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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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174

玄関の開く音。
「こんにちはーおばぁちゃんいるー?」
がらっと襖を開けられて絹先生が焦っている。
「どうしたんだい?」
「お母さんからこれ預かってきたんだけど」
「もう手に入ったんだねえ、ありがとう」
とガサゴソと開封されている。
なんだろう。
「あれ。おばさん、それ、綺麗…」
「あぁこれ?鼈甲なのよ~。いいでしょう?」
絹先生と司ちゃんは簪を見て女の会話だ。
先生の髪に重くなったら司ちゃんに渡るんだろうなあ。
八重子先生の手元を覗き込む。
「司の近所に刃物屋があってねえ」
花鋏か。
「青紙ですか。いいですね、高いでしょうねえ」
「そりゃあねえ」
「昔何も知らないで黄紙買ったんですよね。もうどうにもならなくて」
「あんたみたいな不精者ならステンレスがいいんじゃないかい?」
「今思えばそのほうが良かったですねえ」
「やっと今のを研ぎに出せるよ」
「ああ、自分では中々に砥げませんよね、つい両面研ぎそうになります」
「あんた鋏も研ぐの?」
「私は研いでましたよ、なんせ黄紙ですし。
 枝の数本も切れば切れなくなってるの実感できます」
「そんなに黄紙だと切れなくなるかい?」
「普通はそうもならないでしょうが下手に握力がある分、無理に切るので」
「石があれば割れるところを探らずに叩き割るタイプだね」
「まさしくそういうところあります。短気ですので」
簪の話題が終ったようだ。
「司ちゃん今日は泊まってくの?」
あ、それは聞いて欲しい。
「律は今日は…?」
「晶ちゃんと今出てるのよ、夜には戻るけど」
「じゃあ待ってようかな、おばさん、いい?」
ちっ泊まるのか。
八重子先生が笑っている。
「絹、山沢さんと買い物行って来てくれるかい」
「今朝うちのお父さんがねえ、6合食べちゃったのよ。で、お米が心もとないの」
「ああ、はい」
「あ、私も一緒に行った方がいいかな」
「司はうちにいてくれるかい、茶道具出すの手伝っとくれ」
うまく誘導してくれるなぁ。
いそいそと先生と二人でお買物。
結構好きなんだよね、一緒にお買物するの。
野菜や肉などを購入して米を買って担ぐ。
「力持ちの良い旦那さんねー」
なんて言われてしまった。
どこかの資料館に5俵担ぐ女性の模型あるけどあれは無理だと思う。
米どころや米屋なら2袋は軽いらしいが、それすら無理だ。

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173

翌朝、鏡開きと言うことで会社に鏡餅を持って出勤。
ストーブで焼いていただく。
本物の餅だからうまい。
缶のお汁粉を買ってきたやつが器にあけてその餅を投入して食っていたり。
連休前なのにそんなには忙しくないなあ。
仕事を済ませて帰宅。
シャワーを浴び、着替えて先生のお宅へ。
「こんにちは」
「いらっしゃい、外は寒かったでしょ」
温かいお茶をいただいた。
うまいなー。
自分で入れると高級茶葉でもまずいのはなんなんだろうな。
先生たちはこれから食事らしい。
ああ、そうか、ついいつもの時間に来てしまった。
「あなたも食べる?」
「ありがとうございます、実は朝餅食いすぎて出てくる前に腹が減らなくて。
 今ちょっと物足りなくなってました」
「あらあら」
「そういえば鏡開きだねぇ。後で山沢さんにも手伝ってもらおうかね」
「律君と孝弘さんはご飯いいんですか?」
「お父さんねえ、お友達のところって言ってたけどいつ帰ってくるかしらねえ」
「律は晶と出かけてるよ」
おかずを出してくださって、いただいた。
うまいなー。
美味しくいただいてご馳走様をして洗いに立つ。
暫くすると宅配便が来た。
受け取って、開封する気配。
「あらぁ~」
「あらあら、きれいねえ、これ」
ふっふっふ♪
洗い物を追えて部屋に戻る。
「ね、これどうしたの?」
「昨日京都行ったんですよね。それで鼈甲屋に行って買ってきました」
「すごいわ、こんな飴色の…高かったんじゃない?」
「まぁそのへんは聞かないでまずは挿してみて下さいよ」
「お母さん鏡とってくれないかしら」
「はいはい」
鏡を見ながら挿してためつすがめつ。
ほぅっと八重子先生の溜息。
「我が娘ながら…似合うねえ」
「美人さんですしね。似合うと思ったんですよね~」
「あら…」
あ、先生、頬染めて可愛い。
「次は紅かい?」
「ええ、次京都に行ったら必ず」
「なぁに?」
「こっちの話です」
「二人してなんなの~」
「しかしこれは高かったろう、細工も細かいし」
「まぁそれなりに」
「嬉しいわ」
おっと抱きつかれた。
いや、八重子先生見てるから。
「これ、絹。山沢さんが困ってるだろ」
「あら、ごめんなさい、つい」

