまえ。
味噌汁味噌汁何の具材にしよう。
生麩は不評だったな。
あ、こないだのサトイモ残ってた。
こいつで作ろう。
「山沢さん、父も食べるといってます」
「ああ、律君。ありがとう。エリンギとかピーマンとかサトイモは嫌いかな?」
「いや嫌いじゃないです」
「はい、じゃ出来たら呼ぶから。そのときに先生方起きてるか見てきてくれるかな」
「あ、はい」
まずは冷蔵庫に赤味噌は…なし、ゆずもなし。ゴマはある。
ただのみそ餡とごまみそにするか。
米をかさねば。
とぎ汁で大根を炊くから。
7合をといで、炊飯器にセットする。
そして大根を輪切りにして皮をむいて面取り。
とぎ汁で強火にしてふつふつとしてきた頃、弱火にして放置。
その間にゴマ味噌を作る。
サトイモも湯がいて皮をとっておいた。
炒め物の準備をしておくだけして、味噌漬けを焼く。
弱火の遠火さえ守ればいいんだ。
大根がほぼ煮えたようなので火を止めて大根をさっと濯ぎ、
昆布を入れてた鍋に並べる。隙間にサトイモ。
弱火で30分くらいでいいだろう。
あ、白味噌がまだ有ったな。あれでも味噌餡作っておこう。
やはりてきぱきとは言い難く、試行錯誤しつつ晩御飯をこしらえた。
鍋から大根だけ取り出し、残るサトイモのところに味噌をとくと味噌汁になる。
火を止めていったん放置してご飯が炊けるのを待つ。
炊けたら炒め物して味噌汁を温めようか。

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183

明日は初釜か。
先生たちの行かれる家元初釜は17日あたりだろうか。
煙草が吸いたくなって、煙草を置いてきたことを思い出す。
とりあえず夕飯の用意をするか。
…何食おう。
コンビニ行くか。
近くのコンビニでから揚げ弁当を買ってついでにバージニアの小さい箱を買う。
1本か2本しかどうせ吸わないからこれがいい。
水色の箱。
帰宅して、吸いつつ食う。
あー、たしかに女が好きそう。この煙草。
明日会社においてこよう。誰か吸ってくれるに違いない。うん。好かん。
眠くなったので寝てしまえ。
翌朝、出勤。
社員もお客もまったく仕事をする気と言うものもなく。
ただ初釜に噛んでいる料理屋のみ忙しそうにしている。
普段どおりに仕事を終えて、シャワーを浴びる。
着替えて先生のお宅へ。
到着。
荷物を置き直接水屋に入る。
先生の指示に従い動き、席入りの用意を手伝った。
朝の水屋の方々は凄く大変だろうといつも思う。
ベテランの方が多く、教えていただくことが沢山ある。
水屋見舞いに、と持ってきた鉄火巻を置いておく。
これはいつの間にか毎年消えてしまう。
誰が食べてるかは知らない。
しばらくして濃茶の点て出しをするが、私は茶碗に抹茶を仕込む係り。
4人分ずつ、掬い入れ隣の方がお湯を入れ、各人練る。
その間に後炭の用意を整え、先生、平田さんと確認する。
飲み終わられたお茶碗を回収し、後炭。
水屋ではお干菓子や薄茶の用意に取り掛かる。
今年のお干菓子も可愛らしくほほえましい。
干菓子が回される間に茶碗に薄茶の分量を点々と仕込む。
濃茶と違ってこれは人数分茶碗があるが、うち数碗はお点前される方が点てられる。
お薄を立てて、順次出して、返ってくる茶碗を洗って拭いて洗って拭いて。
あ、誰だ油性の口紅。
後回しね、これ。
拝見がそろそろ終りそうだ。
先生のご挨拶があり、生徒さんが帰って行かれた。
水屋に先生方が戻ってこられて。
「お疲れ様でしたね、みなさんこちらへ」
と水屋のものを茶室に。
先生から濃茶を一服点てていただいた。
美味しいなぁ。
その後、先生からのお礼とお干菓子を頂き散会。
私は居残って後始末を手伝う。
「山沢さん。お薄点ててくれないー?」
「いいですよ、八重子先生はどうです?」
「ああ、私も貰おうかね」
水屋で炉から下ろして来た釜からお湯を取って点てる。
自分の分もで3つ。
「あぁおいしいわねぇ」
お釜のお湯を抜いて、炉にかけて乾かし、その間に茶碗を濯ぐ。
先生にこの口紅べったりはどうするかと聞けばリムーバーで落としているとのこと。
いつもこうだからこの方のはそういう扱いをするお茶碗らしい。
ふき取って普通にスポンジで中性洗剤で洗ってよい茶碗だそうだ。
なるほど、ちゃんと読んでるんだ。
茶室も片付けて茶碗も仕舞い、居間で落ち着く。
先生もすっかりお疲れだ。
余った花びら餅をいただいているうち、肩に重みが。
昨日は寝られなかったのかな。
八重子先生もうとうとしている。
「お二人とも、着替えて寝てこられたらどうです?晩飯は適当に俺やりますよ?」
はたと起きられて、そうする、と着物を脱いで。
「着物、衣桁にかけときますからもうそのままでどうぞ」
といえば二人ともに寝巻きに着替えて部屋へ戻られた。
着物や帯を掛けて紐類を片付けていると、来客。
玄関に行くと環さん。
「あら、山沢さん?お母さんは?」
「疲れて寝ておいでですよ」
「じゃあ絹」
「同じく寝ておいでです」
「お客さんほっといて…?」
「ははは、どうぞ」
居間にお通ししてお茶を出す。
まだちょっと残っているので片付けていると、胡乱な視線。
玄関のほうからただいまーと律君の声。
「あれ?おばさんきてたの?」
「今来たのよ。なんであの二人はお客さんほっといて寝てるの?」
「ああ、山沢さん?」
「こんばんは、律君。お疲れでね」
「二人とも昨日あまり寝れなかったって朝言ってたからそれでじゃないの?」
「だからってお客様ほっといて」
「山沢さんはいつもこんなカンジだよ、ご飯作ってくれたり」
「まぁまぁ、好きでやってるので気になさらず」

