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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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そんなことを考えて眠気をやり過ごす。
家に帰って気がついたら服を着たまま寝ていた。
ベッドにもたどりつけていなかったようで、床で寝ていた。
ストーブはつけたようだが。
ついに30日、今日働いたら明日は会える。
気合を入れ直して、一日頑張ろう!
もうはっきり言って商売の時間は暇だ。
当然ながら料理屋なんかは今日明日は料理してお重に詰める日。
うっかり買い忘れたとかがない限り市場には用はない。
暇なので二人を1時間半ずつ仮眠させて少しでも作業時の負担軽減を図る。
その時間に作業させればいい?場所が空かないと出来ない作業なんだ。
みな今日は疲れているが表情は明るい。
明日休日出勤の当番の者も、今日までのような時間帯に出勤しなくてよい。
昼までに終ってゆっくりできるのだから。
使った道具は翌日の当番が洗ったり始末する。
当日始末するのは無理だからね、体力的に。
冗談も飛ばす余裕が出てくる。
私は先生に明日うかがうメールをした。
会いたい…。
そうは書けない。
こんなに貪欲だったんだなぁ、俺。
先生から待っているとお返事をいただいた。
待っていてくれるんだ、ということを心の支えにして。
ひたすらに仕事をこなして行く。
あっ!半襟!つけるの忘れた。今晩か明日の朝つけるか。
覚えてるといいなあ。
家のお飾りは今朝飾って出たし。
他に忘れてることはないよなあ…。
律君にお年賀の用意くらいか?
作業をしつつ忘れ物はないかとチェックする。
明日焼く鯛もキープしてある。
刺身にする魚も泳がせてある。
はっ!現金をおろしてこなければ。
休憩時間になってすぐに銀行に走る。
初売りを考えれば30くらい財布にあってほしい。
昔、某呉服屋で後日にしたら翌日売れていて悔しかったからなあ。
手付けを打てる金はやはり必要だ。
一旦自宅に寄り、明日持っていく鞄に入れておいた。
スーツにも男の着物にも合う重宝な鞄だが女の着物を着るときには流石に合わない。
持って行く紋付は一応男のなのでこの鞄にしたわけだ。
先生にもしかしたら女の格好をさせられるかもしれない。
だから湯文字だけ入れてある。
また職場に戻って作業を進める。

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128

まぁ、先生の場合初めてのメル友で距離のとり方がわからなかったと。
そういう言い訳が使えると思う多分。
しかし上流の人と離れているとすぐに品性が堕落するなぁ。
正月はうっかり変なことを言わないように気をつけないといけないな、これは。
翌日、作業の合間に買いだしに行く。
ついでに栄養ドリンクを数箱。社員達に差し入れる。
日々みんなの目が死んだ魚のようになっていく。
毎年思うがクリスマスに魚市場を空けるメリットはない。
本当に売れないし、客自体来ないし。
あの日休めば光熱費の点からも休養の面からも助かるんだが。
大体この時期から救急車のサイレンを聞いたり、誰かが倒れたらしいと小耳に挟むんだ。
絹先生からも大丈夫?と言うメールをいただいた。
どうやら半分くらい書いて送ったらしい。昨夜。
そんなこんなで日曜日。特別開場日。
今日明日と仕事を済ませば会いにいける。
早く先生の声を聞きたい、抱きたい。
会わずに我慢できるのはやはり三日だな、三日。
メールの交換をしてもらっていて忙しいから何とか日をすごしているが。
しかし今年の忘年会はまた飲みだろうなぁ。
毎年私は出ないけど。なんでみんなそんな体力あるんだろう。
今年は幸い大掃除しなくて済んだ。
先生が来たりするから日常的に整理整頓していたし、先日は先生が掃除してくれた。
毎年、仕事で出来なくて年明けに掃除してしまうからなあ。
仕事中に先生からメールが来た。
うわ、洋装だ。掃除中の姿。
八重子先生が写真を撮ってくれたようだ。
可愛いなぁ。
そして俺の姿をテレビで見たらしい。
画面の端に芥子粒のように映っていたのを絹先生が見つけたとか。
よくわかったなぁ。
元気そうで安心したと書いてある。
でもそれ多分木曜の取材だ。
あの日は先生の気配を家で感じて、愛されてるという実感で仕事が捗った。
まあそれはメールには書けないから、お会いしたときに耳元で囁くとしよう。
あ。帰ったら襦袢に半襟つける作業が待っている。忘れてた。
思い出してよかった。しかし帰宅するまでに忘れてしまうのではないか。
忘れきってたら31日の朝に慌てて付けるか、先生のお宅でつけるかだな。
紋付の用意をするときに思い出せよ自分。
先生はうちに来てくれるときは刺繍半襟だったりする。
この間は小さいもみじが散っていて、可愛らしい雰囲気だった。
お稽古では白い半襟に静かな柄の小紋や紬姿ばかりで、
茶事くらいしか華やかな姿を見なかった。
だけど俺と一緒にお出かけするときは華やかな着物を着てくれる。
襦袢も綺麗だったり可愛かったり手が込んでいる。
お出かけの予定がないときはシックな紬に派手な襦袢とか、
お洒落で、俺に見られることを思ってそういう格好をしてくれてると思うと嬉しい。
前にそういったら、俺がちゃんと衣桁にかけるのを待つから、着てこれると。
エロビデオみたいに着てるのそのままで体液がついたりするような、
あんなやり方をするなら着てこれないよね、正絹は。
たまに脱ぐの待てないの?と怒られるが。
ああそうか、汚していい正絹の襦袢を作ればいいんだ。
だったら着衣で出来るな、そうしよう。
寸法は今度寝てる間にでも測ってしまえばいい。
柄は…そうだ、八重子先生に相談しよう。