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172

夕方、起きて残りのタラで一人鍋をすべく買物をして。
洗濯物を取り入れ、畳み、しまう。
わびしく食べる。
あ、明日は十日えびすじゃないか。
こっちのえべっさんへ行こうか京都まで足を伸ばそうか。
例年通り京都へ行こう。そうしよう。
昨日行って明日も行くなんておかしな話しだが仕方がない。
だったら早く寝てしまおう、明日は京都に寒波の予報だ!
翌朝、仕事を早めに切り上げ、飾ってある熊手を回収し、一路京都へ。
帰りは混むかと車掌に聞けば自由席は確実に、とのことで京都駅に着くなり指定を取る。
四条大和大路でタクシーを降り、混雑の中すすむ。
途中に鼈甲屋があるのだ。
まずはここへ寄って色々と見る。
目玉は35万ほどするかんざしだ。
流石にこれには手が出ない。
15万ほどの程よいかんざしを見つけた。
しばし相談すると普段は25ほどだが、と20のものを見せてもらえた。
なるほど明らかに細工が違う。
35のを見た後では中々思い切れないが、同じ価格帯ではこれが一番良い。
しかも似合いそうだ。
よし、と手付けを打った。
10万を払い、後は明日って銀行休みか。
いっちょ出金して戻ってこよう。
近くにATMはないか聞けばコンビニが四条出て西にすぐにあるとのこと。
なるほどファミマが有った。
15万出金し、引き返す。即金で残額を支払った。
最近は即金で現金で支払う客が少ないとのことである。
というかお宅基本掛売りちゃうん…。
現物は直接先生のお宅に送ってもらうよう手配をお願いして、ゑびす神社へ。
さて今年の京都は景気概況どんなものだろうか。
周囲の買う福笹や熊手でおおよそがわかる。
…やっぱこんなもんか。
いつものサイズを分けていただいて、本殿横を叩いてお願いする。
えべっさんは耳がよろしくないので打ち鳴らして呼ばないといけないとされる。
だからみんな並んで叩く。
人を押しのけて叩く人あり、ちゃんと並ぶ人あり。
裏から出れば人影少なく、すっきりしている。
さくさくと歩きタクシーを拾って駅へ。
指定の新幹線までまで暫くあるが、寄り道厳禁である。
寒風の中耐えて乗車して帰路につき、駅に着けばそのまま会社へ。
いつもの場所に飾った。
ああやっと喫茶店いける…。
喫茶店に入り、一服。肩凝ったなぁ。
明日復活できなきゃ先生にお願いして踏んでもらおう。
今日中に発送してくれるってことだったが…かんざし…。
明日先生の家に居るときについたら良いなぁ。
八重子先生に怒られるだろうか。
金遣いが荒いって言われたし。
でも次に京都に行ったら京紅を土産にするつもりなんだが…。
そのときはあれだ、花びら餅予約しておこう。
晩飯を牛丼屋で食って帰宅。
あー疲れた、寝よう!
おやすみなさい。