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182

「ね、俺とするの、いやですか?」
「いやじゃないわよ…兄さんに聞こえたら困るって言ってるのに」
「聞こえないようになら良いの?」
頬を染める。
「恥ずかしいから今日はよして。お願い」
「仕方ないな。今日だけですからね。明々日はしますよ?」
「抱き締めるだけじゃ駄目なのね…」
「というかむしろ抱き締めてるとしたくなって困るというか」
「だったら別の布団」
「は嫌ですね。困るけど別の布団で寝るくらいなら我慢するほうがましです」
ぽふぽふと先生に布団をかぶせて抱き込む。
ぬくい。寒いときは人肌最高!
軽くキスして、おやすみなさいと言えばおやすみなさいと返って来る。
髪をなでればすぐに寝息。
いつも寝つきが良くてうらやましい。
俺はいつも先生の胸や尻を触りたくなって悩ましく寝つきが悪いから。
それでも良く寝て朝になり、朝御飯の支度をして食事をとる。
そろそろ帰ろうかと言う開さんを引き止めて、このあたりに部屋はないかと聞く。
ワンルームでいいから防音。
明日会社に戻ったら探しておいてくれるそうだ。
もしなかったら施工もありと言うことで近場の部屋もピックアップを頼んでおいた。
そのまま一緒に外出する。
このあたりの煙草屋に刻み煙草を求めて。
4,5件回るがどこにもなく、昼過ぎに戻るとお昼が用意されていた。
あーきつねそばだ。甘きつね。うまい。
昔きつねそばを頼んで刻みきつねが出てきて、困ったことがある。
「外寒かったでしょう? あったかい物がいいかと思って」
「ありがとうございます。また寒波とか言ってますよね」
「これからまだ寒い2月が待ってるかと思うとぞっとするね」
「確かにいやですね。仕事も昔から二八の月はお客さんが来なくて余計に寒いです」
「へぇ客商売はそういうんだねぇ」
「寒いと買い物行くの、嫌になるでしょう?暑いといやになるでしょう?」
「ああ、たしかにそうだねえ」
「明日はあったかいといいですねえ。
 皆さん寒い外に順応した格好なさるから暖房難しいですよね」
「炭の熱気もあるからねえ、今日はあったかいうちにお帰り」
「そうね、夜はもっと寒いわ。風邪引かないようにね」
「はい。名残惜しいですが早めに帰ることにします」
玄関に出る前にディープキスをして、では明日と別れた。
電車に乗って帰宅して、寒々しい部屋に暖房を入れる。
結局軽く一度しただけの連休だった。
また、うちにつれてこなきゃな。