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翌朝、八重子先生は何もなかったように振舞ってくださり、
私も何もなかったような顔をして絹先生との別れを惜しんだ。
ばれなきゃいいんだよ、ばれなきゃ、うん。
それからの一週間は仕事中に先生へ朝のご挨拶メールを送ったり、
おやすみなさいのメールを貰ったり。
水曜の夜に帰宅すると冷蔵庫に食事が入っていた。
片手で食べられるものが。
昼に来て、作っておいてくれたようだ。
往復3時間もかかるのにありがたいことである。
丁重にお礼をメールするとお歳暮ありがとうとメールが返って来た。
そういえば年内いつでもいいからいいものが入り次第と言う注文をしたんだった。
今日届いたようだ。すき焼きをしたらしい。
しゃぶ用もあるしステーキも有るが年内に食えるのかな。
サーロインメインでヒレとかイチボとかランプとか入れてくれと言っておいたが。
まあ孝弘さんが食ってくれるだろう。
美味しい晩飯を一人食べて、風呂に入る。
掃除と洗濯がしてくれてあった。シーツがいい匂いしてる。
愛されてるなぁ俺。嬉しい。凄く嬉しい。
さびしいけれど幸せな気分で良く寝た。
正月が待ち遠しいなんて久しぶりに思う。
あ。クリスマスか。今日。ならば会いたかったなあ…。
そう思っているうちに眠ってしまった。
明けて翌日暗いうちから働く。
それでも昨日よりは今日のほうが気分が落ち着いている。
仕事も捗る。
残り一週間もない、頑張れそうだ。
先生は今頃大掃除だろうか。
あ、鏡餅買わなきゃな。
年賀状は今日作ろう、今日。
注連飾りも居るな。
明日は作業の真ん中に買物時間作ろう。
帰宅時間は遅くはなるが仕方ない。
6時過ぎ、いつものおはようのメールをする。
朝、先生から来るメールはそっけない。
夜のメールは色々書いてある。
きっと朝は眠いか忙しいかなんだろうな。
俺は朝のメールのほうが文章量が多く、夜は少なくなる。
二人とも、好きだとも愛してるとも書かないことにしている。
メールを見られて破綻。
そんなのは困るから。
だが、ただの弟子と朝晩メールの交換してるというのも。
なにやらおかしい気がしてきた。
体裁を気にすると彼女に怒られるという話を良く聞くが、
俺らの場合気にしすぎでもいいはずだ。