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171

朝、出勤前。
良く寝ている先生を起こさずにと思ったが起こさないと怒ることを思い出した。
なので揺り起こし、行ってきますというと、はいとだけ返った。
すぐに寝息。
お疲れだなぁ…俺のせいだけどさ。
とりあえず食卓に置手紙だ。
ええと…帰るなら俺が帰る前に帰らないと帰せなくなる可能性。
帰らないなら、もし作ってくれるなら…と言う前置きで、
お昼にホウレン草のおひたしを食べたい旨を書いた。
出勤。仕事。今日はそれなりに入荷が多くそれなりに売れた。
一服しているとメール。
白身の魚持って帰ってきて欲しいようだ。
何にするのだろう。うち用か先生のお宅用か。と返信する。
どうやらうち用でムニエルにしたいらしい。
うーん。何もって帰ろうかな。
っとタラの半身が余ってる?よしそれにしよう。
ついでだからと切り身にしてもらった。
荷合せ入出庫を終えて帰宅。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい」
「はい、魚。タラにしました」
「あら沢山ねえ。着替えて手を洗ってきてね」
「はい」
先生がいそいそと食事の支度をしているのが可愛くて嬉しくて。
しかしムニエルとおひたしは合うのだろうか。
あ。洗濯籠の服がない。
しまった。またパンツ洗われてしまった。
着替えてベランダを見れば先生の湯文字も干されている。
ああ、ちゃんと陰干しだ。主婦だなぁと実感する。
ただ不思議なのは"男の世話を焼く女"ではなく"母親の仕事"を感じるのである。
普段の作業のついでに洗いました感。
ああ、バターのいい匂いがたまらんなあ。
そういえば先生は俺の家を掃除してくれたりするのだが絶対に納戸はしない。
掃除機の出し入れで入るのもちょっと嫌なのだそうだ。
多分最初に入ったときに見たのが巨大ディルドだったからだな。
あれはネタで、普段は仕舞ってあるのに。
ってこないだは蝋燭が置いてあるのを見て焦ったとか言ってた。
使っちゃったけど。
「出来たわよ」
というのでご飯をよそって配膳。
おお、うまそう。
食べ始めてから聞いた。
「先生。帰らなくて良かったんですか?」
「これ食べたら帰ろうかしらね」
「帰したくないなぁ」
「いい加減帰らないと叱られちゃうわ」
「ですよねえ。あれ?でも湯文字乾くまで帰れないんじゃ…」
「あら、ここに置いていくわよ。どうせまた泊まるんだし」
「さいですか」
うまうまと食事をいただいて満腹に。
台所に出して、それから先生にキスした。
「なぁに?」
「帰る前にしましょうよ」
「だめよ、帰さないつもりでしょ?」
「わかりますか」
胸に手を這わせる。
「もう…だめよ。帰るわ」
「残念だな。本当に帰っちゃうんですか?」
そういってお尻を撫でる。
あ、我慢してる。可愛いな。
もう一度キスすると私の腕をぎゅっと握る。
離すと額をピシャリと叩かれた。
「もうっ、帰るって言ってるでしょ」
「本当に?」
「憐れそうな顔をしないの。土曜日にいらっしゃい」
「うー。わかりましたっ、今日のところは諦めました。土曜日、行きますから」
お昼間と言うこともありおうちまで送らなくても良いという。
電車で帰られるのを泣く泣く見送り、一人、自宅。
ふと思い出して探る。よし、あった、これは見つからなかったようだ。
もう一度隠しこみ、台所を片付けて少し寝た。

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170

ゆったりと床暖の入っている上でおしゃべりを楽しむ。
その内したくなって先生の手を取り、引き寄せる。
「もう…疲れてるの、だめよ」
「じゃあ布団の中でこうされててください」
「それならいいわよ」
ひょいと持ち上げてベッドへ。
懐に抱いて先生の匂いを嗅いで撫で回す。
段々と先生の息が荒くなってきた。
「だめっていってるのに」
と私の乳首を捻られてしまった。
ククッと笑って先生の股間を撫でるとやはり濡れていた。
「明日、昼まで寝てたらいいじゃないか」
「言われなくてもそうなりそうよ」
「抱いて起こしてあげるから」
「そんなことしてたら帰れなくなっちゃうわ」
「帰らないでいつまでもここにいたらいい」
「だめよ初釜もあるしお稽古もあるじゃないの」
「八重子先生に任しておけば良い」
「そんなわけにはいかないわ。ね、いい子だから聞き分けて」
「しかたないな。でも今日はもう止めれない」
先生も今やめられたら寝つけんだろう。
気持ち良さそうで少し辛そうで。
「キスマークつけたくなるな」
びくっとしていやいやをする姿が可愛くて、わざと言ってしまう。
「いじめないで…」
「いじめたくなる」
首にキス。
「あぁ、だめ」
つけないけどね。
「いじめられるの、結構好きでしょう?」
「いやよ、すきじゃないわ」
「口でそう言ってもこっちは、ね」
と音を立ててあげた。
「やっ、やめて恥ずかしいわ」
「可愛い。可愛いな、本当にあなたは。もっといやらしいことしたくなる」
「おねがい、しないで」
「今日は聞いてあげましょうね」
普通に抱いて泣かせて、己の飢えを収める。
先生を逝かせて、落ち着かせた。
ピロートークする暇もなく、いつもすぐ寝られてしまう。
よっぽど疲れるんだろうなあ。
トイレに行って俺も寝た。

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