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181

「ふぅん」
八重子先生が浴衣を出してきた。
「山沢さん、これ、開に持ってってやっとくれ。私ゃもう寝るよ」
「もう寝るの?」
「なんだか眠くてね」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
「じゃちょっと持って行ってきます」
「お願いね」
ひたひたと廊下を歩いて風呂場へ。
「開さん、これ浴衣です。八重子先生がお渡しするようにと」
カラリと開けて言うと飛びのかれた。
ここ置いときますね、と風呂場から出てすぐの籠の上に置き、戸を閉めて戻った。
「兄さんが出てきたら私たちも寝ましょうか」
「あ、じゃあ戸締り確認してきます」
勝手口、よし。玄関、よし。
庭側の戸締まりを調べて戻る。
開さんが浴衣を着ていて、寸が足りてない。
「へぇ、怜さんより少し大きいんですね、開さん」
「そうみたいね。山沢さん、男の人が入ってるお風呂の戸を開けちゃだめよ」
「吃驚したよ」
「ああ、失礼しました、つい。まぁ、おあいこと言うことで」
「……ああ、前そういえば見たっけ」
「さて、先生。寝ましょうか」
あ、そこで顔を赤くするなって。
「そ、そうね。おやすみなさい」
あーあ、自室帰っちゃった。
「邪魔してしまったかな」
苦笑。
「飲みますか?酒」
「あー、いや、いいよ。僕も寝るから。絹のところ行ってやって」
「すみません。ではお先に。おやすみなさい」
「おやすみ」
先生の部屋へすすみ、何も言わず襖を開けた。
ぎょっとする先生の腕を取り引き寄せる。
「俺の部屋、行きましょ」
「兄さん知ってるのに…恥ずかしいわ」
「知られてるのだから乱れればいい。聞かなかったことにしてくれますよ」
「いやよ…」
「それともこの部屋でしますか?俺はそれでも構いませんよ」
「いや…」
「部屋においで。聞こえない程度にしてあげるから」
首を振る。
ええい、面倒だ。抱き上げて俺の寝間まで連れて行く。
なじられつつも布団に下ろした。

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180

台所を片したら後は初釜の細かい打ち合わせだ。
明後日だからね、色々と用意がある。
細々と動いて話し合って。
俺は朝は来られないから。
電話。
律君からで友人宅に泊まるとか。
孝弘さんは離れかな。
何合炊くか変わるから後で確認しよう。
連休と言うのにゆったりとも出来ず、抜け落ちはないかなど確認して。
さぁそろそろ晩御飯を。
孝弘さんは…いない。
「先生、離れにおられませんよ」
「あらそう? どうしようかしら」
なんて会話をしていると電話があり、ご飯不要、どこかに泊まってくるとのこと。
「あらあら、じゃ何食べましょうね」
「手の込まないものでいいですよ、俺は」
「んー、とりあえずお野菜洗ってくれる?」
「はい」
ご飯を炊いて野菜を洗って渡すとササッと炒め物。
お漬物と、ポークチャップとつけあわせ。
美味しく晩飯もいただいて。
お風呂に入る。
風呂上り暑くて胸元を広げてくつろいでると開さんが来た。
「しまいなさい、胸!」
絹先生に叱られた。
そんなに慌てなくともいいのに。
「どうしたの?兄さん」
「家の鍵落とした…」
「なんかよく落としますね。この間も何か落としてませんでしたっけ」
「あー財布?」
「でしたっけ?」
「で、母さんうちの鍵持ってない?」
「ちょっと待って、探してみるわ」
「姉さんは?」
「仕事で帰ってこない」
「会社にとりに行けばいいんじゃないの?」
「姉ちゃんの会社まで遠いんだよ」
引き出しの鍵の中から探しているがどうやら見つからないらしい。
「泊まっていい?」
開さんはがくーっとしている。
「いつもの部屋で寝るの?お布団敷いてくるわよ」
「頼む」
絹先生が布団を敷きに行き、俺はそろそろ熱気も冷め炬燵に入る。
「やーほんと外寒いねえ」
「この辺やっぱり山が近いだけに寒いですよね。風呂まだ湯抜いてないからどうですか」
「ああ、そうしなさいよ。お父さんの浴衣出してあげるから」
「そうするよ」
開さんが風呂に行かれた後、絹先生が戻ってきた。
「あら兄さんは?」
「お風呂ですよ」
「お湯まだ抜いてなかったの?」
「ええ、あとでもう一度浴びようかと思ってたので」

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