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126

まあ、たかが一週間やそこらだろうといわれそうだが。
週の半分以上顔を見てた相手と会えない声も聞けないのはさびしくて辛い。
今日だって本当は家に連れて帰ってしたかった。
声を我慢させるのはかわいそうで。
でもその姿が欲情をそそる。
寝息に変わってきた。
"お母さん"をしている時の顔と"娘"をしている時の顔、"先生"をしている時の顔。
そして"女"としての顔。
今は私以外には見せていないはずだ。
孝弘さんとはどの程度のことをしていたんだろう。
詮索はしてはいけないが。
今も脱ぐのは恥ずかしげだが、きっと二十の時はもっと恥ずかしがっていたんだろうな。
というか脱げたのだろうか。
あ。まつげが抜けてる。
そっと取ってちり紙に手を伸ばして包む。
「…ん」
おっと起こしてしまったか?
大丈夫だった。
綺麗だなぁ。
肌は普段の手入れだろうけど。
きっと八重子先生も若い頃は綺麗だったのだろうな。
うん?…股間を触られている気がするんだが。
寝息、だよなぁ、これ。無意識、夢の中でしてるつもりなのか?
参ったな、これは怒れんな。
まあこの程度ならいいか。
暫く触り続けられていたがやがて止まった。
夢終了か?
布団から這い出てトイレに行く。
八重子先生に出会った。
ちょっとお部屋に連れて行かれお茶をいただく。
寝る前だからとほうじ茶だった。
トイレで抜くつもりだったのになぁ。
さめるにはもう少し時間が必要だ。
先日乳首を触られたことを思い出してしまった。
このタイミングで思い出すんじゃないよ俺…。
八重子先生の顔を見るのが照れくさい。
「どうしたんだい?顔赤いよ?」
うわっ、頬を触られた。
「……先生。先日私の胸揉んだこと忘れてますよね、今のでわかりました」
とぼけてるのかとも思ってたけど!
「そんなことあったかねえ?」
「私の胸揉んで泣かせたいといって部屋に連れ込んだの先生ですよ」
「えっ?うそだろ?あんたに?」
「ええ、それで着替えて布団敷いたらそのまま先生寝ちゃったんですけどね」
「あらー…それは悪いことしたねえ。ああ、じゃあ」
「うっ」
乳首を掴まれた。
「その続きかと思った?」
「はい」
「されたいかい?」
「…ええと」
「それとも絹にされたい?」
「絶対いやです」
「きっぱり言うね」
「いやです。こればっかりは」
「で?されたいのかねえ」
やっぱりSだ、自分から言わせようとしてるよね。
もう我慢限界だ。きつい。
「すいません、お願いします」
何度か逝かせて貰って落ち着いて、ふらふらと絹先生の寝ている横へ戻って寝た。
夢だったと思うことにしよう。疲れた。

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125

きっと先生のSっぽいのは八重子先生の遺伝だな。
玄関を出ると寒い、そういえば冬将軍が居座ってるとか言ってたな。
来るときは昼だったから暖かかったがもはや夕間暮れ、寒い。
先生がマフラーを貸してくれた。
首もとを暖めると随分違うからと。
暖かくて嬉しい。
気持ちが暖かい。
明日からの仕事がんばろう。
ほんと、好きな人がいないと仕事を続けるのってしんどいんだよなあ。
心の張りというものがやはり必要だ。
明けて月曜仕事は暇で。
作業はあるものの忙しいなんて気分でない。
黙々とこなす。早く終ればそれが睡眠時間の確保になる。
特に明日は早上がりをするのだからちゃんとしておくべきだ。
しっかりこなして夕5時半。帰宅して食事。面倒だな。
羊羹を食べて寝てしまおう。日持ちするから助かる。
翌朝、仕事をして申し訳ないが早帰り、いそいそとお稽古に行く。
「こんにちはー」
「はい、こんにちは」
お稽古をして、すぐ帰ろうとしたら食事を取るように言われた。
どうせまともなもん食ってないからと。大当たりだ。
食事をいただいて、洗い物をして帰った。
やっぱり嬉しいなあ。考えてもらえてるんだな。
寒い外気だが心はぬくい。
一日おきに仕事、稽古と頑張ってこなして土曜日だ。
今日、抱いたら後は会うのは大晦日、抱くのは三ヶ日終るまでお預けか。
きついなあ。
それでも予定があるのだからまだしもだな。
先生も思いは同じなのか、少し激しいのに嫌とは言わない。
私が求めるままに、辛そうな顔をしつつ答えてくれる。
愛おしい。
離し難い。
息を切らせて辛そうな先生を上に乗せ背中を撫でる。
「…まだ、…物足りないんでしょ…?」
「これ以上したら、あなたを壊してしまう…だからいいんです」
「壊れても」
「だめです」
困ったような顔をしている。
「そんな顔をしないで…私は大丈夫ですから。
 あなたの今日の、そう思ってくれた、その心が嬉しい」
これを燃料に大晦日まで頑張ろうじゃないか。
キスをして、背中を撫でて寝かしつける。

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